営業活動の効率化のために、SFAツールやCRMツールを導入する企業が増えていますが、このSFA/CRM市場で長年トップシェアを誇っているのがSalesforceです。
本記事では、Salesfore導入がもたらす効果とメリット、導入時の注意点、失敗しない導入の流れを基本から解説します。Salesforce導入を成功させるためにするべきことに加えて、最後には弊社ゼンフォースが行っているSalesforce導入支援サービスもご紹介します。
Salesforceとは
米Salesforce社が提供するSalesforceとは、 SFAやCRMを中核とし、多種多様な製品をラインアップした、クラウドベースのビジネスプラットフォームです。ニーズに合わせて複数の製品を組み合わせることで、リード(見込み顧客)の生成や商談設定をスムーズに行い、新規顧客の迅速な獲得や、信頼できる分析結果から、既存顧客のクロスセル・アップセル受注までの工数削減を実現できるので、営業力強化し売上向上へと、大きな効果を企業に与えます。
SFAとは
SFAとは、「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の略で、日本では「営業支援システム」や「営業管理ツール」と呼ばれています。その主な目的は、営業活動のログを蓄積・営業進捗を見える化して、営業プロセスの最適化や営業活動の効率化を実現することにあります。SFAを活用することで、営業活動の属人化が解消でき、どこからでも最新の営業情報が入手できるので、顧客のニーズに気付き、いち早く応えられるようになるのです。顧客とのコミュニケーションが円滑となれば、よりスピーディな受注が可能になります。
SFAの主な機能として、次の6つです:
・顧客(担当者)情報管理
・企業管理
・案件(商談)管理
・活動管理
・予実管理
・レポーティング機能
SFAの機能詳細については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
SFAとCRMの違い
CRMとは、「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略で、、基本的な顧客情報を収集し、顧客との関係を管理、最適化することを目的とした概念やツールのことです。SFAが営業活動の効率化に特化したシステムであるのに対し、CRMは顧客との関係性強化が主目的ということで、より広範囲をカバーしていることから、SFAはCRMに包括されることも少なくありません。このように担当領域を明確に分けることが難しいなど、SFAとCRMの境界線は非常に曖昧なため、本記事でもSFAとCRMの定義を明確に行うということはせずに、「SFA/CRM」と同様の括りで記載していきます。
CRMについての詳しい情報は、あわせてこちらの記事もあわせてご覧ください。
日本の企業におけるSFA/CRMの導入率
総合コンサルティングファームのTSUIDE社では、全国の30歳から69歳の男女計14,035人を対象とした「SFA・CRM導入実態に関する調査」を2022年2月に実施しました。その結果「導入している」と回答したのはわずか9.1%、つまり90%以上が未導入だったのです。回答者の45%が40-50代男性で、所属業種は製造業が約25%、次いでサービス業、卸売・小売業であり、「導入している」と回答したうちの48.4%が、Salesforceを使用していることがわかりました。
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出典:Sales Zine
「導入している」の回答者を業種別で見てみると、「ソフトウェア・情報サービス業」と「金融業」は20%前後、その他の業種に関しては10%以下でした。STELLAXIUSの2019年に公開されたデータによれば、アメリカではすでに2019年の段階で、74%の企業がツール導入済だったので、日本で営業活動を行う企業における、ツール導入の遅れが浮き彫りとなりました。株式会社富士キメラ総研が2022年に発表した「ソフトウェアビジネス新市場2022年版」の調査によると、SFAの市場規模は2021年度時点で約664億円となりましたが、SFA市場は毎年6.8%程度成長を続けると予測されており、2026年度には約922億円規模に成長すると想定されています。
