パイプライン管理とは?管理方法と失敗しないためのポイント

営業DX

パイプライン管理という営業マネジメント手法をご存知でしょうか。近年SFA導入を皮切りにパイプライン管理というマネジメント手法を導入する企業が増えています。
具体的には以下のような「営業属人化」や「営業効率向上」の課題を抱えている営業組織の解決策となります。

● 各営業の商談状況が把握出来ていない
● 営業成績に偏りがある
● 新入社員の育成に時間がかかる

では、どのようにパイプライン管理を行っていけば良いのでしょうか。本記事では、パイプライン管理方法と失敗しないためのポイントについて詳しく解説していきます。

パイプライン管理とは?

パイプライン管理とは、組織としての営業活動における一連の営業プロセスをパイプに見立て、分析や改善を行うマネジメント手法です。受注までのプロセスで、どこに問題があるのかわかるため、ピンポイントで改善策を実行でき、効率的に売上を上げることが出来るようになります。

パイプライン管理の目的

パイプライン管理の目的は、主に2点あります。

● 営業プロセスを可視化すること。

● プロセスにおける課題を特定・解決し、営業生産性を上げること



営業プロセスを可視化すること


あなたの営業組織では、受注までのプロセスが明確でしょうか。もしプロセスが明確になっていない場合、営業マネージャーは商談の進捗を把握できなくなってしまいます。商談の状況は担当の営業だけが把握し、受注の是非は担当の営業のみに委ねられてしまいます。この状態を『営業の属人化』と言い、営業のノウハウが社内に共有されず、課題の分析や改善に取り組むことが困難になります。

パイプライン管理を実行する際は、受注までのプロセスを細分化し明確にしましょう。成功した事例やトップセールスのやり方をもとに、どのプロセスでどのようなアクションを起こすといいのか、一つ一つ明確にして整理していくと良いでしょう。例えば、受注までの流れがリード獲得ヒアリング初回商談商談見積提示クローシング受注とします。

パイプライン管理 パイプライン

図にした上で、それぞれのフェーズにおいてやるべきことを明確にします。やるべきことは詳細まで具体的にしておくと良いでしょう。例えば、「ヒアリング」のフェーズでは、必ず情報収集経緯、検討度、担当者ミッションの3つの項目を確認することや「見積提示」のフェーズにする条件は、導入時期が3ヶ月以内など、誰もがわかる基準を設けることが重要です。

プロセスを統一して可視化することで、営業組織の効率化に繋がります。誰が担当になっても同じ行動を取ることができるため「営業の属人化」を防ぐことができます。各営業も各フェーズでやるべきことが明確になるため、迷う時間なくフェーズを次に進めるための行動が出来るようになります。
営業マネージャーは商談の進捗状況を把握できるため、適切な管理やアドバイスがしやすくなります。


営業プロセスにおける課題を特定・解決すること


パイプライン管理を行うと、課題の分析や業務改善に向けての取り組みがしやすくなります。営業プロセスをパイプに見立て、それぞれの工程ごとに数値を出すことで、課題のあるフェーズが浮き彫りになるのです。組織課題 フェーズ

組織Aでは、「リード獲得」→「ヒアリング」に大きな差が生じているため、課題があると考えられます。対象のリードは適切なのか、リード獲得後のアプローチ方法に問題がないのか等の原因が考えられます。組織Bにおいては、「初回商談」→「提案」に課題があると推測できます。提案時のヒアリングは適切なのか、見積を提示する値する受注確度の見極めができているか、見積を提示する相手に推進力または決裁権があるか等、想定される原因はいくつか考えられます。考えられる原因の解決策を実行し、営業生産性の向上を図りましょう。


