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BtoB デジタルマーケティングの重要性と営業連携方法を解説

マーケティング セールス

目次

スマホによるインターネット利用の普及でデジタルマーケティングは注目されていましたが、コロナ禍以降にさらに注目を集め、BtoBの領域でもデジタルマーケティングを行う企業が増えてきました。
顧客の購買行動に変化が起こり、従来の「まずは営業担当に会って話す」という状態から、「情報収集の段階からサプライヤーの選定が始まる」状態となっています。多くのBtoB企業はデジタルマーケティングを行い、ターゲット顧客に適切な情報を届け、商談前からアプローチする必要があると言えるでしょう。また、デジタルマーケティングで獲得した見込み顧客(リード)を営業部門に引き渡す事が多く、マーケティング部門と営業部門との連携が重要となります。本記事では、BtoBデジタルマーケティングの概要や実行手順、成功のカギ、営業部門との連携について解説していきます。

BtoBデジタルマーケティング

デジタルマーケティングとは、検索エンジンやWebサイト、SNS、メール、モバイルアプリなど包括的なチャネルを活用したマーケティングのことを指します。オンライン上で実施するWebマーケティングとの違いを確認しながら、具体的な方法や重要性について見ていきましょう。

BtoBデジタルマーケティングとは

デジタルマーケティングと似た概念に、WEBマーケティングがあります。両者の違いは、該当する範囲です。デジタルマーケティングは、デジタル技術を活用しながらオンライン、オフライン問わず展開していくマーケティング活動を指す包括的な概念です。一方WEBマーケティングは、WEBサイトやSNSなどオンライン上で展開されるマーケティング活動のことを指します。

デジタルマーケティング

MA、デジタル広告、Iot、ビックデータ、CRM、デジタルサイネージ、VR/AR、アプリケーションが範囲

Webマーケティング

Webサイトの作成・運用、SEO、Web広告、SNSマーケティング、メール、オウンドメディアの運営が対象範囲

デジタルマーケティング WEBマーケティング

BtoBビジネスでは販売サイクルが長く、多くの場合複数の人が決定に関与するため、リードジェネレーションやリードナーチャリングが重要となります。

リードジェネレーション6つの手法

リードジェネレーションとは、潜在的な顧客(リード)を獲得するためのマーケティング手法のことです。WebサイトやSNSなどを活用して、ターゲットとなる企業や個人の情報を収集することが目的です。
以下、リードジェネレーションの具体的な方法を6つ記載します。

1.コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、ブログ記事、ホワイトペーパー、動画、プレゼンテーションなど、様々な形式のコンテンツを使い顧客に情報提供することで、リード獲得につなげるマーケティング手法です。

2.ソーシャルメディアマーケティング
ソーシャルメディアを活用したマーケティングも有効です。SNS上にキャンペーンを開催する、コンテンツを共有する、質問に答えるなどの方法で、リードを獲得することができます。

3.検索エンジンマーケティング
検索エンジンを活用したマーケティングも重要です。SEO対策を行い、ランキングを上げることで、検索結果ページでの露出を増やすことが可能となります。ページを訪問したユーザーに対しフォームなどへ誘導し、リード獲得に繋げます。

4.インターネット広告
インターネット広告は、リード獲得に有効な手段の一つです。顧客は検索エンジンで課題に対する解決策を探します。対象のキーワードが検索された際に自社サイトで解決策を示すことで、リード獲得に繋がります。
また、ターゲットを絞り広告を表示させることも可能です。例えば年齢や場所、検索履歴などに基づいて、見込み度の高いユーザーに広告を表示することで、興味を持たれやすくなり、リード獲得の可能性が高まります。

5.メールマーケティング
メールマーケティングは、最も一般的なリードジェネレーションの方法の1つです。定期的にメールマガジンなどで情報を配信し、特典や情報を提供してリードを獲得することができます。

6.イベント
セミナーや展示会、カンファレンスに参加することで、同じ業界や関心を持つ人々と出会い、リードの獲得が可能となります。
また、自社でオンラインセミナーなどのイベントを開催することで効率的にリードを獲得することができます。一度で多くの人が参加できるため、成功すれば効率的にリード獲得ができるでしょう。

これらの方法を組み合わせ、戦略的にリードジェネレーションを行うことで、より効果的なリード獲得が可能になります。戦略を立てる際は、後述するペルソナの設定やセグメンテーションを行い、解像度を上げたターゲティングをしておくことが必要となります。
また、競合他社に流れてしまわないよう、一刻も早く接点を持てるようにしていくことが重要です。