ではCRM市場は今後どのように推移していくのか、見ていきましょう。IDC Japan社が2024年6月発表の、国内顧客エクスペリエンス(CX) 関連ソフトウェア/CRMアプリケーション市場予測発表によれば、2023年の国内CRMアプリケーション市場は、前年比13.4%増、市場規模(売上額ベース)は2,497億8,600万円、今後も平均成長率10%となり、2026年には市場規模2,917億9,000万円に達することが想定されています。中小企業がメインの日本では、高額となるSFA/CRM導入のハードルは依然として高いといえますが、テレワーク実施や、営業活動のオンライン化が急務となった背景から、競合他社より先にSFA/CRMツールを導入することで、大きな優位性を獲得できる可能性があるため、導入を検討する企業が今後も増える可能性が高いと言えます。
Salesforceの費用
Salesforce導入には概ね3ヶ月から6ヶ月かかり、初期費用と月額のライセンス費用が必要になります。Salesforceで実現したい内容や予算との兼ね合いで、初期費用は企業ごとに異なり数十万円から数千万円とさまざま。一方のライセンス費用は、製品とエディションで構成されます。エディションとは、使用できる機能のレベルを示すもので、製品ごとに定義が異なります。ここではSales CloudおよびService Cloudのエディションを紹介しましょう。
Starter: 小規模なチーム向けのシンプルな CRMスイート
Professional:営業向けのCRM、契約や見積もり機能搭載
Enterprise: Professional全機能+自社に合わせたカスタマイズが可能な営業向けCRMとWeb API
Unlimited:Enterprise全機能+予測AIの活用、開発者支援が組み込まれたCRM
Einstein 1 Sales:Unlimited全機能に加えて生成AIを含んだEinstein Copilot
Saleforceの全製品の費用の詳細は、Salesforce社のSalesforce 製品価格一覧をご参照ください。
Salesforceの導入では、Sales Cloudだけ、Service Cloudだけなど、単一製品を導入することはまれであるといえます。営業部門のみならず、マーケティングや営業支援部門のデータもSalesforce内で管理し、社内の情報を一元管理することで、全社における業務改善が可能になるので、多くの企業では企業全体の成功のために、複数のSalesforce製品の導入を決断することになるからです。そこで留意すべきは、基本的にエディションが1つの企業で1つのみという点です。例えばSales CloudとService Cloudの2製品を導入する場合、Sales Cloudは Professionalエディションで十分でも、Service CloudではEnterpriseエディションを使いたい場合は、Sales CloudもEnterpriseエディションを導入する必要があります。
Salesforceが選ばれる理由
SFA/CRMツールといえば、国内外の多くのベンダーで提供されていますが、その中でも依然としてSalesforceが選ばれるのはなぜでしょうか。
理由1:豊富な機能と継続的なアップデート
Salesforce製品は種類が豊富で、営業、マーケティング、カスタマーサービスなど幅広い業務がカバーできます。つまり顧客情報を一元管理する上で、機能的な不足が起きづらいといえ、万一不足があったとしても、クラウドベースのツールならではの頻繁なアップデートにより、最新機能が自動追加され、速やかにカバーされます。また金融、製造、小売などの業界特化型ソリューションの提供があることも、他社製品と比較した際の大きなアドバンテージと言えます。
理由2:カスタマイズの柔軟性が高い
パッケージ製品は、素の状態で自社が必要とする機能が全て網羅されていることがなく、ほとんどの企業では何かしらのカスタマイズ作業が必要です。SalesforceではAIあるいはノーコード、ローコードの活用で簡単にアプリケーション開発ができて、接続されたシステム全体の自動化ができるなど、どんな複雑なビジネスプロセスにも対応できる、カスタマイズ機能が搭載されています。それぞれの企業にあったツールが適切に確立できることが、Salesforceが選ばれる最大の理由です。