パイプライン管理とフォーキャスト管理の違い

売上目標を達成するための管理手法としてフォーキャスト管理があります。フォーキャストは、予測という意味です。現状の商談数や受注数を把握し、着地見込みを予測します。目標数値との乖離があれば、それを埋めるための施策を考える必要があると判断することができます。しかし、営業管理は予測だけでは不十分です。目標数字を達成するために、どこに課題があるかを明確にしなければなりません。予測ではなく現状のどの工程にどんな課題があるのかを明確にし、業務改善に取り組むことがパイプライン管理の目的となります。

なぜパイプライン管理が必要なのか

昨今、働き方改革の推進や生産性の向上などに注目が集まる中、営業組織においても効率を上げて限られた時間の中で売上を伸ばすことが求められています。営業の効率化を図るためには、受注までのプロセスを可視化し、課題の分析や改善に取り組めるパイプライン管理が有効です。

従来の営業スタイルでは、受注までの行動が担当営業に委ねられており、どこにどんな課題が生じているのか分かりづらい構造になっています。営業マネージャーは営業プロセスを把握できず、課題の改善はもちろん、メンバーに適切な指示を出すことも難しくなってしまいます。こうした問題点を解決するために、多くの営業組織でパイプライン管理が必要とされています。



パイプライン管理によってどのような効果を得られるのか

パイプライン管理をおこなうことで以下のような効果を得ることができます。

● 営業の方法・タイミングの可視化

● 営業の効率向上

● リアルタイムの売上予測

● 中長期での営業計画立案

営業の方法・タイミングの可視化


商談のフェーズを管理し、やるべきことを明確にすることで商談の推移が可視化されます。マネージャーが的確にアドバイスを行うことで、チームとして一定の成果を見込めるようになります。また、各担当営業でバラバラだった営業の方法・タイミングが共通化されることで受注の機会損失を防止することができます。
個人の力量に依存することなく、たとえ経験の浅い若手であっても一定の成果を出すことが可能となるのです。

営業の効率向上


上記のように、パイプライン管理によって、チーム内の動きが統一化されます。これにより、ムダな活動が減り、営業の効率化につながります。

リアルタイムの売り上げ予測


各フェーズごとで、次のフェーズに移行する割合を算出することで売上の予測値を立てることが可能です。例えば、商談から見積提示への移行が50%、見積提示から受注する割合を50%としましょう。一定の期間で商談を100件行った場合、見積提示が50件、そこから受注に至る商談は25件と計算することができます。このように、売上値の予測をすることが可能となるのです。

初回商談 パイプライン パイプライン管理

中長期での営業計画立案が可能


営業プロセスを統一しパイプライン管理された状態で実績集計することで、確度の高い売上予測ができ、中長期の営業計画が立てやすくなります。

パイプライン管理の実施手段

パイプライン管理を実施する手段として、以下の選択肢が考えられます。

● エクセル

● SFA(営業支援システム)

それぞれの特徴について見ていきましょう。

エクセルを活用したパイプライン管理

メリット


1)手軽さ

2)費用が安い

3)関数を駆使して実績集計を効率的に行える

エクセルで管理をおこなうメリットは、その手軽さにあるでしょう。
導入費用も安く、使い慣れている人が多いためチーム全体に普及させやすいものになります。また手軽でもありますが、簡易・高度な関数も組むことができるため、実績集計や確率を出すことも効率的に行うことができます。エクセルでパイプライン管理を行う際は、各列に入力する項目や入力形式を決め、行ごとにその商談の状況を書いていくと良いでしょう。

エクセル パイプライン管理

デメリット


1)入力の手間がかかる

2)データ変化量追跡ができない

3)営業にとって適切なパイプライン管理を行うことができない

エクセルは営業管理に特化したツールではないため、パイプライン管理をおこなううえでは様々なデメリットが生じます。エクセルでパイプライン管理を行おうとすると、入力項目が大量になり、データが重くなってしまいます。また、データ変化量の追跡もできないため、どのような推移でデータが変化したか把握できなくなってしまいます。エクセルでは詳細まで細分化したパイプラインを設計することが非常に困難です。記入できるデータや情報に制限があり、思い通りの設計をすることができません。データの分析についても、表からグラフを作成するためには、毎度手作業が必要です。効率的ではない作業が発生してしまいます。

