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ソーシャルメディアマーケティングとは?BtoBでの成功事例を紹介

マーケティング

目次

すでに私たちの生活ではソーシャルメディアの活用は欠かせないものとなっています。そうした中、ビジネスシーンではソーシャルメディアを活用したマーケティング活動が注目を集めています。しかし、どのようにソーシャルメディアマーケティングの全体像がつかめていなかったり、具体的にどのメディアをを活用すべきか悩んだりする企業も少なくありません。

そこで本記事では、今注目されるソーシャルメディアマーケティングについて、BtoB企業が取り組む目的や、開始に向けたステップを解説します。また、ソーシャルメディアマーケティングを成功させるための重要なポイントもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

ソーシャルメディアマーケティングとは

ソーシャルメディアマーケティングは、「ソーシャルメディアを活用したマーケティング手法」を指します。そもそもソーシャルメディアとは、インターネットを活用して誰もが気軽に情報を発信したり、オンライン上でコミュニケーションを図ったりするメディアの総称です。ソーシャルメディアの代表的なサービスとしては、ブログ、SNS、動画共有サイト、メッセージングアプリ、情報共有サイトなどが挙げられます。

ソーシャルメディア 何がある ソーシャルメディア例 SNSとは SNS

これらのソーシャルメディアはインターネットやスマートフォンの普及と共に、ユーザー数を獲得し、利便性を高めてきました。その結果、今やソーシャルメディアは単に人とのつながりを持つだけではなく、買い物や食事、趣味、仕事、住まいなど、生活上の意思決定に大きな影響力をもたらすようになりました。

SNSマーケティングとの違い

ソーシャルメディアマーケティングと混同されがちなものに、SNSマーケティングが挙げられますが、それぞれ対象の範囲が異なります。SNSマーケティングは、主に個人同士や組織同士のネットワークをつくるSNSを活用したマーケティング手法を指します。一方、ソーシャルメディアマーケティングは、SNS以外のブログやメッセンジャーアプリなど、より広範なオンラインコミュニケーション手段を含みます。つまり、ソーシャルメディアマーケティングの中で、SNS活用に限定したものをSNSマーケティングと呼びます。

ソーシャルメディア SNS 関係性

ソーシャルメディアマーケティングが注目される背景

BtoB(企業間取引)においては、効率的な見込み顧客へのアプローチや商談化を図るためにマーケティング活動が欠かせません。そうした中で、近年ではソーシャルメディアマーケティングの活用に注目が集まっています。それでは、なぜビジネスシーンでソーシャルメディア活用が求められているのでしょうか。その背景を探っていきましょう。

利用者数・時間の増加

総務省が公表した「令和3年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、インターネットの利用時間は伸び続けており、2020年にはついにテレビの視聴時間を超えています。ソーシャルメディアの利用時間も比例して伸びており、令和3年の調査では休日だけでなく平日のコミュニケーションも全年代平均でメールを上回っています。

利用時間 メディア コミュニケーションメディア

出典:[平日]コミュニケーション系メディアの平均利用時間(全年代・年代別)|総務省

特に利用が多いのは10代〜20代の若年層ですが、30代でも1日平均46分、40代でも32分と、ビジネスの中心世代においても平日のコミュニケーション手段として浸透しつつあります。

購買行動の変化

ソーシャルメディアの登場は、消費者の購買行動にも大きな影響を与えています。Amazonや楽天といったECサイトによるオンラインショッピングや、メルカリなどのフリマアプリによる個人間売買が可能になったことで、自宅にいながら商品注文・購入ができるようになりました。総務省統計局が行った家計消費状況調査によると2023年4月のネットショッピングの支出額は、41,487円/月となっており、前年同月に比べて9.5%増という結果になっています。また、ネットショッピング利用世帯の割合は53.0%と半数を超える世帯がネットショッピングを利用しています。こうしたネットショッピングの普及には、ソーシャルメディアによる情報が影響していることも大きな要因と考えられています。

