
購買プロセスが複雑になっていくBtoB営業において、営業DXによるデータの可視化とデータに基づいた意思決定・PDCAへの移行は必然になっています。ハーバードビジネスレビューの調査によると「データに基づいた科学的なアプローチを採用している営業チームは、成績下位25%の営業担当者の生産性を200%向上する」ことが分かっています。今日においても様々な企業において営業DXが組織の生産性を高めることを証明しています。
本記事では営業DXにおいて重要な役割を持つSFA(Sales Force Automation)について、導入から活用までのステップをご紹介します。
SFAとは「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の略語で、日本では「営業支援システム」や「営業管理ツール」と呼ばれています。営業活動におけるデータやログを蓄積していくことで、営業プロセスの最適化や営業活動の効率化を実現するシステムです。1986年に米国のソフトウェア企業であるオラクルが営業支援システム「Oracle Sales Force Automation」を発表以降、全世界で利用されているシステムであり、現在ではスタートアップから大企業まで営業部門を持つ全ての企業に導入されています。
本来のSFAの思想は、営業担当者がコンピューターではできない、より人間関係を重視した活動に従事できるようにすることです。そのため、情報の整理や蓄積、見える化によって、営業担当者が顧客との関係構築に集中できるようにすることがSFA導入の大きな目的とされています。
米国のコンサルティング企業であるコーン・フェリーが2021年に実施した調査によると「COVID-19導入前後で比較した時に、B2Bバイヤーの52%は新規購入の購買サイクルが長くなった」と回答しており、ますますBtoB営業の難易度が高まってきています。
(出典:コーン・フェリー)
このようにBtoB営業の難易度が高まってきている中、ハイパフォーマーや個人の営業活動に依存した体制では、スピード感が遅く競合他社や新規参入企業に追い抜かされるリスクを抱えてしまいます。つまり、これからは個人依存にした営業活動からの脱却を目指し、そしてチーム営業でPDCAサイクルを高速に回すことが大きな鍵となります。SFAは「営業担当者の目線を、個人からチームへ向ける」システムです。個々がバラバラに営業活動しているところを、SFA内の情報から「チーム全体の基準を構築」し、「チーム営業の活動促進」へ変革させるきっかけを作ります。
既にデータとしてSFAが営業業績の向上に良い影響を与えているということが分かっています。2022年に株式会社サプリ社が188名の過去2年間で業績が上がった/下がった営業組織の社員を対象にした調査において、過去2年間で業績が上がったグループ(業績UP群)の44.3%が導入しているのに対し、過去2年間で業績が下がったグループ(業績DOWN群)は、たったの10.5%という結果が明らかになっています。
(出典:株式会社サプリ)
つまり近年においてSFAの活用は営業業績を向上させるのに必須であり、企業の競争力さえも変えてしまいます。SFAが営業業績を向上させる理由をより深く理解するために、SFAの効能を説明します。
SFAの重要な機能である顧客情報や営業活動ログの一元管理が、営業活動を効率化させます。エクセルでは「属人的な営業管理」となってしまいます。例えば各顧客状況の詳細や電話・メール内容などの営業活動ログまでは蓄積できず、担当者によってはチームに共有していない案件を隠し持っている場合もあります。そのため、営業ナレッジの蓄積不足や担当者の引き継ぎ漏れ、営業のヨミの見誤りなど、「営業活動の効率を下げてしまう原因」を作っています。SFAは顧客情報と営業活動のログを記録し一元管理するため、営業担当者が属人的に管理するスペースを少なくできます。その結果、営業活動の効率を下げる原因も少なくなり、営業チーム全体の効率化を実現できます。
顧客情報や営業活動ログの一元管理が「正確な営業活動の数値」を可視化させます。そのため、営業プロセスの各ステージ上(商談化・提案・受注など)での課題とアクションプランが明確になります。
この「正確な営業活動数値」が重要で、間違った営業活動数値を参考にしていては精度の高いPDCAを回すことはできません。営業プロセスの課題を特定するためにも、SFAによる顧客情報と営業活動のログを一元管理することが大きな鍵となります。
また、パフォーマンスの高いメンバーや、逆に成績がふるわないメンバーの傾向を特定しやすくなります。各メンバーの傾向から原因分析を行うことで、営業活動への底上げが実現でき営業プロセスの強化に繋がります。
