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【BtoB企業向け】リードナーチャリングの手法別成功事例を解説!

マーケティング

目次

マーケティング活動で獲得した見込み顧客(リード)の多くは、すぐに顕在顧客になるわけではありません。潜在顧客として検討段階を引き上げる必要があり、そのために実施するのがナーチャリングです。またナーチャリングの役割は幅広く、顕在顧客を営業に渡した後の受注確度を高めることも役割の一つです。

企業の成果につながる有用な施策である一方、具体的にどのナーチャリング手法を用いるのが効果的か分からず、「実行に移せていない」「成果につながっていない」と悩みを抱えているマーケターも少なくありません。そこで本記事では、リードナーチャリングの成功事例を手法別で解説します。

ナーチャリングとは?

ナーチャリング(Nurturing)とは直訳すると「育成」であり、ビジネスにおいては「顧客育成」という意味で用いられます。また、マーケティングにおけるナーチャリングは見込み顧客(リード)を対象とすることから、リードナーチャリングと呼ばれます。リードナーチャリングに取り組むべき理由や取り組む際のポイントはこちらの記事でまとめていますので、ぜひご覧ください。

ナーチャリングの目的

ナーチャリングを行う目的は顧客の購買意欲を高め、マーケティングファネルにおける購買フェーズ(検討段階)を前に進めていくことです。ファネルは日本語で漏斗(ろうと)を指し、消費者が商品・サービスを認知し購入に至るまでの道筋を図解化すると漏斗の形と似ていたため、「マーケティングファネル」と呼ばれるようになりました。最もベーシックなマーケティングファネルは以下の通りです。

マーケティングファネル ナーチャリング

出典:ピクルス社

「認知→興味・関心→比較・検討→購入」の順に購買行動が進んでいきます。いきなり商品・サービスを「購入しよう」となる見込み顧客の数は少なく、多くはその商品・サービス(BtoBビジネスであれば企業)を認知するところからスタートします。ただ自社のことを知っているだけでは購入には一向につながらないので、より興味・関心を持ってもらう取り組みが必要です。ここで必要になるのが「ナーチャリング」です。自社のことを認知した見込み顧客に対してナーチャリング施策を行い、「この会社はいつも有益な情報を提供してくれる良い会社だな」「この前メルマガで届いたホワイトペーパーを見たら、サービスに少し興味を持ってきた」と認知から興味・関心へとフェーズを前に進めていきます。そして、比較・検討、購買につなげていく、これこそがナーチャリングの目的です。

ナーチャリングの主な手法

ここからはナーチャリングの主な手法を6つ、それぞれの特徴も含めてご紹介します。

1.メールマーケティング

BtoBビジネスにおいて最もよく使われているであろうナーチャリング手法がメールマーケティングです。なぜなら、リード獲得をするときにほぼ必ず取得する項目がメールアドレスだからです。結果として見込み顧客とのやり取りはメールを活用することが多く、後述するイベント・セミナーやホワイトペーパーなど別のナーチャリング施策を告知する手段もメールが用いられます。そんなメールマーケティングはメルマガとステップメールの2種類に大別されます。メルマガは見込み顧客リストに対して一斉にメールを送る手法です。リスト全体に送るケースと特定の条件でセグメント分けしたリストに送るケースがありますが、どちらにせよ一回の送信で多数の見込み顧客にアプローチできるのが特徴です。その一方、特定のアクションを起こした見込み顧客に対して、設定したシナリオをもとに自動でメールを送る方法をステップメールといいます。メルマガは各顧客のニーズや状況に関係なく、同一のメールを送付するため、人によっては「これは自分向けの情報ではない」と感じてしまいます。ステップメールの場合は、顧客が実際に起こしたアクションをもとにメールを自動で配信するため、メールの内容と顧客ニーズがマッチしやすいのが特徴の一つです。