しかし、どんなにカスタマイズの柔軟性が高くても、その作業が自社人材では対応するのが難しい場合があります。そのような場合は、Salesforceの導入支援サービスを活用するというのも代替策として、検討してみてはいかがでしょうか。弊社ゼンフォースも、Salesforce社のパートナー企業として、導入支援事業を行っております。ぜひご活用ください。
Salesforceの代表的な製品
すでに言及した通り、Salesforceには多くの製品があります。その中から代表的な製品を紹介しましょう。
Sales Cloud
Sales Cloudは、顧客に関するすべての情報を一元管理し、顧客との関係強化と売上目標の達成、生産性の向上に大いに寄与します。
主な機能:
顧客管理:顧客に関する基本情報や、営業が入手した情報など、顧客情報を全て管理
案件管理:案件の取引額、確度、進捗状況などを一元管理
リード管理:リアクションがあったリードを管理し、育成する
売上予測:売上予測をリアルタイムで確認することで、予測と実績の差異を事前に防ぐ
属人的な営業プロセスを、標準的な営業プロセスへ速やかに変更し、営業活動を効率化することで、さらなる売上向上を目指す企業に最適な製品です。
Service Cloud
Service Cloudは、顧客に対して的確で迅速なサポート支援を可能にし、担当者のコスト削減、業務の効率化も達成します。
主な機能:
顧客からの問い合わせ対応:速やかに顧客の問題を解決
顧客ごとのサポート:メール、SNS、電話などさまざまなチャネルの活用で、行き届いた支援を可能に
セルフサービス:顧客自信による問題解決を支援
効率的なカスタマーサービスを行うことで、高い顧客満足を得て、LTV(Life Time Value = 顧客生涯価値)を向上させたい企業に最適です。
Marketing Cloud
Marketing Cloudは、集客型ビジネス向けのMA (Marketing Automation = マーケティングオートメーション)です。
主な機能:
One to One マーケティング:サイト訪問者それぞれの行動を反映した、ウェブコンテンツの作成やメール配信
メールマーケティング・モバイルマーケティング:さまざまなチャネルを活用したマーケティング活動を可能に
広告管理・分析:ソーシャル広告を分析した上で、効果の高い広告のキャンペーンを作成し、新規顧客の獲得を支援
カスタマージャーニー:最適なチャネルで、いつでも適切なメッセージをタイムリーに提供
マーケティング業務の効率向上を求めるBtoC企業にとって、適切な製品です。
Account Engagement(旧: Pardot)
Account Engagementは、2013年からSalesforceの製品ラインアップに加わりました。Account Engagementaは、新規リードを獲得、育成し、ポテンシャルの高いリードを提供することで、効率的な営業活動を支援する、BtoB企業向けのMAです。
主な機能:
リードジェネレーション:多様なデバイスに対応するランディングページや入力フォームを作成でき、直接的な作成ツールで自由にカスタマイズ
リードナーチャリング:リードの関心があるコンテンツをタイムリーに配信し、トラッキングしてリードの育成と評価を行い、新規顧客獲得に貢献
メールマーケティング:魅力的なメールを適切なタイミングで配信
レポーティング:マーケティング活動の効果をレポーティング
高額商材を扱うBtoB企業で、マーケティング活動をスピードアップさせたい場合に最適な製品
です。
CRM Analytics
Salesforce社によりTableau社の買収統合が行われたことで、Tableauの機能とSalesforceの分析ツールであったEinstein Analyticsが統合し、新たな分析ツールとしてリリースされたのがCRM Analyticsです。
主な機能:
幅広いデータソースに対応:Salesforce以外のデータも取り込めるので、効率的なビジネス分析が行える
データモデリング:直感的に使用できる予測モデルをノーコードで作成
データ検索:複雑な検索を自動化
動的なダッシュボード:あらゆる切り口での分析が可能で、大量データでも高速な分析ができる
営業支援部門や経営企画室など、データ分析作業が恒常的に必要となる方向けの製品です。
Experience Cloud
社員だけではなく、顧客や販売代理店などパートナー企業とも、安全に情報共有ができるのがExperience Cloudです。2021年にCommunication Cloudから名称を変更しました。
