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営業における正しいフィードバックのやり方は?部下の成長を促し、強い営業組織をつくる秘訣を紹介

セールス マネジメント

目次

部下の成長を伸ばすためには、上司からの適切なフィードバックが欠かせません。ただし、フィードバックを行う際には、その内容を具体的かつ的確に伝えることが重要です。特に営業の現場では、日々の業務の中でのフィードバックが部下のモチベーションや成果に大きく影響します。この記事では、営業組織におけるフィードバックの手法や、その効果的なポイントを詳しく紹介します。部下の成長を促し、強い営業組織を築くためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

フィードバックとは?

フィードバック 営業

フィードバックとは、アクションに対する評価や改善点を指摘し、それを本人に伝達することを指します。営業活動におけるフィードバックは、基本的に上司から部下に対して行われることが一般的であり、部下にとって非常に価値のあるものです。なぜなら、部下は自らの営業活動をネガティブやポジティブな観点から分析することで、どのようなアクションが成果につながったのか、またどの部分を改善すればより良い結果を得られるのかを振り返るきっかけになるからです。一方、上司にとってもフィードバックは重要な役割を果たします。部下に対してフラットな評価を与えることで、公平な評価基準を明確にするとともに、部下のモチベーションをコントロールする機会にもなります。特に営業の現場では、日々行われる業務の中でフィードバックを与えることは、部下のモチベーションや成果に大きく影響します。そのため、上司が適切なフィードバックの方法を知ることは、営業部門のパフォーマンス向上を図る上でも非常に重要です。

フィードフォワードとの違い

フィードバックと混同されやすいものに、「フィードフォワード」が挙げられます。両者は似ていますが、実態としては異なる概念です。フィードバックは、過去のアクションや業務内容に対する評価や改善点を伝達するものですが、フィードフォワードはその名の通り"forward=先に"という意味を持ちます。つまりフィードフォワードは、未来の行動や結果について予測し、どのように行動するか、どのようなアクションをとるべきかのアイデアや提案を行うものです。具体的には、これからの営業戦略や新規顧客獲得の方法、既存顧客との関係強化のアプローチなどを提案することで、営業部門の成果をより良くするための方向性を示すことが可能になります。

営業組織におけるフィードバックのポイント

部下の成長を促進するためには、効果的なフィードバックが欠かせません。しかし、具体的にどのようにフィードバックを与えればよいかイメージが湧かない方も多いでしょう。ここでは、営業組織におけるフィードバックのポイントを具体的に紹介します。これらのポイントを活用することで、部下のモチベーションを高め、組織全体の成果を向上させることができますので、ぜひ参考にしてください。

営業 フィードバック ポイント

フィードバックの内容を具体的に伝える

フィードバックの際、具体性を持たせることは非常に重要です。ネガティブな点やポジティブな点を伝える際、ファクトベースでの会話を心がけることで、部下は具体的な状況や事例をもとに自身の行動や成果を振り返ることができるでしょう。一方、抽象的で曖昧な言葉や表現を用いると、部下は具体的な改善点や評価の基準を理解しにくくなり、混乱や不安を感じてしまう可能性があります。具体的な事実やデータ、実際の状況をもとにフィードバックを行うことを意識しましょう。

部下にとってプラスになるよう意識する

部下の成長を促すためには、ポジティブなフィードバックが欠かせません。部下の実力や成果を具体的に褒めることで、本人に自信を持たせ、モチベーションを向上させることができます。もしネガティブな点を伝える際は、単に指摘するだけではなく、その背景や理由、そして改善のための方法を伝えることで、前向きに成長をサポートできます。ネガティブなフィードバックを伝える際は、部下の士気を保つための配慮が必要です。叱責や人格否定につながるような言動は、部下のモチベーションを下げるだけではなく、ハラスメント問題につながるため注意しましょう。

双方向の会話を通して、部下にも主体的に考えさせる

部下の成長を促すためには、双方向のコミュニケーションが欠かせません。上司からの一方的なフィードバックでは、部下は受動的になり、自ら考える機会を失くしてしまいます。部下が主体的に考え、自らの意見や考えを表現させるためには、上司が積極的に壁打ち役を担うことが重要です。上司は傾聴の姿勢を示し、部下は自らの考えや意見を形成することで、自己成長のためのアクションが取れるようになるでしょう。

定期的に1on1を行う

部下との定期的な1on1のセッションは、本人の成長を促す重要な役割を担います。1on1を通じて、部下の業務の進捗や課題、悩みなどをヒアリングすることができ、タイムリーなフィードバックやサポートを提供できます。また、1on1のセッションを通じて、部下との信頼関係を深めることができ、部下のモチベーションや業務の質を向上させることが期待できるでしょう。

フィードバックの種類

フィードバックは、部下の成長を効果的に促す手法です。フィードバックを与える際は、ポジティブとネガティブ、両方の観点からの評価が必要となります。ここでは、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックをそれぞれ詳しく解説しますので、両者の性質を理解し適切に使い分けましょう。