メールマーケティングについてはこちらの記事もご覧ください。

2.イベント・セミナー 

見込み顧客が関心の高いテーマについて、セミナー形式で解説を行うナーチャリング手法です。見込み顧客に課題・解決策を認知してもらったうえで、自社サービスの理解度を高めていきます。2020年頃までは会場に人を集めて対面で実施することが多かったですが、コロナ禍以降はオンラインでのウェビナー形式での開催が増えました。イベント・セミナーの特徴の一つに、情報を確実に届けることができる点が挙げられます。ホワイトペーパーやオウンドメディア、SNSは読み手側の見込み顧客に主導権があるため、流し読みによって断片的な情報しか理解されないケースが多々発生します(見込み客目線ではライトに読めるというメリットの裏返しです)。結果として、適切な課題認識をしてくれなかったり、読んでほしいサービス紹介パートまで辿りつかなかったりするので、商品・サービスへの興味喚起を促すのは簡単ではありません。イベント・セミナーであれば、30分や1時間など時間を確保して参加してもらえるため、ナーチャリングの目的である購買フェーズをより高めることができます。注意点としては、拘束時間が発生するので参加ハードルは高く、「自社のことをただ知っているだけ」という認知フェーズの見込み顧客を対象にすると想定よりも集客に苦戦するかもしれません。次に紹介するホワイトペーパーやブログなどを通じて、自社に一定の興味・関心を持った見込み顧客を対象にするのがおすすめです。

3.ホワイトペーパー

資料形式で見込み顧客の関心の高いテーマに関する情報提供を行い、企業やサービスとしての信頼度を高めていくナーチャリング手法です。イベント・セミナーと比較して申込のハードルが低いため、検討段階が低い「認知」フェーズの見込み顧客が対象になることが多いです。

ホワイトペーパー 認知
実際に認知フェーズの見込み顧客を対象にホワイトペーパーを作成する場合は、いきなり商品やサービスをアピールするのは避けましょう。顧客の関心ごとに関連したノウハウや調査結果を提示し、顧客目線でいかに有益な資料にするかを意識して作成してみてください。そうすることで自社への信頼度が高まり、購買フェーズが興味・関心へと進んでいきます。結果としてイベント・セミナーへの参加意欲が増し、さらなるフェーズの前進につながっていくはずです。

4.オウンドメディア

ブログ記事形式で情報提供を行うオウンドメディアもナーチャリング手法の一つです。「オウンドメディア=SEO」のイメージもあるのでリード獲得だけが目的だと思われがちですが、ナーチャリングにもしっかり寄与します。見込み顧客にとって役立つ情報をブログ記事や事例記事として掲載し、メールやSNSを通じて拡散することで、自社の信頼醸成やサービスへの興味喚起を促せます。また、ブログ記事内にホワイトペーパーのダウンロードリンクをつけるなど他の手法と組み合わせることもできるため、ナーチャリングの土台とも言える手法です。

5.SNS

イベント・セミナー、ホワイトペーパー、オウンドメディアの記事などを、SNSを通じて発信することでナーチャリングを行う場合もあります。SNSといっても、FacebookやX[旧Twitter]、Instagram、YouTube、TikTok、LinkedIn、LINEなど様々な種類があり、それぞれ投稿できる内容や利用者属性は異なります。成果を出すためには、自社サービスとの親和性や見込み顧客の属性などを考慮して最適なSNSを選択することが重要です。獲得した見込み顧客とSNSでつながり、継続的な情報提供を行うことで、購買フェーズを前に進めていきます。

6.インサイドセールス

マーケティング施策によって獲得したリードに対してインサイドセールスが架電し、課題や検討状況をヒアリングしつつ、最適な情報を提供するのもナーチャリングです。情報を届ける手段として、本記事ではメールマーケティングとSNSを紹介しましたが、どちらの手段でも顧客の現状を正確に把握することはできません。もちろん、メールの開封やクリックの履歴、SNSの投稿へのリアクションを分析することで、何に興味を持っていそうかの仮説は立てられます。しかし、その顧客が実際にどれくらい危機感を持って課題認識しているか、サービスに興味をもっているかまでは分かりません。インサイドセールスによる架電では、こうした温度感も含めて正確に状況を把握することができるので、個別最適化した情報提供を実現できます。

