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効果的なナーチャリングの施策とは?検討段階別の施策例をわかりやすく解説

マーケティング

目次

ナーチャリングとは、顧客が興味を持つ商品やサービスに関する情報を、ニーズに合わせて適切なタイミングで提供し、最終的に購買につなげる取り組みです。ただし、見込み客がどのような購入検討段階にいるかによって、効果的なナーチャリング施策は変わります。そのため、各検討段階に合った施策を選び、実施することが重要です。

この記事では、マーケティングファネルに基づいた検討段階ごとの効果的なナーチャリング施策を具体的に紹介し、成功のためのポイントを詳しく解説します。自社に最適なナーチャリング施策を探している方は、ぜひ参考にしてください。

ナーチャリングとは

ナーチャリングとは、見込み客の購買意欲を醸成することを目的とした、段階的な情報提供の活動を指します。顧客の興味やニーズに応じて、適切なタイミングで商品やサービスの情報を提供し、それを購買へと導く取り組みがナーチャリングと呼ばれています。

ナーチャリングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

ナーチャリングの目的と顧客の検討段階

ナーチャリングの主要な目的は、見込み客の購買意欲を段階的に高めることです。この目的を達成するためには、マーケティングファネルという概念の理解が重要となります。マーケティングファネルは、顧客が商品やサービスを初めて知る瞬間から購入するまでのプロセスを、「認知」→「興味・関心」→「比較・検討」→「購入」という段階で示すモデルです。

マーケティングファネル 購入プロセス

この記事では、マーケティングファネルの各段階に合わせたナーチャリング施策を詳しく解説します。顧客の検討段階ごとの適切な施策を実施することで、購買への導線を強化することができます。

【検討段階別】効果的なナーチャリングの施策

マーケティングファネルの段階ごとに、効果的なナーチャリング施策は異なります。以下の表では、各ナーチャリング施策の目的と、マーケティングファネルのどの層をターゲットとしているかをまとめています。

ナーチャリング施策 フェーズ別
これらのマーケティングファネルの各検討段階において、効果的なナーチャリング施策について詳しく解説します。

「認知」フェーズの見込み顧客向け施策

認知フェーズの見込み客は、商品やサービスを初めて知る段階の人々を指し、基本的な情報や知識を求めている点が特徴です。以下に、認知フェーズの見込み客向けのナーチャリング施策を紹介します。

1.オウンドメディア

オウンドメディアは、企業が自ら所有・運営するメディアを指します。公式ウェブサイトやブログが主な例です。ナーチャリングにおいて、オウンドメディアは見込み客の関心の高い内容をブログ記事として提供する手段として用いられます。認知フェーズの見込み客は情報収集の初期段階にあり、オウンドメディアは初期の関心や疑問を解消する情報を提供するのに適しています。また、メールマーケティングを通じて、新しいブログ記事や関連情報をターゲット顧客に直接送ることができます。さらに、記事内にホワイトペーパーのダウンロードリンクを設置することで、より詳細な情報を提供することも可能です。オウンドメディアはナーチャリングの基盤となる手法であり、他のマーケティング手法と組み合わせることで、見込み客の購買意欲を高める効果が期待できます。

2.ホワイトペーパー

ホワイトペーパーは、特定の領域においての専門的な知識や情報を提供する資料です。ナーチャリングにおける役割は、見込み客の関心の高い内容を詳しく伝え、企業やサービスの信頼性を強化することです。マーケティングファネルの観点から見ると、ホワイトペーパーは認知段階の見込み客を対象としています。これは、ホワイトペーパーが持つ情報の深さが、初めて商品やサービスに触れる見込み客の関心を引きつけるのに適しているためです。一方、イベントやセミナーは「比較・検討」段階の見込み客を対象としています。ホワイトペーパーとは違い、事例集などは具体的な商品やサービスの利点を強調し、購買を促すことを目的としています。このように、ナーチャリングの手法は見込み客の検討段階に合わせて選ぶことが大切です。ホワイトペーパーは、情報提供と信頼の構築のための強力なツールとして活用できます。