ポジティブフィードバック

ポジティブフィードバックは、部下の業務の成果や努力を称賛することを中心に行うものです。単に褒めるのではなく、成果や取り組みを具体的に褒めることで、部下のモチベーションを高めるだけでなく、本人に自信を持たせることができます。このような肯定的なフィードバックは、部下が次回の業務にも前向きな姿勢で取り組むための原動力となるでしょう。また、具体的に褒めることで、部下は成功要因を客観的に理解できるため、再現性が生まれます。

ネガティブフィードバック

ネガティブフィードバックは、部下の業務における改善点や課題を指摘するものです。ただし、単に指摘するだけではなく、どのように改善すればよいかの具体的な方法やアドバイスを伴うことが重要です。例えば、ティーチングやコーチングを活用することで、部下が自らの課題を自覚し、それを改善するためのアクションを取ることをサポートします。ネガティブフィードバックは本人を貶めるものではなく、あくまでも「部下の成長を促すための貴重な機会」と捉え、建設的な方法で伝えることが大切です。

フィードバックのやり方

フィードバックの方法は多岐にわたりますが、その中でも特に効果的とされる方法を5つ紹介します。以下に特徴をまとめています。

フィードバック 営業
それぞれの方法には独自の特徴があり、部下の状況やニーズに応じて適切な方法を選択しましょう。続いては、それぞれのフィードバック方法について詳しく解説します。

サンドイッチ型

サンドイッチ型は、ネガティブフィードバックをポジティブフィードバックで挟む手法です。具体的には、部下の行動や成果に対してまずポジティブな点を伝え、次に改善が必要な点を指摘し、最後に再度ポジティブな点を強調します。この手法のメリットは、部下の受け入れやすさを高め、モチベーションの低下を防ぐことが挙げられます。しかし、ネガティブなフィードバックが埋もれてしまうリスクもあるため、バランスよく伝えることが重要です。

マッキンゼー型

マッキンゼー型は、米国の大手コンサル会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニーが実施しているフィードバックで、改善点を明確に伝えることを重視した手法です。具体的には、Part Aで改善してほしい点を指摘し、Part Bで上司が感じたことを伝え、Part Cで具体的な改善策を提案します。段階を踏んでフィードバックを実施することで、部下の納得度や理解度を高め、行動変容を促すことが可能です。

KPT型

KPT型は、部下の行動や成果を「Keep」「Problem」「Try」の3つのカテゴリに分けて評価するフィードバック手法です。具体的には、「Keep」は継続してほしい良い点、「Problem」は課題や問題点、「Try」は次に試してほしいアクションを指します。このフレームワークを使用することで、部下の自己評価と上司からの評価を明確にし、具体的なアクションプランを策定することが可能です。

ペンドルトン型

ペンドルトン型は、心理学者のPendleton(ペンドルトン)氏によって開発されたフィードバックの型です。ペンドルトン型の特徴は、フィードバック実施者が一方的にフィードバックの内容を伝えるだけでなく、フィードバック対象者自身の内省を促すことが挙げられます。具体的には、課題の確認・良かった点・改善点・今後のアクションプラン・まとめ、といった5つのステップで進めていきます。ペンドルトン型を用いることで、部下が主体的に自らのアクションを考えさせることが可能です。

SBI型

SBI型フィードバックは「Situation(状況)」「Behavior(行動)」「Impact(影響)」の3つの言葉の頭文字をとったもので、国際的非営利の教育機関CCL(The Center for Creative Leadership)が開発しました。SBI型フィードバックの特徴は、フィードバックをSituation(状況) → Behavior(行動) → Impact(影響)の順番で進めることです。この手順を踏むことで、部下がフィードバックの内容を理解しやすくなり、本人に内省を促すことができます。また、フィードバック実施者である上司と部下の間で信頼関係が構築される点も大きなメリットといえるでしょう。

おわりに

営業組織としての成果を最大化するためには、上司の役割は部下の成長をサポートすることに他なりません。部下の内省を促し、本人が自らの主体性を引き出すためには、どのようなフィードバックを心がければよいかを常に頭に入れておくことが大切です。部下のモチベーションを維持・向上させながら、彼らの成長を促進するためのアクションを一緒に考える姿勢が求められるでしょう。また、フィードバックの方法は一つではありません。シチュエーションや部下の性格、業務内容に応じて、最も適切なフィードバック手法を選択し、アプローチすることが重要です。本記事を通じて、効果的なフィードバックの方法やポイントを学び、日々の業務に活かしていただければ幸いです。

著者情報
高橋 洋介(たかはし ようすけ)
Yosuke Takahashi
2010年リクルート入社。アルバイト・中途採用領域の求人広告営業に従事し。在職中にMVP5度受賞などの実績を上げ、業界・業種・企業規模問わず多くのクライアントからの信頼を獲得。その後人材系広告代理店を経て、2020年よりフリーランスとして活動を開始。現在では法人向けに採用支援、営業支援、SaaS導入支援など幅広く対応。