顧客情報や営業活動ログを蓄積していくことで、営業ノウハウの蓄積と顧客理解のためのナレッジ蓄積の両方に期待ができます。特にハイパフォーマーの営業ノウハウは、チーム営業の基準作りに大きく役に立ちます。今まで属人的に営業業績を伸ばしていたところをハイパフォーマーの営業活動内容から分析し他の営業担当者へノウハウを還元していくことで、チーム全体のパワーアップに繋がります。また、新規営業担当者が顧客の声や課題感を知る機会としてSFAを活用することで、育成スピードを加速させます。
SFAでは、各情報を柔軟にレポートできるようにするために、役割ごとに沿った項目(オブジェクト)に分けて顧客情報を管理します。基本的には下記の管理機能を導入していることが多いです。
・ 顧客(担当者)管理
・ 企業管理
・ 活動管理
・ 予実管理
・ レポーティング機能
顧客(担当者)情報を管理する機能です。顧客の名前や所属企業名、役職といった基本的な情報をはじめ、過去の商談やメールの履歴など、顧客との接点や営業活動に関する内容も管理できます。
企業情報を管理する機能です。企業名や業種、従業員規模などの基本的な情報に加えて、企業と担当者をひも付けることで、自社が所有する担当者のリスト、またその企業と商談した全ての履歴なども管理できます。
営業活動における各案件の金額や情報、進捗を管理する機能です。案件ごとに営業担当者や客先担当者、企業、提案商品、見積もり金額などを紐づけることができ、現在進めている案件の現状を把握できます。
営業活動における行動やTodoを記録する機能です。各営業担当者の過去のメール送信数や電話発信数に加えて、営業活動に漏れがないように、Todoとしてのリマインドを設定することも可能です。過去の営業活動実績とこれからの営業活動状況を行動ベースで可視化することに役に立ちます。
各商談の完了予定日と金額、確度から、売上金額を予測する機能です。この予実管理によって、現在の実績と目標とのギャップを期間ベースで確認できます。また、商談の確度(%)に金額をかける期待売上の算出により、リアルな売上予測金額を自動的に可視化することも可能です。
日々の営業活動や営業業績を集計・分析できる機能です。営業業績などの結果指標から各担当者の行動指標まで細かくレポートを出すことができ、マネジャーから担当者まで幅広く活用できます。また、SFA内の情報を更新していれば、自動的に数値も反映されるため、営業会議前の準備が捗ります。
SFAと類似した営業支援システムとして、CRM(Customer Relationship Management)とMA(Marketing Automation)があります。それぞれの違いを見ていきます。
CRMは、顧客関係管理と日本語で翻訳されています。顧客の情報と自社が接点を持った事象全てを記録し、それらの記録を元に顧客満足度の向上を目的とした施策やシステムのことです。SFAとCRMの違いは、取り扱うデータの広さです。
SFAは営業活動や予実管理などの営業データにフォーカスしたシステムですが、CRMは顧客とのファーストタッチポイント以降の情報全てを取り扱います。そのため、CRMの方がSFAよりも広い顧客データを取り扱い、CRMの一部がSFAのデータという位置付けになります。
MAは、マーケティングに特化した活動を自動化・支援するシステムです。メルマガの配信やWEBサイトフォームなど、1対複数への施策を行う際に、指定のルールやセグメントに沿ってアプローチできます。機能としては、メール配信やWEBページ作成機能、WEBサイト上のリードトラッキング、リードスコアリング、SFAやCRMとのデータ連携などが有名です。SFAとMAの違いは、セールスに特化したシステムか、マーケティングに特化したシステムかの違いです。
SFAは営業活動や予実管理に特化したシステムですが、MAはメール配信やWEBページの作成などマーケティングが主導する顧客コミュニケーションに特化しています。そのため、MAで獲得した見込み顧客の情報をSFAへ送り、営業担当者の顧客アプローチの管理はSFA内で行う並列な関係性と言えます。営業DXを考えた時には、SFAから導入することをお勧めします。MAはあくまでマーケティング業務を支援するツールであるため、営業への影響はそこまで高くありません。営業における情報をデータ化し活用していこうとした際には、セールスの機能に特化したSFAの方が適しています。
SFAを導入するにあたって機能面以外で考えるべきポイントは、以下の3つです。
・チームとして、SFAを導入する位置付けを明確にする