主な機能:
ファイル共有:Salesforceで蓄積したデータをセキュアに共有
ウェブサイト構築:Salesforce標準テンプレート活用で、ノーコード、プログラミング不要で構築可能
直販営業、再販営業ともに展開する企業での利用に適しています。
Data Cloud
Data Cloudとは、Salesforceで蓄積されたデータを、外部アプリケーションで管理するデータと顧客軸で統合し、管理、分析する製品です。
主な機能:
データ収集:標準コネクターの提供で、Salesforceのデータや、その他さまざまなデータを収集
データ統合:完全一致や曖昧一致など、柔軟なID一致ルールを設定し、統合顧客データを生成
データ活用:リアルタイムに統合されたデータは、全社で活用が可能
データの重複が改善され、顧客それぞれの分析が効率的に行えるので、顧客に関わる全ての部門で、サービス品質向上を実現したい企業向けです。
Salesforceの導入効果
Salesforceを導入することで、大きく分けて以下3つの効果を企業にもたらします。
効果1:顧客情報の一元管理の実現による顧客体験の向上
Salesforceを導入することで顧客情報の一元管理ができるようになると、インサイドセールスやフィールドセールスといった異なる職能の営業メンバーが獲得した顧客情報が、Salesforce内に集約されるようになります。つまり顧客が不満に感じる点として度々挙げられる、「話す営業担当者によって言っていることが違う」、「感じている課題や予算感などの話を、違う人が出てくるたびにイチから話さなければいけない」という顧客体験上の問題を解消することができます。
また一元管理の結果、営業担当者が顧客の利益につながる活動に注力できるようになるため、顧客とのやりとりに時間を割くことができたり、顧客ニーズの高い資料を作成のスピードが上がったりと、顧客とのコミュニケーションの速度と質が向上します。その結果、顧客の企業に対する信頼度が高まり、継続的に高い評価を企業に与えるようになるため、営業成果の向上が見込めます。
効果2:営業プロセスの効率化によるパフォーマンス向上
効果1では顧客視点でしたが、働く営業メンバー視点での効果について、見ていきましょう。Salesforceを導入して、営業進捗の共有を徹底することで、最新情報がリアルタイムに入手できるようになるため、「他のメンバーが取得していた情報が共有されていなかったため、再度顧客に聞いてしまう」、「情報共有が足りていなかったために、誤った内容で営業資料を作成してしまっていた」といった、営業プロセスにおけるタイムロスを大きく削減することが可能になります。また上長への進捗報告のために会社に戻るといった、営業成果の向上に寄与しない非効率的な業務時間を減らすことができ、より成果につながる活動に注力できるようになるため、パフォーマンス向上が見込めます。
効果3:データドリブンな意思決定の促進
営業方針やターゲティングなどを決める際に、昔ながらの勘と経験値を頼りに意思決定を行っていると、例え上手くいったとしても、なぜ上手くいったのかを振り返ることが難しく、運と勘に頼った再現性がない営業活動を闇雲に続けていくことになります。Salesforceを導入することで、営業データが次第に蓄積されていくため、自社が得意な業種・業態、顧客像などが数字で見えてきます。そして見えた顧客像にまずは注力し、その後またデータをもとに営業範囲を広げていくといった、データドリブンな意思決定が可能になります。
Salesforce導入がもたらす経営的メリット
次にSalesforce導入がもたらす、経営的メリットを見ていきましょう。
メリット1:売上予測の精度向上と経営判断の迅速化
Salesforce導入で情報の一元管理ができれば、過去の経験値に頼って定めることもあった売上予測を合理的に立てられるようになるため、よりデータドリブンな意思決定を行えるようになります。売上予測の精度が上がれば、経営判断も速やかに行えるようになり、競合優位性を保ち続けることができます。
メリット2:KPIモニタリングと経営戦略の最適化
