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広告の効果とは?

マーケティング

目次

インターネット広告やメディア広告を出稿してもなかなか効果が得られない、または得られた効果をどのように集計し分析をすれば良いのか、課題に感じている企業が増えているように感じられます。
広告の効果を最大限発揮するためには、広告のKPIを細分化して設定する、設定したKPIが達成できているか定期的に評価・改善をする、ことが重要です。

本ページでは、広告効果の改善や測定方法、具体的な例などをまとめて紹介しています。広告をこれから運用しようと検討中の方、広告運用をしているが費用対効果を感じていない方はぜひ参考に御覧ください。

広告の種類は大きく3種類

一言に広告といっても、さまざまな種類のものがあります。株式会社電通は、「2021年 日本の広告費」で、日本の広告費を以下の3つに分類して発表しました。

・ インターネット広告
・ マスメディア広告
・ プロモーションメディア広告

それぞれの特徴について、詳しくみていきましょう。

インターネット広告

インターネット広告はその名の通り、インターネット上に掲載される広告です。上記の調査によると、インターネット広告費は2021年にはじめてマスコミ4媒体広告費を上回りました。
インターネット広告には、検索結果の画面に表示されるリスティング広告と、webサイトやアプリ上に掲載されるディスプレイ広告などがあります。
インターネット広告は、以下のような特徴が上げられます。

・ ターゲット設定を明確にできる
・ データ測定が可能
・ 少額からはじめられる

特定のターゲットに広告を表示させることでムダな配信がなくなり、高い費用対効果を感じることができます。また、データの測定をしながら調整が可能な点や、マスメディア広告と比較して安価に出稿できるなど、様々なメリットがあります。

マスメディア広告

マスメディア広告は、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の4つの主要マスメディアを使った広告です。テレビCMや新聞広告などが該当します。

プロモーションメディア広告

プロモーションメディア広告は、販促活動にかかわる広告のことです。折込チラシ、DM、屋外広告、イベント、展示会など、さまざまな手法を含みます。

広告の効果を評価する目的・意義

広告は費用をかけて運用するため、成果を出さなければなりません。その成果は、長期にわたって継続的に出す必要があるでしょう。広告が長期的なマーケティング活動全体の目標に対して十分な効果を発揮できているか、定期的な評価が必要です。

場当たり的に目の前の売上げのために広告を利用すると、思うような成果が出ず、結果的に広告費がマーケティング予算をひっ迫させてしまうことがあります。
広告は、長期的な視点で適切な目標設定をしたうえで、評価できる指標を細かく設定しましょう。その指標を定期的に評価し、改善に取り組むことで、広告効果を高めることができます。

効果の出ない広告運用でよくある間違い

広告を出稿しても、効果が出ないケースも存在します。今回は、効果の出ない広告運用の例を2つご紹介します。

目の前の数値を上げることが目的となっている

例えば「期末まであと3か月、このままでは目標数値の達成が難しい」という状況があったとしましょう。ここで目標達成のためだけに広告を出稿する場合、その効果を最大限発揮することは難しいと考えられます。ここで出稿後に売上が伸びるか伸びないかは、不確実なギャンブル的要素を多分に含んでしまいます。こうした場当たり的な施策は、営業・マーケティングの組織にとって、決して好ましいものではないはずです。

適切な評価方法が設定されていない

明確な目標値を設定せずに、広告を出稿してはいないでしょうか。
あいまいな目的の広告は評価が難しく、効果が出ていないときにどこから改善を図ればいいのかわからなくなってしまいます。評価を行うためには、KPIなどの数値目標設定が必要不可欠です。目標値は、KGIに紐づくKPIを各ステップに設置します。KPIを設定したら、PDCAを回しながら運用を行いましょう。

KGI・KPIとは?

