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セールスオペレーションとは?今注目される理由や推進のポイントを解説

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目次

インサイドセールスやデジタルマーケティングといった言葉が浸透し、インターネットやIT技術の発展とともに営業活動のあり方が刻々と変化してきています。そのような中、セールスオペレーション(Sales Ops)という言葉も徐々に使われ始めてきました。オペレーションと聞くと日々の定常業務をイメージされる方が多いかもしれません。ですが、営業組織・マーケティング組織の貢献度を底上げするためには、セールスオペレーションを深く理解して実行することが不可欠です。

本記事では、セールスオペレーションが注目されている背景、セールスオペレーションを推進するにあたって押さえておくべきポイントなどを解説していきます。

セールスオペレーションとは?

セールスオペレーション(Sales Ops)とは、営業による成果=売上・利益の最大化を目的とした、営業活動に関連する業務全般を指します。より効率的に営業活動を行えるように最前線の営業チームをサポートし、また、営業マネージャーがチームの成果を最大化するための支援を行ったり、営業組織の戦略や戦術立案まで実行します。セールスオペレーションは、1970年代にアメリカのゼロックス社が販売計画・売上予測・テリトリー設計などの活動を行う販売業務グループを初めて設立したのが起源と言われています。近年では、ITサービス(SFAやSRMなど)を駆使したセールスオペレーションの構築が求められています。

セールスオペレーションが必要とされる理由

上述の通りセールスオペレーションは古くからある考え方ですが、近年その重要性が高まってきています。その背景として大きく5つのトレンドが存在しています。

1.テクノロジー

SlackやZoomなどのコミュニケーションツールや、CRMやSFA、MAといった営業活動をサポートするITサービスが普及してきています。顧客のニーズに応え、競合他社と差別化を図るために、こういったテクノロジーの活用は必要不可欠です。

2.データの活用

テクノロジーの普及に伴い、さまざまなデータを取得できるようになりました。従来は各営業が属人的に判断していたようなことも、客観的なデータを元にした意思決定により標準化・最適化できるように変化してきています。

3.インサイドセールス

フィールドセールス(外販営業)と対をなすものとして、インサイドセールスという営業スタイルが定着しつつあります。商談を行い受注を増やすだけでなく、その前工程であるリードナーチャリングをミッションとすることが特徴です。

4.ミレニアル世代

ミレニアル世代とは、1981年から1996年ごろに生まれた世代の呼称です。2023年現在、企業において主力メンバーとなっている彼らは、小さい頃からインターネット・IT技術に触れる機会が多くありました。それ故に、いわゆるアナログ営業と呼ばれる従来の営業スタイルから脱却するための改革を容易に受け入れる傾向が強くなっています。

5.セールスとマーケティングの連携

日々目まぐるしいスピードで変化する市場や顧客のニーズを捉えるため、セールスとマーケティングの連携は必要不可欠です。しかし、「連携するためにとにかくコミュニケーションをとろう」としていては、途方もない時間や労力を要してしまいます。両部門の活動それぞれに関連するシステム(例えばSFAとMAなど)がAPIなどを通して融合できるようになっており、より効率的に両部門の活動を連携させることができるようになってきています。

セールスオペレーションとセールスイネーブルメントの違い

セールスオペレーションと混同しがちな言葉として、セールスイネーブルメントというものがあります。セールスイネーブルメントは、「営業組織」を強化・改善する取り組みです。最終的なゴールが営業の生産性向上という点はセールスオペレーションと同じですが、セールスイネーブルメントの方は営業担当者のスキル向上やナレッジの蓄積など、「人」や「能力」に重点を置いています。一方、セールスオペレーションは上述した通り「戦略」や「プロセス」に重点を置いています。両者の違いを認識しつつ、お互いの活動による効果を高め合えるように業務分掌を最適化する必要があります。

セールスイネーブルメント セールスオペレーション 違い

出典:mindtickle|Why Sales Enablement needs to work with Sales Ops

セールスオペレーションの具体的な役割

セールスオペレーションには主に4つの役割が存在します。それぞれ具体的に解説していきます。

セールスオペレーション 役割

出典:Lucidchart|Sales operations 101: Roles, objectives, and keys to success

1.Strategy

セールスオペレーションの主な役割の1つは、営業組織が目指すべき目標を明確にしその目標を達成するための戦略を描くことです。戦略には、次のような要素が含まれます。
・ 営業プロセスの最適化
・ ターゲット、テリトリー選定
・ KGI、KPI設定
・ 販売予測
・ 必要とされる営業スキルの言語化
・ 営業スキルと方法論の評価

2.Technology

近年、営業活動を支援するさまざまなツールやシステムが普及してきました。しかし、闇雲にそれらツールに手を出してしまうと、かえって現場の営業担当の混乱を招く可能性もあります。営業担当が営業活動に集中できるよう、次のようなポイントを押さえておくとよいでしょう。
・ アプリとツールの統合
・ CRMの導入とカスタマイズ
・ データ管理と定期的なレポート
・ タスクの自動化
・ 営業チームのコミュニケーションの効率化

3.Operations

セールスオペレーションは、それまで営業担当が行っていた管理業務や運用タスクの負担を引き受けることにより、営業部門全体の高いパフォーマンスに貢献できます。また、営業は日々手持ちの情報(自社サービス、競合他社サービス、市場のトレンドなど)をアップデートする必要があります。それらを各営業担当が属人的に行なっていては非効率なので、セールスオペレーションとして一手に担うケースも多いです。
・ 製品トレーニング
・ セールストレーニング
・ 優秀な人材の採用とオンボーディング
・ マーケットインテリジェンスのサポート
・ 契約とSLA

