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パートナーセールスにおけるKPI設定とポイントを解説

セールス

目次

パートナーセールスは、企業が代理店や業務委託先と協力して、製品やサービスをエンドユーザーに向けて販売する営業方法です。直販とは異なり、代理店経由では商談プロセスの把握が難しいという特徴があります。そのため、KPIを設定することで営業活動の成果を明確にし、パートナー企業の目標達成をサポートすることが重要です。

この記事では、パートナーセールスの基本、KPIの目的、そしてKPI達成のポイントについて解説します。効果的なKPIの設定方法や営業成果の向上のヒントがわかるので、ぜひ参考にしてください。

パートナーセールスとは?

パートナーセールスとは、企業が代理店や業務委託先と連携し、製品やサービスをエンドユーザーに販売する営業スタイルです。直接顧客に製品を販売するのではなく、代理店を通じて行うため、代理店の営業活動をサポートして売上を増加させることが重要です。サポート内容としては、製品やサービスの知識提供、販売ノウハウのトレーニング、商談のサポート、セミナーやキャンペーンの企画などが挙げられます。特に、旅行、不動産、保険、情報通信の分野で、パートナーセールスが採用されています。パートナー企業の売上が増加すれば自社の売上も増加するため、エンドユーザーの成功に貢献しパートナー企業と共にビジネスを成長させることが求められます。

パートナーセールスについてはこちらの記事をご覧ください。

KPIを設定する目的

KPI(Key Performance Indicator)は、売上などの業績目標を達成するプロセスを評価するための中間指標のことです。パートナーセールスにおいてKPIを設定することで、営業活動の成果を明確にし組織全体の目標達成を後押しすることができます。以下の表では、KPIを設定する主要な目的をまとめています。

KPIについてはこちらの記事をご覧ください。

KPI 設定目的

パートナーセールスにおけるKPI達成のポイント

パートナーセールスのKPIを設定する際に注意するべきポイントは、以下の3点です。

・ 直販との違いを理解する
・ 短期的に達成しやすいKPIを設定する
・ 定期的に振り返る

これらのパートナーセールスにおけるKPI達成のポイントに関して解説します。

直販との違いを理解する

パートナーセールスと直販では、KPIの設定方法に大きな違いがあります。直販の場合は、一般的に1つのKGI(Key Goal Indicator)から逆算してKPIを設定します。なぜなら、直販の商談プロセスはパートナーセールスと比較して明確で進捗を把握しやすく、商談プロセスが段階的に進む傾向があるためです。一方、パートナービジネスの場合、各企業の顧客規模や契約種別が異なるため、一律のKGIを設定するのは難しい側面があります。また、パートナーセールスの場合は、ある日突然見積もり依頼の連絡があり販売に至るケースがあるように、直販と同じように商談プロセスの進捗を把握することが難しいという特性もあります。そのため、各パートナー企業のポテンシャルや特性に合わせたKGI・KPIの設定が必要になります。

短期的に達成しやすいKPIを設定する

パートナーセールスにおけるKPI設定の際の重要なポイントは、短期的に達成しやすいKPIを設定することです。直販と異なり、実際の販売活動を行うのはパートナー企業の営業担当者であるため、パートナー企業にもKPIを認知し、取り組んでもらうことが必要になります。特に、案件創出の初期段階では、リード獲得数や案件獲得数などのKPIを共有することが重要です。ただし、これらのKPIを設定する際には、長期的なプランよりも短期的に達成しやすい目標を設定することをおすすめします。短期的なKPIを設定することで、パートナー企業側も取り組みやすくなり、成果が出るまでのスピードが早まる効果が期待できます。KPIの例としては、月次の案件獲得数、週次の新規リード獲得数、日次の商談数などが挙げられます。これらのKPIは、短期間での達成が可能であり、達成した際のモチベーション向上にもつながります。短期的に達成しやすいKPIを設定することで、パートナー企業との連携をよりスムーズに進めることができ、双方のビジネスを成長させるための土壌を整えることができます。