これだけ聞くと「全てインサイドセールスがナーチャリングすれば良いのでは?」と思うかもしれませんが、全ての見込み顧客に対して架電をするのは工数がかかりすぎます。そのため、メールやSNSを通じて効率的に情報を届けつつ、反応のあった見込み顧客に対してインサイドセールスがアプローチして詳細をヒアリングするのがおすすめです。

ナーチャリング以外の役割も含め、インサイドセールスはこちらの記事で詳しく説明しています。

ナーチャリングの成功事例

ここまで解説した6つのナーチャリング手法について、それぞれの手法の成功事例を紹介します。

メールマーケティングの成功事例

株式会社シンフィールド:メールマーケティングを活用してアポ率15%を達成!

マンガを活用したマーケティング支援事業を行っているシンフィールド社は、展示会をはじめとした様々なマーケティング施策を通じて10,000件弱のリストを保有しています。そのリストに対して2種類のメルマガを送付しており、1つ目が2週間に1回の頻度で定期配信している「お役立ち系」のメール、もう1つが営業色の強い不定期の「引き上げ目的」のメールです。同社は引き上げ目的のメールに設置したURLをクリックした見込み顧客に対してフォローコールを実施。すると、通常のテレアポと比較して明らかに反応が良く、すんなりアポイントに至るケースが多いとのことです。実際、フォローコールからのアポイント率は10~15%と高い水準になっており、まさにメールマーケティングを活用したナーチャリングの成功事例と言えるでしょう。

イベント・セミナーの成功事例

SAP:セミナーを活用したナーチャリングを駆使し1億ドルの収益を達成!

データ管理ソリューション「SAP HANA」を提供しているSAP社は、SAP HANAを導入した企業の成功事例を発信するセミナーをオンラインで定期的に開催しています。開催頻度は2週間に1回で、参加者との双方向のコミュニケーションが取れるようQ&Aやチャット、投票などを活用。こうした工夫は参加者のセミナー満足度を高めるだけでなく、自社商品の理解度向上、興味喚起にもつながります。また、開催したセミナーは全て録画しアーカイブ配信することで、当日参加できなかった見込み顧客が後から閲覧できるようにしています。このように様々な工夫を凝らしたセミナーを約20回開催し、のべ2,600名以上が参加。最終的に1億ドル以上の収益を達成しました。

ホワイトペーパーの成功事例

株式会社ベーシック:ホワイトペーパーとメールを組み合わせ、1か月の短期受注を獲得!

BtoBマーケティングに必要な様々な機能が揃った「ferret One」を提供している株式会社ベーシック。同社はイベントで獲得した大量の見込み顧客に対して、ホワイトペーパーとメールマーケティングを組み合わせたナーチャリング施策を実施することで成果につなげています。一般的に、イベントに参加する見込み顧客の商品・サービスの検討度合いは高くないことがほとんどです。その状況でいきなり電話をし、サービス案内しても断られてしまうことは容易に想像がつきます。そこで、「自社サービスで解決できる課題」にこだわることなく、情報収集段階の見込み顧客が興味を示すであろうテーマのホワイトペーパーをメールで送付したそうです。そのホワイトペーパーをダウンロードした見込み顧客にインサイドセールスがアプローチ。検討度合いをさらに高めたうえでアポイントを獲得しました。最終的には、1か月という短期受注につながった成功事例です。