リードナーチャリング

リードナーチャリングとは、リードジェネレーションによって獲得した見込客を中長期的に育成していくプロセスのことです。施策で育成されたリードの中から、確度の高い見込み顧客を評価し選別するリードクオリフィケーションが最終プロセスとなり、営業へ引き渡すことまでが重要です。
リードナーチャリング デジタルマーケティングリード獲得後、すぐに受注にいたる割合は1割程度と言われています。残る9割は、リードナーチャリングが必要です。BtoBビジネスの場合、予算や検討時期などの都合で受注までに時間がかかってしまうことが少なくありません。検討のタイミングでテーブルに載せてもらえるよう、「導入するなら〇〇にお願いしよう」と第一想起を獲得する必要があります。リードの情報を分析し、それぞれの顧客に合わせた定期的なフォローアップを行って顧客との関係を深めましょう。

なぜ今デジタルマーケティングが重要とされているのか?

冒頭でも述べたように、スマホによるインターネット利用の普及と顧客の購買行動の変化により、近年はデジタルマーケティングが非常に注目を集めています。総務省のデータによると、平成30年から令和元年にかけて、インターネット利用者の割合が10%増加し、89.8%になったことがわかりました。コロナ禍によってオンライン化が加速し、これまでデジタル化が進まなかった領域を含め、デジタルの活用が広がっています。こうした状況の中、BtoBビジネスにおいても顧客の購買行動に変化が起こっています。
顧客が情報を収集する際、かつてはオフラインで営業担当が対面で商品・サービスの説明をするのが主流でした。しかしここ数年は、顧客が自らWebサイトやSNSで情報収集を行っています。

米国のCorporate Executive Boardが発表したThe Digital Evolution In B2B Marketingという調査資料では「BtoBでは顧客の購買プロセスの57%が、営業担当者に会う前にすでに終わっている」という事実が明らかにされています。 

デジタルマーケティング ガートナー

出典:Gartner

従来は情報の非対称性により、営業担当が会って話をすることで、まだ会っていない競合他社と差別化できる状態でした。しかし今や検索すれば営業担当を介さずとも情報を取得できる時代となり、顧客は営業担当と会う前に、自らインターネットで調べて、課題解決の手段を模索しています。つまり、自社を検討テーブルに載せてもらうためには、情報収集の段階で認知されることが必要不可欠なのです。様々なデジタルツールを活用し情報をターゲット顧客に届けるデジタルマーケティングは、BtoBの領域においても重要視されています。

BtoBデジタルマーケティングのメリット3つ

BtoBデジタルマーケティングを行う上で、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、「効率的なリードアプローチ」「顧客に合わせたアプローチ」「セールス工程の削減」という観点から、解説していきます。

効率的なリードアプローチ

オフライン型マーケティングは、1件ずつ電話や訪問によるアプローチ方法が主流です。しかしデジタル型マーケティングでは短時間でより多くの顧客にアプローチすることが可能です。
例えば、メールマガジンの配信やオンラインセミナーの開催など、一度のアクションで多くの顧客にアプローチできます。また、オンライン上でセールス活動をすることで、顧客先まで移動する必要がなくなります。訪問して対面で話すオフライン型のリードアプローチとは異なり、移動時間分の時間的な余裕を生み出すことができます。

顧客に合わせたアプローチ

オフライン型のマーケティングでは、リードの追跡が難しいことが多く、フォローアップが滞ることがありました。しかしデジタルマーケティングでは、顧客のニーズを素早く把握し、顧客に合わせた施策を実行することができます。ウェブサイト分析ツールやCRMシステムなどを活用することで、以下のようなデータを把握することが可能です。

・ユーザーのページ訪問数
・ユーザーのアクセス履歴
・メールの開封率・クリック数
・ウェビナーの参加率

これらのデータをもとに顧客の興味やニーズを把握し、顧客ごとに提供する情報やページを変えて、確度の高いアプローチができます。

営業工数の削減

デジタルマーケティングは、資料請求やお問い合わせなど、顧客が自発的に企業に接触することに重点を置いたインバウンドセールスを中心に行います。企業側から電話やDMなどのアプローチをかけていくアウトバウンドセールスとは異なり、購入意欲の高いリードを獲得しやすいことが特徴です。テレアポなどアウトバウンド中心のセールスからインバウンドセールスに切り替えたところ、商談実施からの成約率が2倍以上アップすることも多々あります。購買意欲が高く、相手の情報がわかる状態で商談に臨めるため、成約率が向上したと考えられます。
このようにリードの情報から興味関心を事前に把握することができるため、商談活動をスムーズに進めることができるでしょう。

