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マネージャー必見!インサイドセールスチームの成果を上げるマネジメントとは?

マネジメント インサイドセールス

目次

日本に「THE MODEL」の戦略が広がって数年、インサイドセールスチームを立ち上げ、商談数の増加を狙う戦略を多くの企業が採用しています。しかし、うまく立ち上げや管理ができず、成果に結びついていないケースも少なくありません。このような状況の中、インサイドセールスマネージャーの果たす役割は大きく、適切なチームマネジメントが、チーム全体の生産性を高め、望ましい成果をもたらす鍵となります。

そこで本記事では、インサイドセールスチームが実際の成果につなげるための効果的なマネジメント手法に焦点を当てます。この記事を通して具体的な育成方法やチーム運営の仕組み化について理解し、社内での実践へと移行できるよう詳細かつ網羅的に解説します。

インサイドセールスチームにおけるマネージャーの役割

インサイドセールスチームにおけるマネージャーは、チームの目標達成と業務の効率化を司る重要なポジションです。まずは彼らの役割について、「どのような業務があるのか」そして「どのような意図、目的を持って業務に取り組むのか」について詳細を解説します。

KPIの設計

マネージャーのミッションは適切な目標に向かってチームを牽引することです。そのため、チームが目指すべきKPIの設計はマネージャーにとって重要な役割の一つです。特に、科学的なアプローチによる再現性を重視する「THE MODEL」型の営業組織では具体的かつ適切なKPIを設定する必要があります。このKPIが日々のメンバーの行動量を決定するものになりますし、後続のフィールドセールスの成果にも影響してきます。

インサイドセールス KPI
初期段階では、商談数や商談化率を中心に設定し、これらの数値を通じてチーム全体の進捗を管理します。チームの基本的な活動レベルを把握し、運営の初期における方向性を定めることができます。量がある程度回せるようになり体制が安定してきたら、SQL(Sales Qualified Lead)の数や成約状況など、商談獲得後のパフォーマンスにも目を向けます。これは分業制のアンチパターンである「部署ごとの個別最適化」を防ぐために重要です。例えば、インサイドセールスのKPIを商談数や商談化率だけに限定するとインサイドセールスは商談化しやすいリードを優先的に探し始めてしまい、結果フィールドセールスの負担が増加し、成果を出すうえでの効率が落ちてしまいます。これらの課題を防ぐためにも、商談の質を計測するKPIを設定し、単に数量を追求するだけでなく、商談の質と効率性を高めることが大切です。

また、メンバー個々の目標設定も重要です。インサイドセールスは特にハイパフォーマーと新人で成果の差が出やすく、一律で評価をしてしまうと成長機会やモチベーションを損ねる可能性があります。個人の目標を設定することで、メンバー一人ひとりが自身の責任範囲と成長の道筋を明確に理解し、モチベーションを高めることができます。KPIはチームの成長と共に進化し、常に最適な状態を目指して調整されるべきです。

インサイドセールスのKPI設定についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

マーケティング・フィールドセールスとの連携

分業制の効果を最大限発揮するためには、各部署との緊密な連携が不可欠です。インサイドセールスマネージャがマーケティングとフィールドセールスとの間の架け橋として機能することで、各部門間の情報伝達がスムーズになり、より効率的な営業活動が展開できるようになります。特にインサイドセールスはマーケティングから提供されるリードを適切に評価し、質の高い商談に変換するための調整弁としての役割を果たします。部門間での連携は、リードの質と数量のバランスを保ちながら、最終的には高い成約率を目指すために重要です。具体的には、マーケティングチームから提供されるリードの量と質に基づいて、フィールドセールスチームへの商談数のパスを決定します。このプロセスでは、リードの質に関するフィードバックをマーケティングチームに、また商談の質に関するフィードバックをフィールドセールスチームに提供します。ここでのフィードバックが、誠実で、本音であることが重要であり、部門間を越境したコミュニケーションが適切に行えるかはまさにマネージャの手腕の見せ所です。