・KPIの設計と、蓄積する必要のあるデータを明確にする
・SFAの導入にコミットできる担当者をアサインする
まずSFAを導入する前に、チームとしてどこを目指し今回のSFA導入がどういう効果をもたらすのか?を明確にしておく必要があります。営業DXにおいて一番のボトルネックはシステムを導入しても運用が回らないことです。その原因は社員のマインドセットが営業DXに追いついていないことが多いです。
そのため、社員が納得するプロセスを踏むためにも、まずSFAを導入する目的を明確にしなければいけません。
SFAを導入する位置付けを考えるにあたって、導入を推進している側がSFAのベストプラクティスを知っておくことで、より広い視野で考えることができます。また、ビジネスモデルや事業フェーズ、チームの人数、導入時の課題感などを知ったうえでベストプラクティスを知ることで、自社の課題を解決できる位置付けを考えることができます。特に、The Modelのような組織体制を最初から目指し失敗するケースは多いです。自社の現状に合ったベストプラクティスを元に、目的を設定していくのが良いでしょう。
営業DXを浸透させるためには、営業活動を変革するという視点だけでなく、人事評価制度まで視野を広げて考えていく必要があります。その理由は、営業DXが「営業マネージャーの一意見ではなく組織としてDXを浸透させていく」というメッセージの提示と、トップダウンの強制力を働かせることで浸透速度が高まるからです。そのため、今回のSFA導入によって営業DXをいつまでにどういう状態にしていくのか?を明確にしたうえで、導入による組織への影響範囲を正確に把握することが重要です。
SFAを導入する前に営業でのKPI設計をまず考えましょう。何のKPIをSFAで可視化するかによって蓄積するべきデータが変わってきます。また、蓄積するデータは「とりあえず全て記録する」という考えではなく、「必ず必要(KPIを可視化するために必要なデータ)」と「記録できると良い(将来を考えると記録したいデータ)」の2つに分けて考えておくと良いでしょう。
KPI設計についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
営業担当者としては今までの個人が管理するオペレーションからSFAでの管理へと変えないといけないため、時には反対意見が出ることもあります。特にデータ入力項目が多すぎたり入力方法が複雑だったりする場合、今まで以上に時間がかかってしまいます。そのため、マネジメント目線だけでなく実際に運用する人たちの目線で、何がどう便利になるのか?を考えたうえで導入を検討する必要があります。正直な意見として、運用を考えるのであれば、マネジメント目線を優先させるよりも運用する人たちの目線で設計した方が浸透はしやすいです。導入フェーズに分けて、徐々にマネジメント目線で必要なデータを集めていく、もしくは自動的に入力される状態にするのもひとつの手です。
運用する人たちの目線で考える際は、現在の営業活動のプロセスをベースに考えると良いでしょう。現在の営業プロセスがSFAの導入によってどう入れ替わるのかやどう効率化されるのかを説明できた方が、運用イメージが湧き導入に対してポジティブに捉えてもらえるかと思います。そのためにも導入前に営業プロセスの業務の棚卸しと整理をしておくことをおすすめします。
SFAの導入には、導入にコミットできる担当者をアサインすることで導入成功の確率が大きく変わります。よく他の業務と兼務で導入を行おうと考える企業もありますが、よっぽどのSFAプロフェッショナルの方でないと難しいです。理由として、社内調整に時間を要するからです。特に過去データのインポートと運用ルールの整備、可視化するKPIの設計は、一人の担当者やマネージャーだけでは決められず、その上の経営者から現場まで意見を聞き、柔軟に対応しなければいけません。そのためコミットできる担当者がいなければ、どこかが納得が行かない状況が生まれたり、導入に必要な設定の抜け漏れが発生する可能性を高めてしまいます。SFA導入専任者をアサインできる体制を整えたうえで、SFAの導入に挑みましょう。
SFA導入を行っていくにあたっての流れは下記の通りです。
[STEP 1]現場の巻き込みとSFAの選定
・現状の顧客管理方法を営業担当者からヒアリングする
・自社の要件に合うSFAを見つけ、選定する
・SFA導入によるメリットを整理し営業部門に伝える
[STEP 2]システムの検討と初期設定
・データ項目の要件を整理する
・SFAを導入し、既存の顧客情報をインポートする
[STEP 3]現場への浸透
・部門ごとのSFAの使用方法をマニュアル化し、メンバーに説明する