BtoBデジタルマーケティングの実行手順

マーケティングの戦略は、一般的に「誰に」「どんな価値を」「どのように提供するか」を決めて実行に移していきます。BtoBデジタルマーケティングにおいても、それは例外ではありません。
ここでは、具体的にどのようにBtoBデジタルマーケティングを実行していけば良いのかを解説いたします。

1. ターゲットの特定

マーケティング戦略の「誰に」の部分に該当するフェーズです。アプローチの対象を決める際に、まずは自社の立場を明確にする必要があります。そこで有効なフレームワークが「STP分析」です。
STP分析とは、「セグメンテーション(市場の細分化)」「ターゲティング(狙いたい市場の決定)」「ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)」の3つの英単語の頭文字をとって名づけられた分析法です。

セグメンテーションとは、顧客をグループに分け、それぞれのグループに合わせたマーケティング戦略を策定することです。求める機能やデザインなどのニーズが異なるグループを特定し、それぞれに適切な製品やサービスを提供します。ターゲティングとは、マーケティング戦略を実施する対象の市場を限定させることです。より具体的に定めるために、年齢、性別、地域、職業、家族構成などの情報を考慮することが重要です。
ポジショニングとは、競合とは別の独自のポジションを確立することです。競合他社との差別化により、自社の製品やサービスを顧客にアピールする方法を指します。このセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングで自社の立ち位置を定め、ターゲット顧客に対してアプローチをしていきます。

ターゲットを具体化し、チームで共通認識を持つ上で重要となるのが、ペルソナの設定です。
ペルソナとは、ターゲットとなる顧客の理解を深めるために作成される架空の人物像のことを指します。ペルソナは、一般的にターゲット層の年齢、性別、職業、趣味、生活環境などの情報をもとに、その顧客像をイメージし、その顧客が持つ特性やニーズ、課題、悩み、価値観などを表現したものです。ペルソナを作成することで、顧客に対する理解を深め、顧客が抱える課題や問題点を特定し、それに合った商品やサービスを提供することができます。

2. コンテンツの作成

次に「どんな価値を」提供するか、検討するフェーズです。BtoBデジタルマーケティングにおいて、ターゲット顧客が求めるコンテンツを作成することは非常に重要です。設定したペルソナに合わせた情報提供を行うことで、顧客が関心を持つトピックを届け、抱えている課題に対する解決策を示すことができます。
こうした顧客にとって価値の高い情報提供ができれば、信頼を得ることができます。信頼を獲得した企業は、顧客から選ばれる可能性が非常に高くなるでしょう。

3. プロモーションの実施

最後に「どのように」提供するか、検討をします。ターゲット顧客に情報を届けるためには、コンテンツをどのようなチャネルで配信するかが非常に重要です。チャネルとは、顧客と企業との接点となる場所を指します。
チャネルの選定は、設定したペルソナをもとに検討しましょう。ペルソナが活用するチャネルを調べ、そこにコンテンツを届けられるようプロモーションを実施します。
最初の接点から受注後の流れまで、マーケティング戦略全体を俯瞰したい場合は、カスタマージャーニーマップを設計すると良いでしょう。顧客とどこで接点を持ち、どのようなステップで行動変容してもらうかを明確にし、チームで共通の認識を持つことができます。
カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーの設計例

カスタマージャーニーマップについては、当ブログのこちらの記事でも紹介しております。是非あわせてご一読ください。

BtoBデジタルマーケティングの成功のカギ

BtoBデジタルマーケティングの基本は、「ターゲット顧客にコンテンツを届ける」ことです。成功させるためには、ニーズに合わせた良質なコンテンツを作成し、適切なプロモーションを実施することが必要です。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

1. ターゲット企業のニーズを把握する

ターゲット企業が抱える課題やニーズを把握し、それに合わせたコンテンツを提供することが重要です。ターゲット企業の業界や規模、地域などに基づいて、ターゲット企業の課題を把握しましょう。
リードジェネレーションやリードナーチャリングで得た情報を活用すれば、より詳細なニーズを把握することができます。