Salesforce導入で、営業活動の状況がリアルタイムで把握できるので、KPI(Key Performance Indidator = 重要業績評価基準)の達成状況に関するモニタリングが容易に行えるようになります。営業活動の可視化ができるようになることで、従業員の評価も適切に行えるようになります。またKPIモニタリングを定期的に行うことで、課題の発見が早まり、解決策を迅速に講じることが可能に。具体的な課題を多く知ることで、経営戦略を最適化することもできます。
営業職におけるKPIについて、もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
メリット3:顧客生涯価値(LTV)の最大化
昭和時代は売り切り型ビジネスがメインだったので、新規顧客を増やすことが重要課題でした。しかし現在はクラウドベースのサブスク時代で、一件あたりのビジネスボリュームが小さいため、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客と長期に渡る関係を継続し、アップセルやクロスセルを狙って一顧客あたりの売上を伸ばしていくこと、つまりLTV(Life Time Value=顧客生涯価値)を高めることが、重要視されるようになりました。Salesforce導入により、中長期的な関係構築を行った上で、最適なタイミングで顧客のニーズにあった商材が提案できれば、LTVを最大化することができるようになり、LTVを高め、売上を伸ばしていくことができます。
メリット4:コスト削減とROIの向上
Salesforceの導入で営業活動が効率化すれば、営業担当者が顧客および見込み顧客にかける時間の最適化ができ、確度の高い顧客に対してより多くの時間を割く、といった効率的な営業活動を行うことができるようになります。その結果、人件費の最適化やリードタイムの短縮につながり、コスト削減や収益性の向上、ひいてはROI(Return On Investment=投資利益率)の向上につながります。
メリット5:ビジネスプロセスの継続的改善と競争力強化
Salesforce導入による営業活動の見える化で、どこがボトルネックになっているかの特定ができるようになるため、ビジネスプロセスの課題が容易に把握できるようになります。そしてビジネスプロセスの継続的な改善を行うことで重複や無駄が排除でき、顧客対応も抜けや漏れがなくなるので、顧客満足度も上がり、その結果競争力の強化を図れるようになることもメリットの1つです。
Salesforce導入の注意点
ここまでSalesforceのメリットを現場層・経営層それぞれの視点からご紹介してきました。Salesforceによる課題解決・業務改善が魅力的に見えてきた方もいらっしゃるかと思いますが、Salesforceの導入を成功させ、営業メンバーの利用を定着させるには、いくつか注意点があります。次はそちらをご紹介していきます。
注意点1:明確な導入目的がないうちに導入しない
Salesforce導入後の企業の未来像など、明確な目的やビジョンがないままSalesforceを導入しても、期待する成果は得られない可能性が大です。現行のビジネスプロセスの課題や実現できていないことを把握し、こうありたいという理想像を定めた上で、Salesforce導入で実現すべき目的やKPIを、明確に立てておくことが大切です。
注意点2:導入後の学習コストと段階的導入を考える
Salesforceは自由度が高く、できることが豊富にあるため、操作方法や利用方法を一朝一夕で理解することは至難の業です。速やかに定着させるためには、導入してから営業メンバーが使いこなすまでの時間も考慮して導入することが必要です。営業メンバー向けのレクチャー会の開催など、活用を促進するための活動は惜しまず取り組むことが大切です。特に複数のSalesforce製品を導入する場合、全ての製品を同時に稼働させても、従業員が使いこなせずに、最悪の場合業務がストップすることも。それを避けるためにも、Salesforceの製品および機能に優先順位をつけた上で、導入は段階的に行うのが良い方法です。優先順位と従業員の習得スピードに合わせて、徐々にトレーニングの種類を増やしていきましょう。
注意点3:データの品質管理をきちんと行う
Salesforce導入前に、入力の必須項目や記述方法など、従業員とルールを決めておくことが大切です。それを怠ると、従業員ごとに異なる粒度でデータ入力をしてしまい、品質が一定でない顧客データベースを運用し続けることになり、営業活動の効率低下が懸念されます。ルール決めをする際には、従業員の意見にも耳を傾けて、皆が受け入れやすい内容にまとめるのが肝心です。最低限のルールを設け、あまり厳密にしばりすぎないで、良い事例があれば展開し、使いながらデータ品質を高めていくと、利用に対しての心理的ハードルが上がりすぎずに運用していくことができるのでおすすめです。