KPIとは「Key Performance Indicators」の略語で、日本語では「重要業績評価指標」と訳します。目的を達成するための中間数値指標で、KPIを定期的に観測することで目標達成までの状況が可視化されます。
KPIと混同されて使われやすいのが、KGIです。KGIは「Key Goal Indicator」の略語で、日本語では「重要目標達成指標」と訳します。最終的な目標値がKGIに該当するため、営業組織においては「売上げ額」が対象となることが多いでしょう。

高い広告効果を出すためにするべきこと

広告を運用する際は、役割を明確にし、細分化した目標数値を設定してPDCAサイクルを回すことが重要です。具体的なKPIを設定せずに運用すると、安定的な成果が期待できません。広告の評価ができず、効果が出ない場合に原因の追及や改善策を立案することが難しくなってしまいます。この状態が続くと、効果が出ないにも関わらず広告費だけが発生し続ける状態になってしまう可能性が高いです。

広告出稿 広告効果

効果の高い広告を出すためには、広告出稿後の各ステップにKPIを設置し、定期的な評価・改善が必要です。

上記の図のように各ステップにKPIを設置することで、「どのステップに問題があるのか」を可視化し、改善に取り組むことができます。例えば「コンバージョン率は良いが、コンバージョン数が目標値に到達していない」という状況であれば、インプレッション数を改善するために、広告文や広告設定の見直しを行います。
定期的に評価・改善をおこなうことで、広告効果を高めていくことができるのです。

また、広告のターゲットを明確にすることも重要です。
自社のターゲット外にリーチしても広告費がムダとなってしまいます。「誰に向けたものなのか」「何を見せるのか」を明確にし、それぞれにあった広告を活用しましょう。

広告効果の評価に必要なKPI設定のコツ

広告におけるKPIは、組織のKGIをもとに設定していきます。
このとき「広告で売上げ〇万円」など大雑把なKPIのみを立てると、達成したかの結果だけしかわからず、改善のための評価が難しくなります。広告を運用していく中でボトルネックとなりそうな点をKPIとして適切に設定してウォッチし、改善することによってKGI達成にインパクトのあるものから改善するように取り組んでいきます。

広告効果 コンバージョン 受注
上記の図を例とすると、インプレッション数のKPIは達成し、コンバージョン数以降のKPIが未達成です。しかしコンバージョン数から先の割合をみると、どちらも「コンバージョン数→商談数」は50%、「商談数→受注数」は20%と、目標数値に対する割合は同じとなっています。つまり、コンバージョン数が改善されればKGIが達成されると考えられますね。
こうしてKGI達成のボトルネックとなる部分を明らかにすることで、優先的に改善に取り組むことができるのです。

マーケティング活動全体のKGI・KPIを設定する

広告のKPIを設定する前に、まずはマーケティング活動全体の目指すべき目的やその達成水準を決めましょう。マーケティング活動の内容や目標を決める際、KFS(Key Foctor for Success、重要成功要因)を見出すことが重要です。顧客が商品やサービスの購買を決める要因を探し、目指すべき方向性を決定します。

KFSの例として有名なのが、紙おむつの例です。紙おむつは消耗品で、ターゲット層が価格を重視する主婦であったことから、KFSを「低価格」と決めました。この結果、大成功を収めたのです。このようにKFSをもとにマーケティング活動を展開することで、チーム全員を同じ方向に向かわせることができます。
目指すべき方向が決まれば、各ステップにKPIを設置し、PDCAサイクルを回して戦略や施策を進化させましょう。

カスタマージャーニーマップを明確にする

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを知ってから購買するまでを「旅」に見立て、図として可視化したものです。こちらを作成することで関係者間の共通認識が深まり、一貫したマーケティング活動を展開できます。また、全体を俯瞰して見ることで、それぞれのステップにおける課題が可視化され、対策を考えることができます。広告は、顧客と最初に接点を持つポイントとなるでしょう。カスタマージャーニーマップでターゲットやアプローチ方法を明確にすることで、適切な媒体に効果の高い広告を出すことが可能となります。