2. 良質なコンテンツを提供する

BtoBデジタルマーケティングにおいて、コンテンツの質は非常に重要です。コンテンツの内容で信頼されるか否かが決まるため、良質なコンテンツを作成しなければなりません。
良質なコンテンツの作成には時間がかかり、すぐに成果が出るものではありませんが、長期的な計画のもとに作成を進めましょう。また、一度作成したコンテンツを修正して、品質を維持することも重要です。

3. プロモーションの効果を測定する

ターゲット企業にコンテンツを届けるために、プロモーションの効果を測定し、改善していくことが必要です。コンテンツの閲覧数やクリック数、リード数などを測定し、改善点を洗い出していきましょう。また、営業担当者と連携して、リードの獲得や成約につながるプロモーション手法を検討していくことが必要です。

BtoBデジタルマーケティングにおける営業部門連携について

BtoBビジネスの営業活動は、マーケティング部門と営業部門の連携強化が必須となります。ここでは、なぜ連携が必要なのか、どのように連携すれば良いのかなどを解説していきます。

なぜ営業部門との連携が必要なのか?

BtoBの場合、単価が高く購買までの期間に時間を要することから、大抵はデジタルマーケティングのみで営業が完結することはありません。マーケティング部門はWEBやメールなどを活用して新規リードの獲得(リードジェネーション)と育成(リードナーチャリング)を行いますが、実際に商品を売るのは営業部門の役目となります。リードを引き渡す際に情報の漏れや認識の齟齬が生じないよう、営業部門との連携強化は必須であると考えられます。

部門間の役割の明確化

部門間の連携を図る際、もっとも重要となるのが「役割を明確化」することです。役割を明確にすることで、滞りなくリードを引き渡すことができます。下の「部門間における役割分担の例」では、リードを発掘する作業(リードジェネレーション)をマーケティング部門が、そこから商談を獲得するまで(リードナーチャリング)をインサイドセールス部門が、そこから契約まで(フィールドセールス)を営業部門が担当しています。このように、どのような経由で得たリードを、どの部門に、どのようなタイミングで振り分けるのか?といった基準を明確にしましょう。

リードナーチャリング BtoBデジタルマーケティング

営業とマーケで共通の目標を持っているか

会社全体のKGI(Key Goal Indicator = 重要目標達成指標)を達成させるためには、営業とマーケティング部門で共通の目標を持つことが重要です。部門をまたぐ場合、共通のKPIを持っていないと目線がブレてしまうことがあります。例えば、マーケティング部門のKPIが「見込みリードを月に50件営業に渡すこと」であるとしましょう。マーケティング部門だけでこの目標を完結させてしまう場合、目標達成のために質の低いリードも渡してしまう可能性があります。これでは営業部門が受注できる数が少なくなり、結果として会社全体のKGIが達成できなくなってしまいます。

こうした事態を防ぐためにも、営業部門との共通の目標を持つことが重要です。マーケティング部門が、リード獲得数の他に、有効商談数や受注数などの営業係数をKPIとして持つこともあります。

KPIについては、当ブログのこちらの記事に詳しく紹介をしています。是非あわせてご一読ください。

おわりに

現在は営業担当と会う前に6割の営業プロセスが終わってしまう状況にあり、顧客から選ばれるためには、ニーズの特定とそのコンテンツを適切なチャネルで提供することが重要です。デジタルマーケティングを行う上では、データを活用した顧客分析と、その結果にもとづいた最適な対象顧客へのアプローチの、両方の成果を最大化することが同時に求められます。また、マーケティング部門だけで完結することがないからこそ、営業部門との連携を進め、それぞれの役割を明確化し、同じ指標を追って取り組みましょう。

著者情報
荻野 嶺(おぎの れい)
Rei Ogino
米国NY、LAで幼少時代を過ごす。 2015年、伊藤忠商事入社。金属資源部門にて経営企画や事業開発に携わり、赴任先のシンガポールで石炭の三国トレーダーとして、各国の市場を新規開拓。2020年に帰国し、スタートアップ向け人材紹介のfor Startupsに従事。入社半年で最速昇格基準達成、MVT 受賞などの実績を上げ、各有力スタートアップのCEOやVCからの信頼を獲得。 2020年12月にゼンフォース株式会社を創業し、代表取締役CEOに就任。