失敗しないSalesforceの導入・活用の流れ
ここからはSalesforceの導入でつまずかないための事前準備と、導入後のSalesforce活用の流れを、7ステップに分けて解説します。
1.業務分析と課題抽出
現行のビジネスプロセスを分析し、課題を抽出しましょう。ビジネスプロセスを分析する際にはあらかじめ現場、マネジメントなど複数の人にヒアリングを行い、現場の声を把握しておくことが肝心です。
2.運用方針・導入目的の明確化
Salesforceの導入目的と運用方針を明確化します。導入目的としては、情報の一元管理、機会損失の削減など、Salesforce導入で実現したいことを明確化、運用方針は、誰がどのツールをどのような目的で使うのか、入力項目を増やしすぎないなどの使う上でのルールを遵守する、全社でデータ共有できるツールにするなど明確化することが例として挙げられます。従業員の同意を得るためには、欲張って内容を盛り込みすぎないよう注意しましょう。
3.導入計画の立案
最初に運用開始時期を大まかに決めます。そして開始時期から逆算して、Salesforceの導入検討から運用開始のスケジュールを立てましょう。想定外の問題が起きてもキャッチアップが容易にできるように、ある程度スケジュールに余裕を持たせることをおすすめします。
4.システム設計とカスタマイズ
ビジネスプロセスの課題解決のために、必要な機能を搭載するSalesforceの製品を選定します。Salesforceは標準的なビジネスプロセスを行なっている企業であれば、カスタマイズなしでも活用することができますが、業界特有の商習慣に従う必要があることや、企業独自の業務ルールがある場合にはカスタマイズが必要になります。また営業活動の改善のみならず、マーケティングやカスタマーサクセスなどの分野でも、Salesforceで業務改善をしたい場合には、複数のSalesforce製品を導入し、必要に応じたカスタマイズ作業を行いましょう。
5.データ移行と統合
既存データが、Salesforceに移行可能であるかどうか確認した上で、既存システムで管理している情報を、Salesforceに移行します。万一移行できないことが導入決定後に明らかになった場合には、既存システムと併用しながら人海戦術でデータ移行を行うか、あるいはSalesforce導入のエキスパートである、ゼンフォースなどコンサルティング企業にサポート依頼をします。エキスパート独自の解決策がある可能性が高いです。
6.利用する従業員へのトレーニング
環境が整ったら、実際に利用することになる社員に対して、利用する上でのルールや具体的な操作方法のトレーニングを実施します。自社独自のマニュアルを事前に準備しておくことでより円滑にトレーニングを進めることができますが、Salesforce社が提供している学習コンテンツも、基本機能の学習を行う上では効果的です。
またこのトレーニングの際に、実際の利用方法だけでなく、なぜSalesforceを導入するのか、どのような課題を解決したいと考えているのか、どのような営業チームの未来予想図を描いているのかなど、導入目的やビジョンを共有して営業メンバーと合意しておくことで、従業員が進んでSalesforceの活用をしてくれるようになる他、今後の営業活動の円滑化も狙っていくことができます。
7.本番稼働と初期サポート
本番稼働直後は機能に優先順位とつけ、最初から使う機能は最小限にします。さらに入力項目も制限して、新規データの入力や更新を、最初から行えるようにしましょう。スタート時はやりたいことを詰め込みすぎないことが、早くSalesforceに慣れるためには必要な措置です。そして皆がSalesforceの使用に慣れてきたら、利用する機能を増やしていきます。スタート時には、どんなに些細なエラーが起きても、従業員は不安になるもの。この時期のサポートは特に手厚くできるように体制を整えます。
8.モニタリング・改善及び最適化
従業員各自がSalesforceを頻繁に利用しているか、ルールに則った入力をしているかなどをモニタリングし、導入時に定めた目的達成に近づいているかどうか確認します。加えてその都度従業員へのヒアリングも行い、課題を吸い上げ、また従業員の意見も取り入れて、改善し、Salesforce定着のスピードアップを図りましょう。