ネットショッピング 利用状況 

出典:家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について|総務省統計局

双方向のコミュニケーション

ソーシャルメディアは、テレビ・雑誌・ラジオなどのように、一方向のコミュニケーション手段ではなく、ユーザー同士の双方向コミュニケーションが可能です。たとえば、InstagramやYouTubeでは「いいね」や「コメント」をして、発信者とコミュニケーションを図ることができます。いわばソーシャルメディアは顧客からのフィードバックを得る場でもあります。これにより、企業は市場のトレンドや顧客のニーズをリアルタイムに把握できます。

BtoB企業がソーシャルメディアマーケティングに取り組む目的

ソーシャルメディアマーケティングはBtoC企業だけが取り組むものではないかと感じる方もいるかもしれませんが、実際にはBtoBでも大きな効果を発揮します。それでは、BtoB企業がソーシャルメディアマーケティングに取り組む目的にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは主な目的を3つ解説します。

認知拡大・ブランディング

BtoBは、提供される商品やサービスは企業に対して向けられます。そのため、BtoCのように個々の消費者の感情や志向というよりも、BtoBでは企業の経営目標や課題解決に焦点を当てることが重要になってきます。またBtoBでは複数の関係者が関わったり、意思決定のプロセスが企業によって異なったりすることから、契約の意志決定に時間がかかることが一般的です。長い購買プロセスの中で、購買意志決定者が自社や製品を思い出してもらうには、強固なブランドイメージが必要です。ブランディングにおいて、ソーシャルメディアは有効なツールとなります。具体的な成功事例、技術情報、業界の見解などを定期的に発信することで、専門性と信頼性を印象づけ、ブランドイメージを強化します。

リード獲得・ナーチャリング

企業が求めているニーズを満たしたり、抱えている課題解決につながったりする、適切なコンテンツを提供すれば、ソーシャルメディアは新たなリード獲得のチャンネルとなります。特に、高額なBtoB製品やサービスの場合、企業担当者は購入に至るまでに様々な情報収集を行うのが一般的です。たとえば、類似サービスの機能や費用を可視化させた比較表を作成したり、Webサイトを訪問して資料をダウンロードしたり、担当者と面談を組んだりします。海外の調査データによれば、平均的な顧客は取引先の営業担当者に会う時点で、購買プロセス全体の57%を完了しているといわれています。

購買プロセス

参考:CEB, MLC Customer Purchase Research Survey, 2011を基に作成

この点を踏まえると、商談時に一方的に情報を押し付けるのではなく、顧客が抱える課題を解決するための情報提供に努めることが重要です。こうした取り組みは、見込み顧客をナーチャリングし成約につなげる役割を果たします。つまり、ソーシャルメディアを通じて、製品・サービスへの理解を深めてもらいながら、中長期的な信頼関係を築くことが大切です。

ナーチャリングについてはこちらで解説していますので、あわせてご覧ください。

利用促進・エンゲージメント強化

ソーシャルメディアは顧客と直接対話する場としての機能も持っています。とりわけBtoB企業にとって、新しい製品やサービスのフィードバックを得るための貴重な機会となるでしょう。こうした機会を活用して、サービスの改善をしたり、新しい機能を追加したりすることで、購買決定者や担当者のエンゲージメント(愛着心、深い関係性)を向上させることが可能です。また、製品やサービスの活用状況や課題をヒアリングしながら、使い方のサポートや、課題解決につながる提案をすることで、長期的な取引関係を築くことができます。特に、BtoB向けSaaS業界ではチャーンレート(解約率)を重要指標に置くことが一般的です。チャーンレートを下げるためには、カスタマーサクセスを導入するなどして、能動的に顧客と接点を持って課題解決やサービスの活用促進を図ります。

カスタマーサクセスについてはこちらでくわしく解説していますので、あわせてご覧ください。

ソーシャルメディアマーケティングを始めるための4ステップ

BtoB企業がソーシャルメディアマーケティングに取り組むべき理由を解説してきましたが、実際に自社のマーケティング活動に取り入れていくためにはどのように進めたら良いかわからない方も多いでしょう。ここでは、BtoB企業がソーシャルメディアマーケティングを始めるための具体的なステップを4つに分けて解説していきます。

