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SFA導入に必要な7つのステップ|導入を成功をさせるための手順と選定方法を解説

セールス マネジメント

目次

営業活動を効率化するために、SFAを導入する企業が増えています。しかしながらSFAは導入を完了すれば、売上が自動的に向上する魔法のツールではありません。導入目的が不明確のままSFAを導入してしまうと、社内でSFA運用が定着せずに、うまく使いこなせないどころか、最悪の場合そのまま放置されてしまう場合も。それでは苦労してSFAを導入にこぎつけた苦労が水の泡になってしまいます。

SFA導入を成功させるためには、プロジェクトとしての導入ステップを丁寧に進めることが重要です。今回は導入で必要な7つのステップと、SFA選定のポイントをご紹介します。

SFAとは?

SFA SFAとは

出典:KeywordmapACADEMY

御用聞き営業だけで、受注数の安定確保に挑むのはもはや時代遅れ。今では収集した様々なデータから戦略的に営業活動を進め、より多くの案件受注をシステマティックに目指す企業が、日本でも多くなりました。SFA (Sales Force Automation=セールスフォースオートメーション) とは、商談から案件受注までの営業活動全般を効率化する方法のことです。加えて営業活動を可視化し、管理するツールのこともSFAと呼びます。営業プロセスやスケジュールの管理、顧客訪問などの営業担当のタスク管理、顧客情報や案件管理、販売予測や営業予算管理、見積もりやレポート作成、メール管理、さらには受注管理など、営業活動に必要となる機能がSFAに搭載されているので、営業活動の効率化を推進できるのはもちろんのこと、SFAで営業活動の見える化と共有化が実現されます。またそれ以前には各営業担当が管理していた案件情報すべてが、SFAを導入することでSFAで一元管理され、全営業担当の進捗状況の確認がリアルタイムに可能となれば、マネージャーから部下への、タイムリーなアドバイスができるようになります。それが受注までの大幅な時間削減や、受注率向上につながり、さらには営業チーム内の風通しもよくし、企業全体の生産性向上にも大きく期待できます。

SFA導入に必要な7つのステップ

SFAが営業活動を効率化し、営業改革を進めるのに有益なツールであっても、目的を定めた上で、プロジェクトとして導入ステップを踏まないと、「SFAを導入したのは失敗だった」という結果になりかねません。SFAの運用が軌道にのらず、スタッフに嫌われる業務ツールに成り下がってしまわないように、まずSFAの導入ステップを理解することから始めましょう。一般的なステップ7つを紹介します。

1. 導入プロジェクトチームを編成する

最初に行うことは、営業改革のプロジェクトチームを編成することです。企業規模にもよりますが、チームの人数は2名から5名程度、営業現場の経験が十分にある1名をプロジェクトリーダーにアサインし、次にプロジェクトリーダーをサポートして、システム管理など実務を担当できるメンバーを1名から4名を選びましょう。チーム編成は小規模でも、人選を誤らない限り十分機能するはずです。中小企業であればさらに少数精鋭で、プロジェクトリーダーと実務担当の2名体制でも問題ありません。プロジェクトチームは、SFAの概要や導入後に自社にもたらされる(であろう)明るい未来を理解し、チーム全体で導入の決意を固めることから活動を始めます。成功させるという強い意志をプロジェクトチーム全員が持つことが、SFA導入成功の第一歩です。

SFA導入により、これまでの営業プロセスを抜本から変えることにもなるので、今までのやり方に慣れ親しんだスタッフから反感を買うことも。その対応策としては、導入プロジェクトチームに充分な権限付与と、マネジメント(社長および役員)による後方支援が不可欠です。マネジメントの一人をプロジェクトチームの顧問として、プロジェクトチームに名前を連ねてもらえば、社内で無視できない存在になるはず。また反発しそうなスタッフを、あえてプロジェクトチームにアサインするというのも良い方法です。SFAを理解すればするほど、一転して強力なSFA信者に変身する可能性が大いにあります。

2. 導入目的を整理する

次に自社におけるSFA導入の目的と機能要件の例、スケジュールそして予算を決めていきます。それぞれ詳しく確認しましょう。

(1)導入目的(例)
まずは自社の営業課題をマネジメントと共有した上で、SFA導入の目的を明確に定めます。その際には「SFAの導入を成功させる」など、SFAの導入自体を目的にしないように、くれぐれもご注意ください。次に目的例をあげてみます。

・顧客、人脈、案件情報を一元管理することで、キーパーソンとのベストな商談タイミングを可視化し、機会損失をなくすこと
・営業活動の標準化と顧客情報の共有で属人化を解消し、引き継ぎが必要な場合も、即座に対応ができ、営業活動が速やかに継続できること
・各営業担当者の営業活動状況の変化を、リアルタイムに確認した上で、いつでもどこからでも、迅速なアドバイスや指示を行い、受注のタイミングを早めること(マネージャー仕様)  など