Salesforce導入の流れを理解するために、こちらの記事も参考にしてみてください。
ゼンフォースのSalesforce導入支援とは
ゼンフォースでは、パフォーマンスを最大化する、Salesforceの導入・定着・活用支援サービス(以下Salesforce支援サービス)を提供しています。サービス詳細をご紹介しましょう。
ゼンフォースならではの支援の強み
ゼンフォースには、3つの強みがあります:
プロジェクトの品質を徹底的に追求:プロセス管理、成果管理、顧客満足度調査の三本柱を伴う独自の品質担保基準を採用し、最高のサービス品質を保証
BtoB企業に特化したSalesforce環境の最適化:IT・テクノロジー業界、製造業、金融業界などでの豊富なコンサルティング実績を活かした支援を提供、ROIの最大化をも実現
リードエンリッチメント on Salesforceの実現:Salesforceの活用で、高品質のリードデータの生成を確保することで、営業効率を向上し、さらには成果を獲得するための強力なサポート
スタートアップから大企業まで、Salesforce支援の実績を多く持ち、様々な業界ノウハウをも有しているゼンフォースが、Salesforce導入を成功に導きます。
導入・運用・活用支援の対象サービス
ゼンフォースのSalesforce支援サービスでは、SalesforceのBtoB向け製品に関し、お客様に必要な支援を提供します。標準プランで対象外のツール連携やダッシュボード作成のご支援には、オプションサービスの用意もあります。
Salesforce Coreソリューション支援
Sales Cloud・ Service Cloud 初期パッケージ
お客様にヒアリングを行い、現状を十分に把握した上で、運用目的の設定/フェーズ定義から項目設定、権限設定まで、お客様の同業他社での導入支援経験も活かした内容で、必要に応じてオプションサービスも提供
マーケティングオートメーション支援
Account Engagement(旧Pardot)導入プラン
お客様のニーズに合わせた以下3プランをご用意
Light Plan:MAの運用経験がある企業向け、初期設定のみを支援するリーズナブルなプラン。運用開始までの業務を代行
Standard Plan:MA運用が初めての企業向け、低予算で初期設定全般と活用前までのサポートに特化、導入後にすぐ運用したい場合に最適
Professional Plan:MA運用の経験がなく、実装までの支援が必要な企業向け。マーケティング専業のスタッフが社内にいないか少ない場合に最適
BIソリューション支援
CRM Analytics 初期構築パッケージ
Salesforceの連携から運用の整理、ダッシュボード作成までを実施し、CRM Analyticsの初期構築を支援。要件定義の実施、データセットの作成、Analyticsユーザーの初期設定もパッケージに含む。
関連ソリューション支援
ご希望のツールの運用・保守プラン
契約期間に合わせて1ヶ月プラン、3ヶ月プラン、6ヶ月プランの3つのプランを提供
フローを用いたローコード開発(仕様が提示されている場合)、レポート&ダッシュボードを用いた分析基盤の作成などの、Salesforceの設定で解決できる内容のカスタマイズ作業や、権限周りの整理など実施し定着化を支援。電話/メールでの対応あり。
ご要望のツールの活用支援
営業・マーケティング施策の成果最大化を目指した、活用支援プランを以下3つのフェーズに分けて提供
ツール導入前:BtoB営業/マーケティング戦略立案
ツール導入中:MA/CRM導入・活用支援
ツール導入後:モニタリング改善支援
ゼンフォースの導入・運用・活用支援の対象サービスについての詳しい情報は、下記資料に掲載されています。無料でダウンロードいただけますので、ぜひご覧ください。
まとめ
Salesforceを導入さえすれば効果が得られるものではありません。失敗しないSalesforce導入の流れを理解し、本番稼働後も計画的に社内浸透させていけば、Salesforceは速やかに定着し、企業に大きな効果をもたらすのです。ゼンフォースでは、失敗しないSalesforce導入と、早期に社内で定着させるための支援事業を行なっておりますので、Salesforce導入とあわせてご検討下さい。