定期的に振り返る

パートナーセールスにおけるKPI達成の重要なポイントとして、定期的な振り返りを行うことが挙げられます。KPIを設定するだけでなく、達成状況を定期的に振り返り、調整が必要な場合は速やかに行うことが大切です。KPIの達成状況を明確にすることで、問題点やボトルネックの原因を特定できます。ただし、パートナービジネスの性質上、直販と同じように商談の進捗状況を把握することが難しいため、KPI達成の振り返りを効果的に行うためには、分析ツールを活用することをおすすめします。SalesForceをはじめとするPRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)ツールは、パートナービジネスに特化しており、商談情報を一元管理し、ダッシュボードで情報をわかりやすく表示することができます。PRMツールの導入により、振り返りから改善までのサイクルが速くなり、パートナービジネスの成果を迅速に向上させることができるでしょう。

パートナーセールスにおけるKPI

パートナーセールスで重要視されるKPIは、以下の表のとおりです。

パートナーセールス KPI
これらのパートナーセールスにおけるKPIについて、解説します。

リード数

パートナーセールスにおけるリード数は、営業活動の成果を示す基本的なKPIです。リード数は、パートナー企業が新しく獲得した見込み客の数を示します。目標として設定した受注件数を基に、後述のクロージング率を用いて必要なリード数を逆算してKPIを設定すると良いでしょう。

商談数    

パートナーセールスが進行中の商談数を示すKPIです。商談数は、見込み客の数がわかるだけでなく、営業プロセスの進捗も把握することで、最終的な売上見込の予測を立てやすくなります。商談数のKPIを設定する際には、過去の受注率データや業界の平均値を参考にしながら、実現可能な目標を設定することをおすすめします。

クロージング率    

クロージング率は、商談の成約率を示す指標です。この指標は、営業チームの効率や顧客との関係構築の質を評価するのに役立ちます。営業担当者間での受注率の違いを比較するだけでなく、商品や顧客別の受注率の分析や、商品デモを行った商談の受注率は高くなるなど、商談プロセスごとの受注率の分析も行うことが重要です。

代理店稼働率

代理店稼働率は、代理店が自社製品の販売活動をどれだけ行っているかを示す指標です。一般的に代理店は様々な商材を持っており、どこにリソースを割くかは商品の魅力、企業との関係、さらには営業担当者との人間関係によります。自社製品を優先的に取り扱ってもらうためには、高い品質、魅力的な販売条件、強いパートナー関係、そしてリベートなどのパートナープログラムが大切です。これらの要素を強化するには、社内各部門との連携が欠かせません。

売上と収益寄与率    

売上と収益寄与率は、パートナーセールスの効果を測るための主要な指標です。売上は、パートナーセールスから得られる直接的な収益を示し、企業の成長や業績の基本的なKPIとして位置づけられます。収益寄与率は、パートナーセールスによる売上が全体にどれだけ影響しているかを示す指標です。収益寄与率からパートナーセールスの貢献度を具体的に把握できます。たとえば、収益寄与率が50%なら、全体の売上のうち半分はパートナーセールスによるものと解釈できます。収益寄与率を定期的に確認することで、パートナーセールスの戦略や活動の成果を数値で確認し、必要に応じて方針を見直したり、改善策を導入したりすることができます。新製品やサービスの導入、あるいは新市場への進出時には、収益寄与率を特に注意深く監視し、適切な戦略を策定することが重要です。