(2)機能要件(例)
SFA導入の目的を定めたら、今後の導入プロジェクトの指針となる、機能要件を決めましょう。ただしここでは次の通り大まかな機能要件にとどめ、詳細はSFAを選定する段階で決めます。

・営業担当者、製品、業界など、様々な軸で商談を分析ができること
・見積もり作成やレポート作成ができること
・他システムとの連携で、より広範囲に顧客の履歴管理ができること など

(3)スケジュール
運用開始のタイミングをおおまかに定め、そこから逆算してSFAの導入検討から運用開始までのスケジュールを立てます。標準的なスケジュールとしては、以下の通り5ヶ月が目安です。

・SFA導入検討から契約まで:3ヶ月
・契約から運用開始まで:2ヶ月

企業独自のビジネスモデルや営業戦略の違いから、必要となる期間は異なってきますし、SFAとの連携が必要な既存システムがある場合には、その作業時間も含めるべきでしょう。ある程度の余裕を持ったスケジュールを立てることが必要です。

(4)予算
投資予算枠を定めることが、ツール選定の基準の一つとなります。例えば営業担当者が10名在籍し、1人当たりにかかる月額費用(賞与を含める給与、福利厚生、営業経費などの合計)が50万円で、そのうちの1%をSFAへの投資額と考えた場合、月額費用の合計が5,000円x10名=50,000円です。それから計算すると、5年分(60ヶ月)の予算は50,000x60=300万円です。この数字はあくまでも計算上の話ですので、企業のIT投資への方針で異なります。ひとつの目安と捉えてください。                    

3. SFAの選定を行う

3つ目のステップはSFAの選定です。SFAについての情報収集と、SFAツールベンダー、あるいはその代理店のSIerとの面談が必要となります。SFAに限ることではありませんが、現在のツール体系には、インターネット環境があればどこでも利用できるクラウド型と、自社保有のサーバー上にシステムを構築し管理するオンプレミス型があるので、まずはオンプレミス型、クラウド型どちらのSFAを選ぶかを決める必要があります。自社で管理や運用保守が自前でできる企業であれば、より高いセキュリティ確保ができるオンプレミス型がよいとされますが、たとえ対応する力が自社にあっても、自社負担をできるだけ減らしたい企業であれば、導入ハードルが低く、柔軟な利用ができるクラウド型の方が良いと考えられるのです。日本でもクラウド型のSFA導入が増加しています。SFAは国産、海外ツールとも、大変多くリリースされていますので、世の中の評判を鵜呑みにするのではなく、料金や機能、サポート体制なども十分に比較調査した上で、自社に最適なツールを選択すべきでしょう。導入するSFAが決まったら、あとは社内稟議を経て、導入の承認を得たら、いよいよツールベンダーとの契約締結です。なおSFA選択のポイントについては、後ほど詳しく解説します。

4. 運用の準備をする

導入するSFAが確定したタイミングで行う運用の準備が、4つ目のステップです。1日も早く社内にSFAを定着させるために、次に紹介する3つの点で進めましょう。

(1)運用メンバーのアサイン
導入プロジェクトメンバーとともに、SFAの運用が軌道にのるための活動を行う運用メンバーを、営業部門から選出し運用開始に備えます。SFAの定着にはメインユーザーになる営業部門の協力が不可欠なので、運用開始時から関わってもらうことが肝心です。部門を超えた活動となると、とかく若手社員をアサインしがちですが、現場の声をリアルに聞くためにも、営業部門責任者や、営業現場の実力者もメンバーに加えることが必要となります。

(2)SFA導入決定から定着までのタイムライン決め
SFA定着までのタイムラインを定めます。一般的に設定されるタイムラインを紹介しましょう。

・SFAの導入目的を再確認(導入プロジェクトメンバーおよび運用メンバー全員で)
・KPI(Key Performance Indicator = 重要業績評価指標) 設定
・運用ルール、や業務フローの設定(営業プロセスの標準化に向けたもの)
・収集が必要な情報と顧客セグメントの明確化
・SFA導入(各種マスタやパラメータ情報などの登録は、システム管理者が実施)
・マニュアル整備(ベンダー提供のユーザーマニュアルに加えて、自社独自マニュアルも用意)
・SFA運用開始(ベンダーとの契約から運用開始まで2ヶ月が目安)
・SFAを利用するメンバー対象のトレーニング実施
・ユーザーの利用状況チェック(導入プロジェクトチーム主導)
・ユーザーからのフィードバック->問題解決(社内ヘルプデスク設置)
・SFA定着(導入後定着までは3ヶ月が目安)