リードの掘り起こし施策

リード 掘り起こし 施策

出典:「THE MODEL(MarkeZine BOOKS)」 p.14-15/福田康隆 /翔泳社

「THE MODEL」のレベニューモデルでは「リサイクル」が重要であり、直線型ではなく循環型のモデルを構築することで、ビジネスは雪だるま式に成長するとされています。そのため、リードの掘り起こしはインサイドセールスチームにとって重要な役割の一つです。この施策では、マーケティングチームと協力して、過去にアプローチしたが成果に結びつかなかったリードが再度商談の可能性を持つかどうかを探ります。特に、ナーチャリング(育成)施策を通じてこれらのリードに再度アプローチすることが効果的です。ナーチャリング施策には、メールマガジンやウェビナーなどのコンテンツを活用し、顧客との接点を持続的に作り出すことが含まれます。これにより、顧客が再度商談に関心を持つ機会を見極めることができます。コンテンツを通じて、顧客に有益な情報を提供し続けることで、信頼関係を築き、商談への再参入のチャンスを高めることができます。リードの掘り起こし施策は、単に一度の接触で終わるのではなく、顧客が購入の意思決定をするまでのプロセスを支援し続けることを意味します。マーケティングとの継続的な連携、意思疎通が重要であり、ここでもインサイドセールスマネージャーが主体となり連携することが大切です。

インサイドセールスの業務オペレーション設計

インサイドセールスチームは、とにかく行動量の担保が必要です。そのためには効率的なオペレーション設計が大切です。主な方法としてはトークスクリプトの作成や商談基準の設定があります。マネージャーはアプローチから商談設定までの一連の流れを型化し、標準化することで、チームメンバーが一貫して質の高いパフォーマンスを発揮できるように支援します。また、リード獲得後にすぐにアプローチできるような体制の構築も重要です。リードが最も関心を持っているタイミングで効果的なコミュニケーションを行うことで成功率を高めることができます。これにはマーケティングとの連携やコミュニケーションツールの活用が効果的です。さらに、SFA(Sales Force Automation)ツールなどの技術を活用して、顧客単位の営業活動を可視化することも効率的な運用の鍵となる要素です。チームメンバーは自分のアクティビティを追跡し、結果を分析することができます。また、マネージャーはチーム全体のパフォーマンスをリアルタイムで把握し、必要に応じて戦略を調整することが可能になります。効率的なオペレーション設計は、インサイドセールスチームの生産性を高め、最終的な商談成立率の向上に大きく貢献します。

SFAについてはこちらの記事も参照ください。

インサイドセールスチームにおけるメンバーのマネジメント

インサイドセールスチームの成功は、個の能力とチーム全体の調和がとれていることが大切です。効果的なマネジメントには、個々のメンバーの特性とスキルを理解し、それらをチームの目標達成に向けて最大限に活用することが求められます。チームと個人それぞれの視点に立ちマネジメントを行うために、実際にどのようなアクションがマネージャーには求められるのか、詳細を解説します。

メンバーをアサインする

まずは組織の規模、達成したい目標に対して適切なメンバーの人数、スキルを持った人材をアサインしましょう。具体的には、チームが達成すべきKPIを基に、必要な人数を見積もります。この時、業務の性質や目標に応じて、社内からのアサインメントか、外部のアウトソーシングを利用するかを決定します。ちなみに、最近では両方を併用する「ハイブリッド」でインサイドセールスの組織を構築する企業が多く、SALES ROBOTICS株式会社の「インサイドセールスの内製に関する市場調査」では、回答した企業の約半数が、ハイブリッドでインサイドセールスの組織を構築したという結果が出ています。

インサイドセールス 体制 構築

出典:PRTIMES「SALES ROBOTICS株式会社、インサイドセールスの内製に関する市場調査を実施」

さらに、獲得したリードに対して適切なリード所有者を割り振ることが必要です。このプロセスでは、リードの特性や温度感(熱心度や緊急度など)を考慮し、最適なメンバーを選定します。例えば、特定のコンテンツに興味を示しているリードには、そのコンテンツに精通しているメンバーを割り当てるなど、リードのニーズに最も適したメンバーを選択することが望ましいです。このような個々のリードの特性に合わせたアサインメントは、リードとの関係構築を強化し、最終的な商談成立率の向上に寄与しますし、メンバーの専門性を高め、その分野におけるラストマンシップを持つことを促します。