顧客満足度とリピート率

パートナーセールスにおいても、顧客の満足度とリピート率は重要なKPIとして扱われます。顧客満足度は、パートナーセールスが提供するサービスや製品に対する顧客の評価を数値で示すものです。高い顧客満足度は、顧客との継続的な関係の構築に不可欠です。満足している顧客は再購入の確率が高まるだけでなく、良好な口コミや紹介を行う可能性も増加します。リピート率は、既存の顧客からの再注文や再契約の頻度を示す指標となります。高いリピート率は、顧客のロイヤルティや継続的な関与を示すもので、製品やサービスの品質、アフターサービス、価格設定などの要因に影響されます。顧客満足度とリピート率のKPIを定期的に確認し、適切な改善策を実施することで、パートナーセールスの成果をさらに伸ばすことができます。また、売上と収益寄与率のKPIと同様に、新製品やサービスの導入、あるいは新市場への進出時には、顧客満足度とリピート率のKPIも重視し適切な戦略の策定を行う必要があります。

パートナーセールス導入を成功させるポイント

パートナーセールスを導入し成功させるためのポイントを、以下の表に記載しています。

パートナーセールス 導入 成功
これらのパートナーセールスを導入する上で成功するためのポイントについて、解説します。

成功事例を共有する

パートナーセールスで成功するためには、代理店間での情報共有が重要です。一つの代理店が得た成功ノウハウを他の代理店と共有することで、全体のパフォーマンスを高められます。代理店間で情報共有を行う際は、各代理店の特性や顧客層を考慮しながら、具体的な販売手法やツールの提供を行います。また、セールスカンファレンスのようなイベントを開催することも、情報共有を促進する効果的な方法です。

パートナープログラムを構築する

効果的なパートナープログラムの構築は、パートナーセールスを成功させるための重要なポイントです。パートナープログラムを整備することで、代理店や業務委託先との連携が深まり、共同でビジネスを成長させることができるようになります。また、パートナープログラムによる報酬体系を明確にし、代理店のモチベーションを高めることも可能です。例えば、売上目標達成のボーナスや特定のキャンペーン期間中の追加リベートなどが挙げられます。また、製品の特長や販売ノウハウ、市場のトレンドなどの情報を継続的に提供し、トレーニングを行うことで、代理店のスキルを向上させることも重要です。この他に、迅速なサポート体制を確立することで、代理店の課題に対応し、信頼関係を築きながらビジネスを共に成長させることが可能になります。

代理店同士のコミュニケーションの場をつくる

パートナーセールスを成功させるためには、代理店間のコミュニケーションも欠かせません。代理店同士の情報共有やノウハウの交換を促進することで、販売代理店全体の営業活動の質を向上させることができます。例えば、成功事例や効果的な販売手法、市場のトレンドなどの情報を共有することで、各代理店が新しいアプローチや戦略を取り入れるきっかけを作ることができます。また、定期的なミーティングや勉強会の開催、専用のコミュニケーションツールの導入など、代理店間の交流の場を設けることで、連携を深化させ、パートナー企業全体でビジネスの成長を促す効果が期待できます。

おわりに

パートナーセールスは、企業が代理店や業務委託先と連携して製品やサービスをエンドユーザーに販売する営業スタイルであり、旅行、不動産、保険、情報通信などの分野で多く採用されています。パートナーセールスで成功するためには、エンドユーザーの成功に貢献し、パートナー企業と共にビジネスを成長させることができるかにかかっています。そのため、リード数、商談数、クロージング率などのKPIを設定し、営業活動の成果を明確にし、パートナー企業の目標達成を後押しすることが求められます。ただし、これらのKPIは一般的なものであり、各企業の特性や市場環境に応じてカスタマイズすることが必要になります。パートナーセールスの成功のためには、パートナーセールスのKPIを適切に設定し、定期的に評価・調整することが重要なポイントだと言えます。

著者情報
土光 宜行(どこう よしゆき)
Yoshiyuki Doko
ヘルスケア業界におけるBtoBマーケティングの専門家として、10年以上の経験を有し、オンライン、オフライン問わず、多岐にわたるマーケティングの知識と実績を持つ。製品開発、営業、パイプライン管理に至るまで、幅広い分野での経験あり。特筆すべきは商品開発で、アメリカやヨーロッパの企業からの製品導入実績を数多く持つ。マーケティングの流れ全体を俯瞰し、策定から実行までのプロセスを統括する点が強み。