[ B2B Enablement Media ]

営業力を向上させるには?営業力を高める4つの施策を紹介

セールス

目次

企業経営において、営業力の向上は事業の成長を左右する重要な要素です。営業部門の責任者であれば、「全員を売れる営業パーソンにしたい」「営業ノウハウを蓄積し再現性を高めたい」と考えるのは当然のことでしょう。しかし、営業担当者一人ひとりの能力を高め、組織全体の営業力を高めるには、どのような施策を打てばよいのか、具体的な方法がわからないという悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。そこで、本記事では、営業力が低い原因と、それを克服するための4つの施策を紹介します。

この記事を読んでいただくことで、営業力を向上させる施策を理解し、具体的なアクションに落とせるヒントを得られますので、ぜひ最後までご覧ください。

営業力が低い3つの原因

営業の現場での成果を上げるためには、まず原因を知ることが重要です。営業力が低い企業には、いくつかの共通する原因があることを理解しましょう。主な原因としては以下の3つが挙げられます。

・顧客の潜在ニーズを理解できていない
・営業効率化が悪い
・営業プロセスが明確化されていない

これらの原因を改善することで、営業チームの業務生産性が向上し、結果として売上増加が見込めます。それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。

営業力が低い 理由

​1.顧客の潜在ニーズを理解できていない

顧客が抱えている課題やニーズを理解し、その解決策を提示することが営業の役割です。しかし、営業力が低い組織の場合、顕在ニーズしか捉えられておらず、潜在ニーズを理解できていないケースが見られます。顕在ニーズとは、顧客が自覚していて明確に表現されるニーズのことを指します。一方、潜在ニーズとは、顧客自身がまだ認識していないか、または明確には表現していないニーズのことを指します。そのため顧客が営業と初めて接触するタイミングは、すでにニーズが顕在化した状態であることが多いでしょう。The Digital Evolution In B2B Marketingの調査によれば、BtoBの購買プロセスの57%は、営業担当者に会う前にすでに終わっていることがわかります。

購買プロセス 営業

出典:The Digital evolution in B2B Marketing

これは、「顕在ニーズだけを捉えていると、多くの商談のチャンスを逃してしまう」ということを示唆しています。つまり、商談の場が顧客と初めて接触するタイミングである場合、顕在化された顧客にしかアプローチできていない可能性が高いといえるでしょう。潜在ニーズを理解し、それに応える提案をすることが、結果として営業の成功率を高めることにつながります。

2.営業効率化が悪い

営業の効率化は、成果を上げるための鍵となります。HubSpot Japan株式会社が実施した「日本の営業に関する意識・実態調査結果」によると、営業担当者に「働く時間のうちムダだと感じる時間の割合」という質問に対し、「働く時間のうち22.37%」という結果になっています。

法人営業 無駄

出典:日本の営業に関する意識・実態調査2023|HubSpot

つまり、多くの営業担当者が無駄な仕事に時間を取られていることが明らかになっています。それでは、なぜ営業効率は上がらないのでしょうか。営業効率化を妨げる原因は主に3つに分けられます。

営業プロセスが明確化されていない

受注までのステップが明確でない場合、営業担当者はやみくもに活動を行うことになり、効率的な営業活動ができません。例えば、初回のアポイント獲得から提案、クロージングまでの流れや、それぞれのステップでの目的や役割が定義されていないと、営業担当者は何をすべきか、どのタイミングで何を伝えるべきか迷いが生じるでしょう。これにより、顧客とのコミュニケーションが円滑に進まず、タイミングを逃してしまったり、商談の成功率が低下したりする可能性があります。

組織体制が整わず、顧客対応以外に時間を使っている

組織体制が整わず、顧客対応以外に時間を使っている状況は、多くの企業で共通して見られる課題です。Salesforceが公開している「第5版セールス最新事情」によれば、営業担当者が直接的な営業活動に費やせる時間は1週間の28%に過ぎません。