4.Performance

セールスオペレーションは、営業担当の生産性=パフォーマンスを向上させるべく、様々な支援を行います。日々の営業活動で障壁となっているものを明らかにし改善したり、営業担当のモチベーションを上げるためのインセンティブ設計なども含まれます。
・ 販売方法論とベストプラクティスの実装
・ KPIと販売指標の特定
・ 報酬およびインセンティブ計画
・ リード管理

セールスオペレーションを推進するポイント

セールスオペレーションを導入する際に押さえておくべきポイントをご紹介します。

自社におけるセールスオペレーションの役割やKPIを明確する

上述の役割を参考に、自社の営業組織における現状の課題を把握し、セールスオペレーションに期待する役割や組成後のKPIについて明確にしておく必要があります。次に挙げるようなKPI(重要業績評価指標)を設定し、パフォーマンスの可視化・業務の軌道修正を行いましょう。
・ 受注率
・ リードタイム(受注までに要する時間)
・ 案件化までに要する時間
・ 売上予測の精度

推進するチーム体制を構築する

営業チームの体制づくりと編成に関与し、営業チームの効率・成果・パフォーマンスを最大化します。
セールスオペレーションチームにおける3つの重要な役割は次のとおりです。

セールスオペレーションマネージャー
この担当者は、「営業チームが営業活動に集中するための準備が整っているかどうか」を追求します。CRMシステムを構築しすべてのデータが正確であることを確認し、それを効果的に使用する方法についてセールスオペレーションチームのメンバーを訓練する責任があります。

セールスオペレーションアナリスト
この担当者は、セールスオペレーションマネージャーと綿密に連携し、システム自体の構築とシステムが正しく設定されていることを確認します。テリトリーまたはアカウントタイプ別に販売実績を追跡するレポートの作成、新しいリードの管理方法に関するワークフローの開発、全員が同じガイドライン内で作業していることを確認することなどが含まれます。

セールスオペレーションスペシャリスト
この担当者は、営業担当と最前線で連携し、システムのセットアップとシステムが正しく使用されるように支援します。トレーニングとコーチングによって、新入社員やエントリーレベルの営業担当が、ツールの最適な使用方法と目標達成する方法を理解させます。

セールスオペレーションとセールスイネーブルメントを区別する

各チームの役割と責任について定義を明文化しておくことが必要であります。これら 2 つのチームは互いに直接影響を与える可能性があるため、役割の重複が予想される領域を明らかにしておきましょう。明確な線引きを確立することで、両チームはより効果的かつ効率的な運営が行え、お互いに営業部門全体のサポートを行えるようになります。業務分掌の例は表の通りです。

セールスオペレーション セールスイネーブルメント 違い 業務分掌

セールスオペレーションに必要な人材を採用・育成する

セールスオペレーションチームを編成し効果的に機能させるには、いくつかのポジションを新たに設け、必要な人材を採用・育成する必要があります。

セールスオペレーション チーム分け チーム

自社に最適なツールを選定する

CRMによるデータの蓄積や顧客リストの分析、MAによる営業プロセスの自動化など、自社の現状の課題と照らし合わせて、チームの生産性を向上させることに必要なツールを活用しましょう。CRMは、顧客の情報と自社が持つ接点を記録し、それらを元に顧客満足度の向上を目的とした施策やシステムのことです。SFAは営業活動や予実管理などの営業データにフォーカスされていますが、CRMは顧客とのファーストタッチポイント以降の情報すべてを取り扱います。そのため、CRMの方がSFAよりも幅広い顧客データを取り扱い、CRMの一部がSFAのデータという位置付けです。

SFAの導入から活用までのステップについてはこちらの記事を参考にしてください。

MAは、マーケティング活動を自動化・支援するシステムになります。メールの配信やWebサイトフォームなど、1対複数への施策を行う際に、指定されたルールやセグメントに沿ってアプローチが可能です。機能は、Webサイト上のリードトラッキング、リードスコアリング、SFAやCRMとのデータ連携などになります。

MAの詳細や運用ポイントについてはこちらの記事を参考にしてください。

推進メンバーを含めた組織全体のデータリテラシーの向上を図る

データリテラシーの向上には、経営陣・推進メンバー・現場全体にデジタル教育を施す必要があります。そのためには、営業に知見のあるIT人材が一貫して伴走し、実務に即した推進が必要となるだけでなく、中長期的な教育計画・体制を構築することが求められます。営業組織において合理的な意思決定を行っていく上で、デジタル教育だけでなく、データに基づいた意思決定の文化を作ることも重要です。データ分析の根底にある目的、データのソース・指標の定義・分析の解釈について関係者間で認識を合わせることを意識しましょう。

おわりに

今回ご紹介したセールスオペレーションを導入することで、営業プロセスの整理・効率化が進み営業生産性の向上が期待できます。しかし、日本ではまだまだマイナーなポジションであるのが実態です。一方で、SFAやCRMなどのIT技術の普及により、少しずつセールスオペレーションの重要性が増してきています。他社との差別化を図るべく、本記事を参考に自社で取り組むべき課題を明らかにし、セールスオペレーションに取り組んでみてはいかがでしょうか。

著者情報
小泉 健太(こいずみ けんた)
Kenta Koizumi
早稲田大学基幹理工学部を卒業後、2015年にソフトバンク入社。コンシューマ向けモバイル事業の代理店営業に従事。2018年、ソフトバンクとアリババのジョイントベンチャーであるSBクラウドに出向。営業企画マネージャーとマーケティングマネージャーを歴任し、SFAやMAなどの企画・導入・運用を担う。現在はソフトバンクにて法人向けクラウド事業のマーケティング活動を推進する傍ら、会社全体のマーケティングオペレーションにも携わっている。