定例会で全体進捗を振り返る

チーム全体の成果を高めるためには、定例会を開催し全体進捗を振り返ることが欠かせません。定例会では、まずアプローチのコール内容をレビューし、具体的なフィードバックを行います。これには、通話の記録を再生し、チームメンバー全員で聞き直すことが含まれます。このプロセスは、定性(コミュニケーションスキル、顧客対応の質など)および定量(コールの件数、商談化率など)の両方の観点から行われるべきです。定例会では、新規獲得リードだけでなく、既存リードの掘り起こしやナーチャリング施策に関する進捗も共有するとよいでしょう。チーム全体でこれらの施策をレビューし、チームメンバーから多角的かつ客観的に見てもらうことで、施策が正しい方向に向かっているのかの見直しもできます。インサイドセールスはひとたび業務に集中すると、数値と顧客とひたすら向き合う孤独な戦いになりがちです。だからこそ、定例会のような場でチームとしての成長機会、結束機会を設けることがマネージャーとしても非常に重要になります。

1on1で個々の状況を振り返る

インサイドセールスチームのメンバー一人ひとりの成長と成果を確実にするために、マネージャーとメンバーの間で行う1on1ミーティングは非常に重要です。この1on1ミーティングの目的は、目標達成に向けて順調に進んでいるのか状況を共有することと、遅れが生じている場合には、その原因を特定し、リカバリー策を一緒に考えることです。また、具体的なアクションに対する評価を行い、改善点をフィードバックします。例えば、コールの手法、顧客とのコミュニケーション方法、商談の進行方法など、具体的な行動に対して具体的なフィードバックを提供することが必要です。そして、フィードバックだけで終わるのではなく、改善に向けた具体的な取り組みを一緒に計画することも重要です。1on1ミーティングに苦手意識のあるマネージャーもいるかもしれませんが、最近では重要性が認知されたことにより、方法論についても体系的にまとめられています。いくつかフィードバック手法に関するフレームワークを紹介します。

フィードバック インサイドセールス
これらのフレームワークを参考にすることで、効果的なフィードバックを行うことができます。
より詳しいフィードバックの方法については、こちらの記事でも解説しています。

おわりに

本記事では、インサイドセールスのマネージャー向けに、その役割と効果的なマネジメント方法を解説しました。改めて、まとめると、インサイドセールスチームの成果を最大限に高めるためには、適切なKPIの設計、他部署との連携、効率的な業務オペレーション、メンバーと全体のパフォーマンス最大化へのコミュニケーションが重要です。チーム全体としての仕組みを整え、各メンバーがそれぞれの役割を最大限に発揮できる環境を作り出すことが、成果に結びつく鍵となります。インサイドセールスのマネジメントを通じて、チームのパフォーマンスを高め、結果的に売上の向上に貢献しましょう。

よりインサイドセールスの型や成功事例について知りたい方はこちらの記事も参照ください。

また、ゼンフォースではSalesforceカスタマイズをはじめとしたインサイドセールスOpsに関する支援を行っております。インサイドセールスチームの業務効率を上げたい、効果を可視化させたいなどお困りごとありましたらこちらからお問い合わせください。

著者情報
田村 佳士(たむら けいし)
Keishi Tamura
2015年に東証一部上場の人材企業に入社し、新規営業、新規事業開発に従事。2018年に機械学習ベンチャーに出向し、AI技術を駆使した新規事業の企画を推進。その後、2020年に転職し、現在は大手IT企業にてAIプロダクトのプロジェクトマネージャを担当。エンタープライズ企業へAIプロダクトの導入プロジェクトの推進やプロダクト企画に勤めている。