ソーシャルメディアマーケティング ステップ 進め方

ステップ1.目的の決定

BtoB企業がソーシャルメディアマーケティングに取り組む上で最初に行うべきことは、「何を達成したいのか」の明確化です。具体的には、認知度の向上、リードの獲得、エンゲージメントの強化など、ゴール達成に密接に連動した具体的な目標を設定することです。目標設定をする際は「SMARTの原則」に沿って設定すると、誰が見てもわかりやすいものになります。SMARTの原則とは目標達成に使われるフレームワークです。目標達成を実現するための必要な5つの成功因子「Specific(具体性)」「Measurable(計量性)」「Achievable(達成可能性)」「Relevant(関連性)」「Time-bound(期限)」の頭文字をとって名付けられています。

ステップ2.ターゲットペルソナの設定

ソーシャルメディアマーケティングでは、ターゲットとなる顧客像を明確に設定することが重要です。こうしたターゲットを「ペルソナ」と呼びます。BtoBマーケティングにおけるペルソナ設定で必要な項目としては、職業、役職、業界、課題、情報収集の手段など、具体的な情報を基にした仮想の顧客像を作り出していきます。緻密なペルソナを設定することで、その人が何を求め、どのような情報に反応するかを理解し、それに基づいた効果的なコンテンツを作成することができます。また、BtoBでは、意思決定に複数名がかかわることが一般的です。そのため、購買プロセス全体の各ステージでペルソナを設定することも大切です。それらのペルソナを購入プロセスとあわせて見える化させた「カスタマージャーニーマップ」に落とし込むと良いでしょう。

カスタマージャーニーマップの作成方法については、こちらで解説していますので、あわせてご覧ください。

ステップ3.メディアの選定

続いて、ステップ2で設定したペルソナがどのソーシャルメディアを使用しているか、どのメディアがそのニーズに最も合致するかに基づいて、最適なメディアを選択します。たとえばInstagramであれば見栄えの良い画像コンテンツの用意や、Twitterであれば拡散性を意識したキャンペーン情報の発信といったように、あらかじめメディアの特性を理解することが求められます。もちろん、いくつかのソーシャルメディアを組み合わせることも有効です。

ステップ4.コンセプトの決定

発信したいメッセージを効果的に伝えるためのコンセプトを決定します。コンセプトとは、自社が提供する価値や解決したい顧客の課題を踏まえた上で、「誰に、何を、どのように伝えるか」ということです。強いコンセプトを作るためには、一貫性のあるブランドイメージを保ちつつ、顧客にとって価値ある情報を提供することが重要となります。たとえば、ソーシャルメディアごとにコンセプトがぶれてしまうと、ブランド力が高まりません。どのソーシャルメディアを使うにせよ、軸を持つことが大切です。

ソーシャルメディアマーケティングを始める際のポイント

ソーシャルメディアマーケティングに取り組む際は、あらかじめ留意すべきポイントがあります。特にBtoB企業の場合は、顧客が意思決定にいたるまでに複数人がかかわったり、期間が長かったりするため、BtoCと同じ感覚で取り組んでしまうと思うような成果につながらない可能性があります。ここでは、BtoB企業がソーシャルメディアマーケティングを始める際のポイントを3つ解説します。

ソーシャルメディアマーケティング ポイント

中長期的な目標を持つ

ソーシャルメディアマーケティングは、短期的に大きな成果をもたらすものではありません。ブランドの認知度を高めたり、信頼性を築いたりするためには、一貫性を持って、中長期的な視点で取り組むことが必要です。そのため短期間での結果(売上、成約数など)に囚われず、設定した目標に向かってコツコツと努力を重ねることが大切です。

炎上リスクへの対策

ソーシャルメディアはオープンな場所で発信するため、さまざまな人の目に留まります。発信内容によっては批判や不満による炎上リスクもあります。炎上が発生してしまうとその対応に多くの時間と労力を費やすことになりますし、場合によっては企業としての信頼が低下し、取引停止や売上毀損につながる可能性もあります。そのため、ソーシャルメディア活動にはリスクマネジメントが不可欠です。具体的な炎上リスク対策としては、社内外でのコミュニケーションガイドラインの整備、定期的なスタッフ教育、迅速で適切な対応体制の整備などが挙げられます。

