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プロダクトマーケティングとは?いま重要視される理由や流れをわかりやすく解説

マーケティング セールス

目次

コピペ・・・・・・・・・・・・・・近年、企業のマーケティング戦略において、「プロダクトマーケティング」が一層の注目を集めています。プロダクトマーケティングとは、その名の通り、商品やサービスといったプロダクトごとにマーケティングを展開する手法のことを指します。それぞれの製品が持つ「個別の価値」を的確に消費者に伝え、製品の認知度を上げながら、最終的には製品の販売へとつなげていきます。プロダクトマーケティングは、企業の成長戦略において欠かせない要素といっても過言ではありません。世界的に有名な企業であるAppleも、その成功の一端をプロダクトマーケティングによって築いたといわれています。しかし、そもそも一般的なマーケティングとは何が違うのでしょうか。そこで今回は、プロダクトマーケティングの基本から重要性、そして具体的な実行手順を解説します。

本記事をご覧いただくことで、プロダクトマーケティングを一通り理解できますので、ぜひ参考にしてください。

プロダクトマーケティングとは

プロダクトマーケティングとは、一言でいえば「プロダクトごとに行うマーケティング手法」のことです。製品やサービスごとの特徴や価値を具体化し、顧客ターゲット層へ提供することで、認知度向上および、その製品やサービスの需要を創出し、購入へとつなげていきます。プロダクトマーケティングでは、製品開発や改良から、価格設定、プロモーション計画、流通経路の最適化、アフターフォローにいたるまでの一連の流れを含みます。大きな特徴は、同一企業であっても、プロダクトごとに異なるマーケティング戦略を策定・実施することが求められます。たとえば、企業が複数のプロダクトやサービスを持っている場合、プロダクトごとに特徴やターゲットとなる顧客層が異なるため、それぞれ別々のマーケティング手法を展開する必要があります。プロダクトマーケティングは、そのような細やかな視点からプロダクトを捉え、適切なマーケティング戦略を立案する役割を担っています。

一般的なマーケティングとの違い

一般的なマーケティングとプロダクトマーケティングの主な違いは、マーケティングを対象とする範囲やプロセスにあります。そもそもマーケティングとは、認知から購入にいたるまでの活動の総称です。自社の製品やサービスのブランド認知度を向上させ、新たな顧客を獲得するために、市場全体を視野に入れて戦略を検討します。ゴールとしては、顧客が製品やサービスを購入するまでが重視される傾向があります。一方、プロダクトマーケティングは、プロダクトごと(特定の製品やサービス)に対する市場理解と、当該プロダクトをどのように売りだすか、どのように顧客へ価値提供するかに焦点を当てます。購入してもらうことがゴールではなく、顧客のリピーター化やファン化など、購入後も見据えた施策を展開することに重きを置きます。そのため、カスタマーサクセスも目的に含まれます。それによって顧客満足度を高め、長期的な顧客ロイヤルティを構築することが可能になります。企業がマーケティングに取り組む際は、マーケティングとプロダクトマーケティングの違いを理解した上で、顧客にどのような価値提供をするかを検討し、その上でどういった戦略を実施するかを決めることが大切です。

デマンドジェネレーションとの違い

プロダクトマーケティング デマンドジェネレーション

プロダクトマーケティングは、BtoBマーケティングを行う企業ではデマンドジェネレーションとの違いも混同されるケースがあります。デマンドジェネレーションとプロダクトマーケティングは、どちらもマーケティングの一種ですが、その目指す目標と役割には明確な違いがあるため、正しく理解することが必要です。デマンドジェネレーションは、より広範囲に顧客の関心を引きつけるための戦略であり、あらゆる施策を通じて、顧客との接点を最大化し、見込み顧客の創出に重点を置くものです。具体的には、広告運用、イベント実施、コンテンツマーケティング(ブログ、動画、SNSなど)、パンフレット作成、営業スクリプト改善といった施策の策定から実行を担います。デマンドジェネレーションの担当者は、見込み顧客の創出に責任を持ち、施策の実行を行うプロフェッショナルな役割を担います。KPIとしては、案件創出数や創出した案件起点の売上などを個人ベースで課せられることが一般的です。

一方、プロダクトマーケティングは製品そのものの価値を最大限に伝え、具体的な製品やサービスの販売につなげるための戦略を練ります。主な役割としては、製品のコンセプト設計やマーケティング・営業計画全体を管轄するマネジメントを担います。KPIとしては、プロダクト全体の売上で評価されることが一般的です。このように、デマンドジェネレーションとプロダクトマーケティングは、目標と役割に大きな違いがあります。それぞれの違いを理解した上で、適切な人材配置やKPIの設定を行うことが大切です。

プロダクトマーケティングはなぜ重要か

プロダクトマーケティングは、自社プロダクトの特性と市場のニーズを繋げる役割を果たします。とりわけ近年ではその重要性が増しており、今や企業のマーケティング活動において欠かせないものとなっています。その重要性を示すエピソードとして、フォルクスワーゲンの例を紹介しましょう。ドイツの有名自動車メーカーである同社は、1950年代にワーゲンバスを販売し人気を集めました。しかし、最近では電気自動車バスのCMを発表し、環境に優しい自動車として再び注目を集めたのです。これはプロダクトマーケティングがもたらした結果であり、フォルクスワーゲンがもつ独特なヒッピーの雰囲気ではなく、「環境に優しい、新しいバス」という新たな認知を得ることに成功しました。