(3)KPIの設定
SFAを利用するユーザーが、導入目的を理解しないまま運用が開始されると、単にSFA操作ができることが目的になってしまう可能性があります。それを避けるためにも、案件数、商談数、受注率、顧客単価などのKPI (Key Performance Indicator=重要業績評価指標) の設定が必要です。具体的なKPIがあれば目標までの道筋が明らかになるので、その達成のために営業チーム全体の足並みが揃い、営業担当者の行動も活性化していけば、営業活動を効率化するSFAを、もっと利用してみようというモチベーションが生まれ、PDCAサイクルも回しやすくなるはずです。

PDCA 

出典:zuuonline

5. SFAを導入する

SFAツールベンダーとの契約締結後、クラウド型の場合は提供会社との契約締結後、ベンダーにIDやパスワード、利用する機能などの基本情報をベンダーに提出、その後自社専用URLが発行されたら導入完了となり、あとはURLにアクセスするだけ。契約締結日にSFAの運用が開始できることがほとんどです。クラウド型SFAのユーザー登録は、自社のシステム管理者が行う場合と、ベンダーに依頼する場合があります。一方オンプレミス型の導入には、SFAをインストールして管理するサーバーの調達や、ネットワーク構成、SFAインストール、パラメータ調整などの作業が必要です。場合によってはアドオン開発が加わることもあります。単にSFAのインストールだけなら、最長でも5営業日で完了するのですが、オンプレミス型の場合、導入前の準備に費用と時間がかかりますので、事前の費用試算は綿密に行いましょう。導入完了後システム管理者が、SFAの初期設定とユーザー全員の登録を済ませたら、運用開始です。

6. SFAの運用を開始する

SFAの運用開始時に、SFAを利用した業務フローを確認し、SFAのオペレーションを学ぶトレーニングが、全ユーザー対象で必要となります。トレーニング開催に際し、導入プロジェクトメンバーが、ツールベンダーのサポートを求めながら、自社独自のトレーニングマテリアルが用意できればベストです。SFA上で一般ユーザーとは別の権限も必要になるマネージャーには、マネージャー向けトレーニングも別途設けましょう。トレーニング終了後に各ユーザーがSFAにログインしてみると、とかくマニュアル通りにはことが運ばないものです。「ログインができない」「パスワードを忘れた」といった問題に対し、迅速で手厚いサポートが必要になりますので、少なくとも運用開始から1週間はシステム管理者が優先的にユーザーのサポート対応できるように調整しましょう。SFAが本番稼働したら、SFAについての詳細質問や、苦情が爆発的に増えますし、また現場からのフィードバックをリアルタイムに聞く必要もあるので、プロジェクトメンバーによる社内ヘルプデスクを設置しましょう。

7. SFAの運用を定着させる

SFA導入後のSFA運用開始からの取り組みいかんで、社内でSFAを定着させられるか、どうかが決まるといっても過言ではありません。オペレーションに慣れるまでは、「SFAは難しい」「SFAは使えない」など、特にSFAのメインユーザーである営業担当者のストレスがたまりやすく、使うのを諦めてしまいがちです。また以前の管理方法の方がよかったと、SFAを否定するスタッフが出てくることも考えられます。SFAを定着させるためには、プロジェクトリーダーの存在が大変重要です。毎日できる限りSFAにログインするようユーザーに働きかけ、運用状況は定期的にチェックし、ユーザーのフィードバックから確認した課題を迅速に解決して、より使いやすくなるよう改善の旗振りをプロジェクトリーダーが中心となって続けていけば、SFAにネガティブイメージを抱くユーザーが日々少なくなります。加えて社内ヘルプデスクが、ユーザーのQ&Aを速やかに対応することも、SFA定着にはとても効果があるはずです。一般的にSFA導入から定着するまでは、最低3ヶ月はかかると言われます。導入後3ヶ月で効果測定を行って定着レベルを確認し、そのレベルがあまりにも低ければ、ユーザーにヒアリングをして課題を見つけ、早急に解決すべきです。ヒアリングはピンポイントで行って、合わせて全ユーザー対象のアンケートを実施するのが、早く結果を得られるテクニックです。導入プロジェクトチームから見て合格レベルの定着レベルが見極められたら、その先は導入前に設定したKPIを検証およびプロセス改善を四半期ごとにくりかえし、SFAを完全に定着させましょう。

SFA選定のポイント

すでに言及した通り、現在多くのSFAがリリースされています。まずはSFAの比較表をウェブ検索し、一般的な売れ筋SFAを確認します。その中から自社と同規模の企業や、競合企業に導入されている(されているであろう)SFAを複数ピックアップし、ツールベンダーそれぞれの会社ウェブサイトから情報を得たり、セミナーに参加した上で、最終候補を3つほどに絞り込みます。その後は最終候補ツールのベンダーと、個別にミーティングセットです。自社の導入目的に合った機能が搭載されているか、トータルコストが予算内であるかどうかが最重要ポイントといえますが、次の4つのポイントもSFA選択には重要です。