オウンドメディアの成功事例

株式会社マックスプロデュース:見込み顧客のリアルな悩みを解決するオウンドメディアを活用し、自社への興味・関心度合いを高める

マックスプロデュース社は様々なイベントの制作・プロデュース業務を行っている会社です。ターゲットは社員総会や運動会など会社のイベントを任された担当者ですが、これらのイベントは年に1回あるかないかの頻度であるため、右も左も分からない初心者であることがほとんどだそうです。そんな初心者幹事に役立つコンテンツをブログ記事として作成し、オウンドメディアで発信。「準備はいつから始めるべきか?」「このイベントではどんな演出が最適?」という見込み顧客のリアルな悩みを解決していきます。すると、イベント当日までのストーリーやイメージが湧き、「この会社に任せれば大丈夫そう」という会社としての信頼感醸成(ナーチャリング)につながっていきます。そして、いざイベント業者の選定タイミング「比較・検討フェーズ」になった際、他社よりも優位に立つことができるのです。

SNSの成功事例

Oktopost Technologies:SNS、メールをはじめ多角的なナーチャリングで商談を介さない売上が230%増加!

ソーシャルメディアを管理するプラットフォームサービスを提供しているOktopost Technologies。SNSやメール、電話など様々なナーチャリング手法を用いることで、見込み顧客の育成に成功し、商談を介さない売上が230%増加しました。多くの会社はナーチャリングを目的としたコミュニケーション手段としてメールを思い浮かべますが、SNSもその手段の一つになります。同社は、見込み顧客を獲得できたら、LinekedInやTwitter、Facebook、Instagramなどでその見込み顧客とつながります。自社サービスのトライアルの御礼や自己紹介で連絡をとり、応答があったら会話をします。ここでの最も重要なポイントは「会話を継続すること」だそうです。挨拶だけして終わりではなく、継続的な対話を続け、役立つコンテンツやノウハウを提供することでナーチャリングにつなげています。

インサイドセールスの成功事例

株式会社カオナビ:インサイドセールスが司令塔となるセールス戦略で5年で1,800社の導入を実現!

タレントマネジメントツールを提供しているカオナビ社では「インサイドセールスが司令塔」と定義し、インサイドセールス立ち上げ当初からこの方針を継続しています。インサイドセールスのミッションの1つである「商談化」も、単なるアポイント獲得だけでなく、そのためのナーチャリングも含めて主体的に活動しています。同社が大切にしているポイントの1つが「見込み顧客の真のニーズを捉える」です。見込み顧客は必ずしも自社の本当のニーズを理解していないという前提に立ち、ヒアリングを重ねる中で見込み顧客自身に真のニーズを認識してもらう会話を心がけています。具体的には、「サービスに関心を持ったきっかけ」「このタイミングで導入したい理由」「そもそもシステム導入を検討し始めたワケ」を聞く中で、実現したいことや求めるスピード感、抱えている課題などを明らかにしていきます。そして、捉えた真のニーズを「カオナビなら解決できる」というイメージを見込み顧客に持ってもらうのがインサイドセールスの重要な役割です。こうしたインサイドセールスによるナーチャリングの貢献もあり、累計導入社数が1,800社を超えるまでに至っています

おわりに

本記事ではナーチャリングによく用いられる6つの手法を成功事例とともに紹介しました。成功事例を読んでいただければお分かりの通り、それぞれの手法は独立しているわけではなく、組み合わせによって真価を発揮します。最適な組み合わせはサービスの特徴や行っているマーケティング施策によって変わります。本記事の内容を参考に、自社にとっての理想のナーチャリングの仕組みを模索してみてください。

著者情報
関田 秀平(せきた しゅうへい)
Shuhei Sekita
新卒で社会人向けの研修会社に入社し、新規開拓営業、営業企画の部署を経て、マーケティング部署の責任者を務める。その後、法人向けeラーニング提供会社で1人目マーケターとして、マーケティング組織の立ち上げを行う。現在は、新卒採用支援を行っている会社でBtoBマーケティングチームのマネージャーとして、戦略立案から施策遂行、採用・組織マネジメントまで幅広く従事。