・データを入力した結果得られた情報をレポート化し、得られたインサイトを営業メンバーに共有する
SFA導入を検討する際に、まず営業チーム全体を巻き込むことで、彼らの当事者意識を醸成させます。特に彼らの業務プロセスのSFA導入によっての変化点を把握しておき、営業チームにとってのメリットを伝えられるかが重要なポイントです。現場の巻き込み方の手順について下記にまとめています。
現状の顧客管理方法を営業担当者からヒアリングし、業務フローとSFA導入後も取得すべきデータを整理します。ここで特定の人物の業務フローのみを参考にするのではなく、出来るだけ多くの営業担当者からヒアリングしていきましょう。1時間ほどの会議を設定しホワイトボードなどを見ながら、チーム全員で業務フローとデータを整理していくと共通認識を得やすいです。ポイントとして、SFA導入後の業務の変化イメージを持たせ、そこにワクワク感を醸成させることです。SFAに対する何かしらの期待があれば、彼らもSFA導入をポジティブに受け止めることができるため、非常に重要なプロセスです。
営業担当者からのヒアリング後、自社に合うSFAを検討していきます。選定時のポイントは、カスタマイズ性とデータ連携です。カスタマイズ性が高ければ今後の営業活動の変化に対応しやすいですが、SFAの専任者をアサインする必要がありシステムの費用に加えてコストがかかることを想定しなければいけません。また、MAや名刺管理システムなどをすでに導入している場合は、データの連携も重要になります。特に国産のSFAは海外発のシステムとの相性が悪いことが多く、データ連携をするために追加コストがかかってしまいます。現在の自社状況に加えて、将来的に目指す姿を逆算して、SFAを選定することが重要になります。
SFAを選定後、営業担当者のヒアリングを元にSFAによっての変化点とメリットを具体的に説明します。ここでは実際にシステムの入力画面やダッシュボードも見てもらい、現場からの意見をもらいましょう。全ての意見を取り入れることは難しいですが、現場のSFAへの期待感を確かめることで、システム導入時の設計方法がより具体的に見えてきます。
システムの選定を終え営業部門への説明が終えたら、次にシステムの導入準備と初期設定を行っていきます。
まずSFAで蓄積するデータを整理します。[STEP 1]の営業担当者からのヒアリング情報とマネジメントの観点からデータを洗い出し、「必ず必要(KPIを可視化するために必要なデータ)」と「記録できると良い(将来的に必要となるデータ)」の2つにカテゴリーを分けます。また、すでに過去の営業管理で顧客や商談情報が精査できているデータも把握しておくことで、初期設定時に実装すべきデータ項目を明確にできます。データ項目とは別にユーザーの権限設定も考えておく必要があります。システム管理ユーザー・ダッシュボード編集権限ユーザー・標準ユーザーなど各営業担当・マネージャーの役割に沿った権限を定義します。
データ項目とユーザー権限の要件を整理した後は、SFAを導入していきましょう。
SFAの導入設定はシステム提供会社か、パートナー企業の専門家に協力してもらう方が良いです。彼らは多くの企業の事例を知っているため、自社ビジネスに合ったシステム設計や導入手順を教えてもらえます。ぜひ活用していきましょう。また、既存顧客と商談情報の精査とフォーマットの統一を行ったうえで、すでにある情報をインポートします。よく営業DXで起こってしまうのが既存の顧客と商談情報の精査に時間をかけてしまい、導入期間が長くなってしまうことです。まず、営業活動において必須情報とインポートできる情報から運用を開始してしまい、運用しながら徐々に情報をアップデートしていくことも視野に入れた方が効率的になります。
SFAの初期設定が終えたら、最後に現場へSFAを浸透させていきます。
ここでは「営業担当者の業務を定型化し情報の精度を高めること」と「得られた情報から正しい数値を可視化しインサイトを発見すること」が重要となります。
営業担当者の業務を定型化し情報の精度を高めるために、部門ごとのSFAの使用方法をマニュアル化し営業担当者に説明します。マニュアルを作成する際は操作方法だけでなく、各オブジェクトやデータ項目の定義も合わせてまとめておきましょう。またSFA内のデザインの変更が頻繁にあることも踏まえて、動画ではなくドキュメントで作成することをお勧めします。下記のようなスクリーンショットを取りながらマニュアルを作成できるツールもございますので、ぜひご参考ください。
(出典:Tango)