営業 時間配分

出典:第5版セールス最新事情|Salesforce

残りの時間に関しては、顧客データの入力や管理、報告書の作成、内部ミーティングなど、営業活動以外の業務に多くの時間を取られてしまっているのが現状です。このように、営業担当者は一人で多くの業務を抱えており、本来やるべき営業活動に専念できていない状況に陥っているのです。そのため、組織としては一人完結型の営業スタイルから「組織的な営業スタイル」への移行が求められています。これにより、各担当者が得意とする部分に集中し、組織全体としての営業効率向上が期待できます。

情報連携がされていない

チームでの業務遂行が増える中、顧客情報の連携や引き継ぎが不十分であると、コミュニケーションコストが増大するため営業生産性を下げてしまいます。例えば、前回の商談内容や顧客からの要望、問題点などの情報が共有されていなければ、次回の商談時に同じ内容を再度確認する必要が生じ、「以前◯◯さんにもお伝えしたのですが・・・」と、顧客の不満や不信感を招きかねません。また、情報の連携不足は、営業担当者間での誤解やトラブルを引き起こすリスクも増大します。これらの問題を解消するには、デジタルツールの導入や、定期的な情報共有の場を設けることが有効です。実際に、Sansan株式会社が実施した「営業活動におけるデータ活用の実態調査」よると、他部署が収集した顧客データや外部の企業データを営業活動に利用したいと感じる人は8割超という結果を示しており、営業現場ではデータを活用した営業活動への望みが大きいことが分かります。

営業 データ活用 ITツール

出典:営業活動におけるデータ活用の実態調査|Sansan株式会社

3.営業ノウハウ・ナレッジを共有する文化がない

営業ノウハウやナレッジが一部の営業担当者にしか共有されない場合、組織全体としての営業力は向上しません。なぜなら、新入社員や経験の浅い営業担当者が、先輩や経験豊富な営業担当者の知識や経験を活用できないため、自らの力で全てを学ぶ必要が生じるからです。このような状況は、営業担当者の成長を遅らせるだけでなく、組織全体の営業力の標準化を阻害してしまうでしょう。また、ノウハウやナレッジが属人化すると、その担当者が退職や異動をした際に、その知識や経験が組織から失われるリスクが高まります。これは、一部の営業マンの売上に過度に依存する結果を生む可能性があります。営業ノウハウやナレッジの共有を促進するためには、定期的な研修やミーティング、内部の情報共有ツールの活用など、組織としての取り組みが必要です。これにより、組織全体の営業力を標準化し、持続的な成果を上げる土壌を作ることができます。

営業力を向上させる4つの施策

営業力を向上させるための具体的な施策は多岐にわたります。ここでは、特に効果的とされる4つの施策について、それぞれのメリットを交えて解説します。ビジネスの成長を加速させるために、ぜひ参考にしてみてください。

営業力 向上施策 

インサイト営業を取り入れる

インサイト営業の導入とは、顧客の潜在的なニーズや課題を先取りし、それに対する解決策を提供する営業手法です。この手法を取り入れることで、顕在化する前の顧客と接触し、潜在ニーズの段階でアプローチできます。インサイト営業の主なメリットは次のとおりです。

顧客との関係強化:インサイト営業は、顧客の未発見の悩みを発見し、解決策を提供することで、信頼関係を強化し、長期的なパートナーシップを築くことができます。

リピート購入率の向上:顧客との強固な関係を築くことで、継続的な取引が増え、リピート購入率やLTV(顧客生涯価値)が向上します。

新市場の開拓:顧客の未発見のニーズや新しいビジネスチャンスを発見し、それに対応する新しい提案をすることで、新しい市場を開拓できます。

インサイト営業を導入するポイントなど、詳しく知りたい方はこちらの記事もあわせてご覧ください。

SFA・CRMなど営業支援ツールを導入する

SFAやCRMといった営業支援ツールの導入により、顧客情報や商談履歴の一元管理が可能となり、営業プロセス毎の進捗状況や活動履歴を可視化できます。結果、営業活動の集計・分析や受注予測が容易になり、組織全体での情報共有の効率化や営業活動における課題改善に役立つでしょう。営業支援ツールを導入するメリットは次の通りです。