効果測定を行う

取り組みがうまくいっているのか、改善すべき点は何かを知るためには、定期的に効果測定を行い、その結果に基づいて戦略を見直すことが重要です。具体的な指標(KPI)を設定し、それを元に定期的な分析を行うことで、戦略の修正や最適化が可能となります。また、ソーシャルメディア分析ツールを活用して効果を定量的に把握することで、より深い洞察を得ることが可能です。たとえば、フォロー数、登録数、反応数(コメント数)などの指標を見ながら、発信したコンテンツの効果を検証していきます。

【BtoB版】ソーシャルメディアマーケティング事例

BtoB企業の中にも、ソーシャルメディアマーケティングを取り入れたことで、大きな成果につながった事例が多数あります。ここではソーシャルメディアマーケティングで高い成果を生み出した企業事例をいくつか紹介します。

AGC

ガラスメーカーとして世界トップクラスの実績を誇るAGC株式会社では、ソーシャルメディアマーケティングにSNS(Facebook、Instagram、YouTube、Twitter、Linkedin)を利用しています。
同社では各SNSの特性にあわせて、何をどのように発信するかを使い分けているのが特徴です。たとえば、FacebookではニュースリリースやCMなどの企業情報、Instagramではガラスの魅力、TwitterではAGCちゃんという独自のキャラクターといったように、メディアの強みや特性にあわせてコンセプトを作り上げています。また、公式サイト上でSNSポリシーを公開し、ソーシャルメディア活用の目的や各投稿の扱いなどのリスク対応も明記しているため、ぜひ参考にしてください。

デル・テクノロジーズ

世界トップクラスのITソリューションプロバイダーのデル・テクノロジーズ株式会社では、自社製品のPRにSNSを活用しています。同社では、DELL製品を愛用している人や、DELL製品に興味がある人を対象にアンバサダープログラムを実施しています。ユーザーはDELL製品に触れた体験をSNS上で発信することで、企業側の押しつけではなく顧客視点での情報発信の場とすることに成功しました。特にアンバサダーの対象を普段DELL製品を利用しているユーザーに限定しないことで、顧客のインサイトを社員が深く理解する手法としても機能しています。

サイボウズ

kintoneやメールワイズなどBtoB向けクラウドソフトウェアの開発を手掛けるサイボウズ株式会社では、自社の製品情報をFacebook上で発信しています。また、同社では「チームワークあふれる社会を創る」という理想を掲げ、これまでにない新しい組織づくりにチャレンジしています。出社と在宅を組み合わせるハイブリッドワークを紹介するオウンドメディア「THE HYBRID WORK」を立ち上げ、TwitterとFacebookで発信し、社会に対して新しい働き方の啓蒙活動を行ったり、サイボウズ社員の働き方を紹介するために「Cybozu Magazine」を立ち上げ情報発信を行うといったように、自社の思想や価値観を発信することで、結果としてブランド認知を高め、ファンや見込み顧客、採用候補者の獲得につながっている事例です。

おわりに

ソーシャルメディアの活用は、今やBtoB・BtoCにかかわらず、企業の重要なマーケティング戦略です。個人の感情の動きを捉えることが重要なBtoCのマーケティングと異なり、BtoBでは、意思決定までに複数人が関わることや、成約までの期間が長期化しやすいことから、中長期的な視点を持つことが重要です。早期から運用を始めることで、各媒体の特性に応じた発信方法や、炎上リスクに備えた運用ポリシーの策定などのノウハウを社内に蓄積できるので、今回紹介したステップとポイントを押さえて、ぜひソーシャルメディアマーケティングに取り組んでみてください。

著者情報
高橋 洋介(たかはし ようすけ)
Yosuke Takahashi
2010年リクルート入社。アルバイト・中途採用領域の求人広告営業に従事し。在職中にMVP5度受賞などの実績を上げ、業界・業種・企業規模問わず多くのクライアントからの信頼を獲得。その後人材系広告代理店を経て、2020年よりフリーランスとして活動を開始。現在では法人向けに採用支援、営業支援、SaaS導入支援など幅広く対応。