得られた情報から正しい数値を可視化しインサイトを発見するために、SFAのレポーティング機能を活用します。レポートは階層別に分けて作成することをおすすめします。特に営業担当者にはターゲットリストの状況や活動履歴などを追えるレポートを作成しておくと、SFAの便利性を理解してもらえやすくなります。また、全員が確認できる営業数値のレポートも作成しておき、営業会議内で確認することでSFAの浸透速度は高まります。導入初期は入力漏れによる数値のズレが発生しますが、営業会議内で数値のズレがあれば修正依頼し、正しい数値を表示できるようにする仕組みとして機能させられると定着が進みやすいです。
SFAを最大限に活用するために、SFA運用担当者だけでなくSFAに関わるすべての人が各役割を果たしていかなければいけません。SFA活用定着のために重要な役割を担う人物は、下記の通りです。
・ SFA導入プロジェクトマネージャー
・ システム管理者
・ 営業マネージャー
・ 営業担当者
・ マーケティングマネージャー
・ データ整備係
それぞれの役割について、説明します。
SFA導入プロジェクトマネージャーは、SFA導入プロジェクトのタスクやスケジュールの管理、社内調整などを行います。社内のIT管理者や営業マネージャーが担当することが多く、場合によっては外部の方が担うこともあります。SFAの設定に精通しているだけでなく、社内調整のできるコミュケーションやリーダーシップを持った人が適任です。
システム管理者はSFA設定の実務やデータとユーザーの管理を行います。通常、社内のIT管理者か営業マネージャーが担当することが多いです。SFAの実運用とセキュリティの責任を持ち、効率的にデータの収集・分析・保護を行うためのマネジメントを担います。SFAの設定や運用に精通しているかつ、全体構成からデータ項目の設計(外部連携も含めて)、ダッシュボードへの反映を行える人が適任です。
営業マネージャーはSFAの運用において、指標の管理、データ項目の設計、入力規則の管理、営業担当者の業務フローの改善などを行います。SFAの設定業務ではなく、営業視点でのデータ収集・分析、改善を考えていきます。ただ営業マネージャーがSFAによって実現できることを理解していない場合、導入後から改善されず定着が進まないので、導入前に重点的にトレーニングを行うことが重要です。
営業担当者は顧客や商談情報、営業活動履歴をSFAへ入力する役割を担います。将来的には目標数値の達成に向けた最適なSFAの運用方法を探し出し、改善提案を行うことも担います。そのため、初期の頃から日常業務でSFAに触れるように業務フローを設計しておくと、定着に繋がります。
マーケティング活動からのリードをSFAに登録する際に、マーケティングチームの協力が必要です。特にマーケティング活動からのリード情報が整備されていないとSFAに登録する前に情報を整備しなければいけないので、無駄な手間が増えます。そのため、マーケティングマネージャーと協力し、SFA内で管理している情報とマーケティング活動で管理している情報の整合を取る必要があります。また、マーケティング活動のデータをSFAへ自動的に登録しようと考えている場合は、データの形式などもそろえる必要があるため、マーケティング側のシステムなどの変更も必要になります。
定期的にデータを整備する人を配置しておくのもSFA運用定着において重要です。手動での入力箇所やマーケティング活動からのリードは、情報の不足や誤り、リードの重複といったミスが発生してしまいます。そのため週に一度か月に一度の頻度でデータを確認・整備する担当者を決めておきましょう。
SFAは営業DXの促進や属人的な営業チームからの脱却にあたって非常に有効なシステムであり、実績として営業の効率性を高めることを証明しています。そのためSFAを有効的に活用できるかは、自社の体制と導入・浸透プロセスに大きくかかっています。機能面だけにフォーカスを当てるのではなく、営業チームの課題と他社のベストプラクティスを当てはめたうえで、検討していくことが重要となります。ぜひ多くのベストプラクティスを調べ、自社の体制と導入・浸透プロセスを明確にしていきましょう。
大学卒業後、BtoB事業支援のスタートアップに入社し、「BtoB マーケティングチームの立ち上げ」「BtoB企業向けのMA/CRM初期設定・運用代行サービスの構築/運用」を担当。現在は、シンガポールにて、組織・人事コンサルティングを行いつつ、シンガポール拠点・日本拠点・タイ拠点のマーケティング戦略・施策の責任者として、企業ブランドの促進から、リードライフサイクル全ての統括を行っている。
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