SFAを活用したパイプライン管理

メリット


SFAは営業管理に特化したツールであるため、エクセルのデメリットを解消することができます。

1)同時作業が可能

2)データ変化の追跡が可能

3)データの分析が容易

SFAを活用することで、リアルタイムに情報の共有やデータの分析をすることができます。入力が簡単で外出していてもスマートフォンから入力することができるため、営業マンの入力の手間を省くことができるでしょう。

デメリット


1)導入難易度が高い。

2)慣れるまでに時間がかかる

一方で、SFA導入によるデメリットも存在します。SFAは導入難易度が高いです。初めてSFAを導入する際、導入までの事前のパイプライン設計や各種定義化に幾多もの打ち合わせや時間が必要となるでしょう。運用時も現場が活用するのに慣れるまでに数ヶ月の期間を要することが多くあります。

パイプライン管理の失敗要因と解決方法

パイプライン管理は、導入したら必ずうまくいくものではなく失敗してしまうケースもあります。
では失敗の原因はどのようなものがあるのでしょうか。

目的の誤り

パイプライン管理を始める際、プロセスの細分化に一生懸命取り組み、それ自体が目的化してしまうケースがあります。パイプライン管理の目的は、営業効率化です。その手段として、プロセスを可視化し管理を行います。初期は、プロセスの細分化にこだわらず、ある程度大雑把でも構いません。問題のあるフェーズが出てきた際に原因究明のために深堀り、さらなる細分化をしていくと良いでしょう。

SFA活用方法の間違い

パイプライン管理を行うために、SFAを導入する企業が多く存在しますがSFAを使いこなすことが目的化しているケースがあります。繰り返しになりますが、パイプラインの目的は営業効率化です。SFAはそのための手段に過ぎないのです。SFAを使ったことのない組織において、最初からすべてを活用することは困難です。SFAでパイプライン管理を導入する際は、導入支援している企業に初期設定や活用方法の部分で伴走支援を依頼することを検討しても良いでしょう。依頼する際は、将来自社で運用することを前提に支援依頼すると良いでしょう。すべてを外部に任せてしまうと、自社に活用ノウハウが溜まらず長期で営業プロセス改善を行うことが出来なくなってしまう可能性があるためです。

営業組織の意識改革

なぜパイプラインの管理を行うのか、なぜ各フェーズごとに定義づけがされているのか、組織にいる全員がその意味や重要性を理解しなければなりません。もしメンバー全員が意味や重要性を理解せず、形だけのパイプライン管理になってしまうとその効果を発揮することができません。
トップダウンで行い、小さなことでもパイプライン管理による成功事例を共有して効果があることを周知していき、各メンバーのモチベーションアップにも取り組むことが肝要です。

おわりに

パイプライン管理について概要や必要性、適切な実施方法などを解説してきましたがいかがでしたでしょうか。すぐに成果が出るものではなく、営業プロセスの統一や組織の意識改革まで長期で行って成果が出るものです。ただ一度軌道に乗れば効率的に営業プロセスを改善することが出来るマネジメント手法のため、営業の属人化や営業効率の向上が課題となっている場合はぜひ取り組まれることをご検討いただけたらと思います。

著者情報

荻野 嶺 (おぎの れい)
米国NY、LAで幼少時代を過ごす。 2015年、伊藤忠商事入社。金属資源部門にて経営企画や事業開発に携わり、赴任先のシンガポールで石炭の三国トレーダーとして、各国の市場を新規開拓。2020年に帰国し、スタートアップ向け人材紹介のfor Startupsに従事。入社半年で最速昇格基準達成、MVT 受賞などの実績を上げ、各有力スタートアップのCEOやVCからの信頼を獲得。 2020年12月にゼンフォース株式会社を創業し、代表取締役CEOに就任。

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