効率的な情報管理:顧客情報や商談履歴を一元的に管理することで、情報の取り扱いが効率的になり、営業活動の迅速な対応が可能となります。

営業活動の可視化:営業プロセスの進捗や担当者の活動履歴を明確にすることで、営業の弱点や改善点を明確に把握し、戦略の最適化が進められます。

組織全体の情報共有:営業支援ツールを通じて情報を共有することで、組織内のコミュニケーションがスムーズになり、チーム全体の生産性が向上します。

営業支援ツールについて詳しく知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
SFAとは?営業DXに欠かせない機能と導入から活用までのステップを解説
【BtoB】CRMの効果を実感できていない時に振り返るべきポイント
マーケティングオートメーションツールとは?失敗する原因や運用のポイントをわかりやすく解説!

営業推進を担当する部署を設ける

営業推進とは、営業活動を支援し、最大限の効果を引き出すための役割を指します。営業推進部門は、営業部の売上向上に向けて最適なシステムや手法を策定し、その実行を主導することが役割です。Salesforceの第5版セールス最新事情の調査結果によれば、パフォーマンスが高い営業チームほど、営業支援部門の営業戦略への影響力が拡大していると回答しています。

営業戦略 営業力 関係

出典:第5版セールス最新事情|Salesforce

例えば、先述したSFAやCRMといった営業支援ツールは、単に導入するだけでは機能しません。むしろ、ITリテラシーが高くない社員が利用すると、かえって業務生産性の低下が懸念されます。そこで、営業推進部が営業部門のサポートを行い、効果的な活用を促進します。営業推進の役割や推進方法、企業事例についてはこちらの記事で詳しくまとめていますので、併せてご覧ください。

ノウハウやスキルを共有する仕組みをつくる

ノウハウやスキルを共有するための勉強会やナレッジシェアを目的とした社内イベントを設け、営業メンバー間で情報や知識の交流を行う仕組み作りが有効です。さらに、営業支援ツールを活用することで、営業担当者ごとの営業プロセスを可視化し、パフォーマンスが高い担当者と、パフォーマンスが低い営業担当者のスコアを比較することで、課題の特定およびマネジメントに活かすことが可能です。また、営業力を磨くためには、実践的なトレーニングと適切なフィードバックが欠かせません。そのための最適な手法に営業ロールプレイングがあります。商談の流れの把握や自社サービスの提案手順や、自社の営業スタイルを効率的に浸透させることが可能です。これらの取り組みにより、勘や経験に依存することなく営業力を再現性のある形で向上させることができます。営業ロールプレイングのメリットや実施方法については、こちらの記事で解説していますのでぜひご覧ください。

おわりに

本稿では、営業力が低い企業に共通する3つの原因から、営業力を向上させるための具体的な施策として、インサイト営業の導入、営業支援ツールの活用、営業推進部署の設置、そしてノウハウやスキルの共有という4つのポイントまで詳しく解説しました。これらの施策は、組織の営業力を総体的に高めるための基盤となります。営業力を高めるには、営業推進部門を設置することで、営業ノウハウの属人化防止や営業効率の向上も期待できます。また、デジタルツールを導入することで、営業担当者一人あたりの業務負荷の軽減や、営業ノウハウの属人化を防ぎ、組織としての営業力向上につながるでしょう。

営業活動における課題やツールの導入に関してお困りの際は、ゼンフォースがサポートいたしますのでお気軽にお問い合わせください。

著者情報
高橋 洋介(たかはし ようすけ)
Yosuke Takahashi
2010年リクルート入社。アルバイト・中途採用領域の求人広告営業に従事し。在職中にMVP5度受賞などの実績を上げ、業界・業種・企業規模問わず多くのクライアントからの信頼を獲得。その後人材系広告代理店を経て、2020年よりフリーランスとして活動を開始。現在では法人向けに採用支援、営業支援、SaaS導入支援など幅広く対応。