1.サポート体制が充実しているか
2.外部ツールとの連携できるか
3.使いやすいUIかどうか
4.ツール導入のROI

この4つについて、詳しく解説していきましょう。

1.サポート体制が充実しているか

SFAを導入してから定着させるまでの間、ユーザーから様々な質問が寄せられます。たとえ社内ヘルプデスクを設置しても、ツールベンダーにしか解決できない問題も少なくないため、対応が早いサポート体制を保有するツールベンダーであることが重要です。加えて万全なサポートを提供しながら、他よりサポート費用が安い、あるいは無料というベンダーがあればより好印象と言えます。

2.外部ツールと連携できるか

SFA MA 導入

出典:quartet-communications

SFAは営業活動を効率化させるツールですが、営業活動前の様々なイベント管理、リード管理や分析やリードナーチャリングには、マーケティング施策に関する業務を効率化するMA(Marketing Automation=マーケティングオートメーション)が必要です。SFAが外部ツールとの連携機能があれば、MAとの連携で管理する見込みリードデータがSFAと同期できるので、データ活用がスムーズになります。また自社ですでに運用している他システムとSFAの連携が必要となる場合でも、SFAに連携機能があれば、データ収集の幅が広がる結果となります。

3.使いやすいUIかどうか

操作画面やマウス、キーボードなど、ユーザとサービスを繋ぐもの全てを意味するUI(User Interface=ユーザーインタフェース)。SFAのUIが使いやすいことも、SFAの定着には重要なポイントです。操作画面がわかりにくかったり、必須入力項目が多いと、入力作業が面倒になります。入力の後回しが続くうちにSFA内の情報が最新ではなくなり、信用できないものになることに。それを回避するには「必須入力項目は必要最小限」「プルダウンメニューが選択式」といった、直感的に使えるツールの選択が重要になります。スマホやタブレットに対応しているツールかどうかも重要ポイントと言えます。外出先でも営業資料を確認できたり、外出先からデータのアップデートができるのは、営業担当者にとって必須項目だからです。UIが良いSFAなら、ツールやサービスを通じて得られるUX (User Experience=ユーザーエクスペリエンス) も並行して向上するので、ユーザーが「SFAを使うのは楽しい」という気持ちになる可能性が高くなるはず。また外国製品のSFAでは、ユーザーマニュアルやツールベンダーのサポート組織でも、日本語対応ができているかどうかの確認も必要です。

4.ツール導入のROI

SFA ツール導入 導入 ROI

出典:docomo business

SFAの利用料金には、導入費用のほか、保守サポートなど月や年単位で支払うランニングコストも含まれる場合がほとんどですが、オプションが多くなると高価になる場合も少なくありません。初期導入費用の安さだけに注目して決めてしまうと、実はオプション追加のために、予算オーバーに陥ることもあります。どのような機能がSFAにあれば自社の課題が解決できるのか、そのためにオプションは必要かといったシミュレーションを何度か行い、ROI (Return on investment=費用対効果)を考えた上で、自社の予算と合うSFAを選択しましょう。まずは必要最低限の機能が搭載されたSFAから始めることを強くおすすめします。

おわりに

生き残りをかけた企業間の競争は、年々熾烈さを増しています。SFAを導入することで、営業力が強化でき、さらには営業活動を効率化できることは明らかです。競合他社に勝つためには、自社に必要な機能を搭載したSFAが、強力な武器の役割を果たしてくれます。定着が難しいといわれるSFAですが、7つの導入ステップを丁寧に進め、SFA選定のポイントを確実に押さえておけば、自社にあったSFAが見つかり、また定着の不安も解消できるというものです。最適なSFAを導入して営業活動を効率化し、さらなる業績アップをめざしませんか。

著者情報
武藤 かおり(むとう かおり)
Kaori Mutoh
1993年に縁あってSAPジャパン株式会社に入社以来、勤め人を終えるまで一貫してIT業界にて勤務。主に外資系IT企業(主にソフトウェアベンダー)数社で日本法人立ち上げも含めた、マーケティングまたはアライアンスパートナープログラム(チャネルビジネス)部門の責任者を務める。ERP、BPM,、ECM、OSS分野でのビジネス経験あり。2018年よりフリーランスとして、ITおよびマーケティングサービス企業向けの営業およびマーケティング支援コンサルタント、ライター(IT&マーケティングトレンド専門)、マネジメントおよびジュニアマーケターの外部メンターとして活動中。