3.SNS

InstagramやX(旧Twitter)に代表されるSNSは、マーケティングの強力なツールとして活用されています。認知フェーズの見込み客は、新しい情報やトピックに対して興味があるため、SNSは新しい情報を迅速に伝える手段として有効です。SNSを活用して、イベント・セミナー、ホワイトペーパー、オウンドメディアの記事などを発信することで、見込み客とのコミュニケーションを強化し、ナーチャリングを効果的に進めることができるでしょう。

「興味・関心」フェーズの見込み顧客向け施策

興味・関心フェーズにいる見込み客は、課題が明確であり、解決方法を真剣に探しています。一方で、製品のデモや試用などの具体的な行動にはまだ踏み出していません。興味・関心フェーズで重要なポイントは、見込み客が抱える課題に対する解決策の情報を提供し、信頼を獲得することです。これにより、見込み客の興味を製品デモや試用などの具体的な行動に移しやすくなります。以下に、興味・関心フェーズの見込み客に対する効果的なナーチャリング施策を紹介します。

1.イベント・セミナー

見込み客の関心の高い内容に関して、セミナー形式で解説を行うことで課題とその解決策を認知してもらい、見込み客のサービス理解度を高めていくナーチャリング手法です。特に比較・検討フェーズの見込み客に対しては、具体的な課題解決の方法を示すことで、購買意欲を高める効果があります。また、オンラインで行われるウェビナーは地理的な制約がなく、多くの見込み客にリーチすることが可能です。これにより、より多くの見込み客と接触し、購買につなげる可能性を高めることができます。

2.サービス説明資料

比較・検討フェーズにおいては、見込み客の課題は明確になっており、どのように課題を解決するかを見込み客は真剣に模索しています。このタイミングで自社のサービスを詳しく説明した資料(サービス説明資料)を提供することで、効果的にナーチャリングを行えます。サービス説明資料は、見込み客が持つ課題に対する具体的な解決策を提示するものであり、見込み客の購買意欲を高める効果が期待できます。資料には、サービスの特長、利点、価格だけでなく、どのように見込み客の課題を解決するのかという点を明確にすることが重要です。資料を工夫して作成し、見込み客に適切なタイミングで提供することで、購買につながる確率を高めることができます。

3.導入事例集

比較・検討フェーズの見込み客は、具体的な課題解決方法を求めています。この段階で有用なのは、サービス説明資料と導入事例集です。サービス説明資料では、サービスの特長、利点、価格などを明確に説明することが重要です。ただし、見込み客は他社の成功事例にも興味を持っているため、サービス説明資料だけでは見込み客が求める情報に対して不十分な場合があります。このような場合に役立つのが、導入事例集です。特に、自社と同じ業種や課題を持つ事例に絞って見込み客に提供すれば高い効果が得られるでしょう。サービス説明資料と導入事例集は、見込み客が比較・検討する際の重要な参考資料です。これらをうまく組み合わせて提供することで、効果的なナーチャリングが可能になります。

「比較・検討」フェーズの見込み顧客向け施策

このフェーズの見込み客は、具体的な製品やサービスについて詳細に調査し、購入を真剣に検討しており、製品の性能、価格、利点、欠点、使い勝手など、詳細な情報を求めています。この段階で効果的なナーチャリング施策を実施することで、見込み客の購買意欲を高めることができます。以下に、比較・検討フェーズの見込み客向けのナーチャリング施策を紹介します。

1.製品デモンストレーション(ハンズオン)

比較・検討フェーズで特に効果的なのが、ハンズオンの製品デモンストレーションです。比較・検討フェーズの見込み客は、具体的な製品やサービスについて詳しく調査し、購入直前の状態です。そのため、製品の性能や使い勝手を実際に体験すれば、最終的な購入判断を下す可能性が高いと言えます。デモンストレーションで製品を実際に見せることで、見込み客は製品の特徴やメリットを直感的に理解できます。ハンズオン形式であるため、製品の使い勝手や操作性を体感できる点も大きな利点だと言えます。