プロダクトマーケティング フォルクスワーゲン 事例

出典:フォルクスワーゲン公式サイト

この例からわかることは、企業が持つブランドイメージとは別に、製品ごとの独自のストーリーを作り上げ、その価値を顧客に伝えることで、新たな市場の開拓や従来と異なる顧客層へとアプローチできるということです。プロダクトマーケティングは、各製品が多様な顧客のニーズに対応できるように、それぞれの製品に合わせた戦略を立てることを可能にします。つまり、製品が競争力のある市場で目立つための戦略を設計し、顧客に製品の価値を最大限に伝える役割を果たします。それによって、企業の成長と競争力の強化に貢献することでしょう。

プロダクトマーケティングの流れ

プロダクトマーケティングは、製品が生み出される前から、市場への投入、そしてその後の顧客エンゲージメントの増強まで、多くのステップを経て行われます。ここでは、プロダクトマーケティングを実施する際の具体的な流れを6つのステップに分けて見ていきましょう。

プロダクトマーケティング 流れ 進め方

ステップ1. 顧客の開発と発見

プロダクトマーケティングの最初のステップは、製品がターゲットとする市場の確認と、潜在的な顧客の開発と発見です。このステップでは、詳細な市場調査を通じて、製品やサービスが対象とすべき顧客層の特性やニーズ、問題点、行動パターンを深く理解し、対象を明らかにします。これらは製品の存在意義を見つけ、市場内における具体的なニーズを定義する重要なステップです。企業がどういった製品を開発し、展開していくべきなのか、マーケティング戦略の土台となるため、十分な時間と労力を割くことが重要です。

ステップ2. ポジショニングの策定

続いて、市場と顧客の理解をもとに製品のポジショニングを策定します。このステップでは、製品が市場における競合他社と比較してどのような立ち位置を持つべきかを検討します。そして、その製品が顧客の何を解決し、どのように価値を提供するのかを定義するための重要なプロセスです。ポジショニングは、ブランディング、プロダクト開発、販売戦略など、ビジネスの多くの側面に影響を与えます。そのため、製品の特性が顧客にどのようにマッチするかを具体的に検討することが大切です。

ステップ3. ポジショニングの社内共有

具体的なポジショニングが策定されたら、その内容を全社員に共有することも重要なステップです。なぜなら、当該プロダクトに関わるすべての部門、担当者がポジショニングを理解していなければ、顧客に対する一貫したメッセージを発信できなくなるためです。具体的には、製品の特性、目標市場、競争力のある優位性を社内で明確に伝え、マーケティング、販売、カスタマーサービスなど、製品に関わるすべてのチームが同じビジョンと戦略に沿って行動できるようにします。

ステップ4. 実行計画を練る

ポジショニングの社内共有が済んだら、具体的なマーケティング戦略の実行計画を立てていきます。製品のローンチに向けて、必要なタスクやスケジュールを明確にしていきましょう。また、マーケティング、セールス、サポートチームが円滑に連携できるように、部門間の風通しを良くしたり、定例ミーティングを開催したりといった、風土醸成も大切です。具体的には、いつまでに、誰が、何を、どこまでやるかをKPIに落とし込みながら、それぞれの役割や責任範囲を決めていきます。ただし、各部門がそれぞれのKPIの達成ばかりに意識が向きすぎると、全体として上手く機能しなくなる可能性もあるため、プロダクト全体としての目標や進捗を定期的に伝えることも重要です。

BtoBマーケティングにおけるKPI設定についてはこちらの記事もあわせてご覧ください。

ステップ5. コンテンツを作成する

作成した実行計画に基づき、製品の価値を伝えるためのコンテンツを作成します。製品の特性や価値を明確に伝えるためのブログ記事、ランディングページ、製品デモ、スクリーンショット、ウェブサイトのアップデートなど、様々な種類のコンテンツが必要となります。これらのコンテンツは、単に製品の機能や特徴を理解させるだけに留まりません。製品の価値を視覚的に表現することで、顧客が製品のストーリーやその価値を理解しやすくする、重要な役割を担います。

認知度を向上させるための具体的な方法を知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

ステップ6. 顧客エンゲージメントを高める

マーケティング施策を実行にあわせ、顧客エンゲージメントを高めるアクションを実施します。たとえば、特別イベントや製品のデモンストレーション、顧客アンケートなどが挙げられます。その他、顧客からの問い合わせに対する迅速な対応やヘルプページの充実といったフォローアップを通じて信頼関係を築き、顧客満足度を高めることが重要です。これらは、クロスセルやアップセルの機会を増やし、顧客生涯価値(LTV)を最大化するために重要な取り組みとなります。

おわりに

プロダクトマーケティングは、製品やサービスの市場における位置付けを理解し、その価値を顧客に伝え、販売を促進するために行われます。一般的なマーケティング活動やデマンドジェネレーションとは異なり、製品そのものの価値を最大限に伝え、具体的な製品やサービスの販売につなげるための戦略を練ることが重要です。本記事で紹介したプロジェクトマーケティングの流れを参考に、具体的な計画を策定した上で、施策を実行することで、その効果を最大限に引き出すことが可能になります。ただし、プロダクトマーケティングは単に売上や利益を上げるためだけに行うものではなく、プロダクトの成功を通じて自社のブランディングや新しい市場で成功を収めるための手段であることを念頭に置くようにしましょう。

著者情報
高橋 洋介(たかはし ようすけ)
Yosuke Takahashi
2010年リクルート入社。アルバイト・中途採用領域の求人広告営業に従事し。在職中にMVP5度受賞などの実績を上げ、業界・業種・企業規模問わず多くのクライアントからの信頼を獲得。その後人材系広告代理店を経て、2020年よりフリーランスとして活動を開始。現在では法人向けに採用支援、営業支援、SaaS導入支援など幅広く対応。