2.無料トライアル

無料トライアルは、比較・検討フェーズの見込み客に対して効果的なナーチャリング手法です。比較・検討フェーズの見込み客は、製品やサービスに対して購入するつもりで情報を収集しています。無料トライアルを提供することで、製品の性能や機能を実際に体験することができるため、購入に至る確率が高まります。無料トライアルにおいて重要なポイントは、トライアルの期間を明確に設定し、終了後にはヒアリングを行うことです。これにより製品の改善点や見込み客のニーズを的確に理解できます。無料トライアルは見込み客が製品をリスクなく試せる貴重な機会であり、この機会を最大限に活用して、見込み客の購買意欲を高めることが効果的なナーチャリングに繋がります。

3.セールスからのアプローチ

見込み客が具体的な製品やサービスについて詳細に調査し、購入を検討している比較・検討フェーズにおいて、セールスチームからの直接的なアプローチは特に効果的です。この段階で活躍するのがインサイドセールスであり、主に電話やメールを通じて営業活動を行います。インサイドセールスによるヒアリングは、見込み客の具体的な課題や検討状況を深く理解するのに役立ちます。ヒアリングを通じて、見込み客が何に関心を持っているのか、どのような課題を解決しようとしているのかが明らかになります。ヒアリングの結果、確度の高い見込み客が特定された場合、フィールドセールスが対面で直接アプローチを行うため、製品やサービスの詳細な説明やデモンストレーションが行なえます。比較・検討フェーズにいる見込み客は、具体的な課題解決方法を求めており、購入に至る可能性が高いという特徴があります。このタイミングでインサイドセールスやフィールドセールスからのアプローチを行うことで、見込み客の疑問や懸念を直接解消し、購買意欲をさらに高めることができます。さらに、比較・検討フェーズのアプローチには、見込み客が他の選択肢を探る前に自社製品の強みをしっかりと伝えられるというメリットがあります。

メールを活用したナーチャリング

メールマーケティングは、顧客がどのような検討段階にいるかに関わらず有効なナーチャリング手法です。特に、メールマガジンや自動送信されるステップメールは、顧客個々のニーズに合わせて内容を調整できるため、購買に至る確率を高めることができます。メールマガジンは、特定の顧客リストに一斉に情報を送る方法です。メールマガジンのメリットは、多くの顧客に効率よくアプローチできる点です。「新製品のお知らせ」や「限定セールの案内」といった、顧客の興味やニーズに合わせたコンテンツを提供し、顧客の関心を引くことが重要です。ステップメールは、顧客が特定のアクション(例えば、製品ページの閲覧や資料のダウンロード)をした際に自動的に送られるメールです。顧客の行動に基づいて関連する製品やサービスの情報を提供するため、購買につながりやすい点がステップメールの特徴です。

メールを活用したナーチャリングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

おわりに

今回の記事では、ナーチャリングの基本から、見込み客の検討段階別に適した施策まで詳しく解説しました。マーケティングファネルの各段階に合わせて効果的なナーチャリング施策を実施することで、購買への導線を強化することが可能です。ナーチャリングは、見込み客の購買意欲を高めるための継続的な取り組みであり、成功するためにはマーケティングファネルの各段階に適した施策の選定と実施が不可欠です。今回の記事の内容を参考にして取り組んでみてください。

著者情報
土光 宜行(どこう よしゆき)
Yoshiyuki Doko
ヘルスケア業界におけるBtoBマーケティングの専門家として、10年以上の経験を有し、オンライン、オフライン問わず、多岐にわたるマーケティングの知識と実績を持つ。製品開発、営業、パイプライン管理に至るまで、幅広い分野での経験あり。特筆すべきは商品開発で、アメリカやヨーロッパの企業からの製品導入実績を数多く持つ。マーケティングの流れ全体を俯瞰し、策定から実行までのプロセスを統括する点が強み。