KGIをブレークダウンしKPIを設定する

各ステップのKPIは、KGIをブレークダウンして設定していきます。
KPIがKGIと紐付いていないと、施策としてのKPIは達成しているにも関わらず、売上金額などのKGIが達成されていないという矛盾が生じてしまいます。KPIは、KGIの成功要素の位置づけです。例えば「売上げ〇〇円」というKGIの成功要素をブレイクダウンすると「顧客数×購入単価×リピート率」となります。さらに顧客数を「リード×アポ獲得率×成約率」と分解すると、必要なリード数を割り出すことができます。
マーケティング部門の獲得すべきリード数を出したら、そこからさらにKPIを細分化します。リード獲得の手段として「ウェビナー〇〇件」「ホワイトペーパー〇〇件」と分けていき、そこから「広告経由で〇〇件」と設定をします。その広告のKPIを達成させるために、「CVR〇%」「Imp〇〇件」と細部までKPIを設定しましょう。

広告効果におけるKPIの設定例

ここでは、KPI設定の一例を紹介します。

KPI  マーケティング 広告効果営業組織のKGIが売上げ1億円、そこからセールス部門でブレークダウンした結果、必要なリード数が2000件だと仮定します。この場合、マーケティング部門の目標値がリード獲得2000件となります。リード獲得方法は様々ありますが、ホワイトペーパーのダウンロードに限ってみていくと、広告経由で300件という目標が立てられています。この目標を達成するために、web広告、SNS広告、DMの3つの手段を採用し、そのコンバージョン率を考慮してインプレッション数の目標値を設定しています。

このように、KGIにもとづいて細部までKPIを設定することで、やるべきことが明確になるほか、目標達成までの状況把握を容易にすることができます。

広告効果の評価で使用される主な指標・用語

最後に、広告の効果を測る指標や用語をご紹介します。

Web広告の広告効果測定方法

web広告は、googleアナリティクスなどの計測ツールが充実しており、データの集計・分析が容易にできます。ユーザーの動きも分析できるので、詳細な効果測定が可能となります。web広告の効果を測る指標は多数ありますが、ここでは「Imp」「CTR」「CVR」「CPC」「CPA」という5つの測定基準をご紹介します。

Imp

Imp(インプレッション)とは、広告の表示回数のことです。
リスティング広告において表示回数を増やすためには、費用と広告の「質」が関係します。この「質」は「品質スコア」という数値で表されます。広告を表示させるために費用を投じることも重要ですが、質を上げて費用対効果を最大化することを優先的に取り組むべきでしょう。

CTR

CTR(クリック率)は「Click Through Rate」の略語で、表示された広告がクリックされた割合です。「クリック数÷表示回数」で計算されます。CTRが低い場合は、広告文やキーワードの見直しが必要です。よりクリックされる広告へ改善を図りましょう。
CTRが高く、後述のCVR(コンバージョン率)も高ければ、効果の高い広告といえます。

CVR

CVR(コンバージョン率)は「Conversion Rate」の略語で、広告をクリックしたユーザーがコンバージョンに至る割合です。「コンバージョン数÷クリック数」で計算されます。CVRが低い場合は、その原因を特定して改善が必要です。CVRが高い場合は、高い要因を特定し、優先的に予算を割り当てて、多くの成果を狙いましょう。

CPC

CPC(クリック単価)は「Cost per Click」の略語で、広告1クリックあたりの平均費用です。一般的に検索ボリュームの高いキーワードの広告は、CPCが高く設定されています。
広告は、費用と品質スコアが複雑に絡んだ入札によって表示の有無が決定するため、検索の多いワードは競合が多く単価が上がる傾向にあります。CPCが高いと費用も上がるため、ターゲットを絞ってCPCの低いワードを設定することも、費用対効果を上げるための手段です。例えば「自動車保険」というキーワードは競合が多く、単価の高いワードだったとします。その場合「自動車保険 安い」などワードをかけ合わせることで、ターゲットを絞ったうえでCPCを下げることができます。

CPA

CPA(新規顧客の獲得単価)は、「Cost Per Action」の略語で、1件のコンバージョンを獲得するためにかかった費用のことです。 例えば、50万円の広告費をかけて、10件のコンバージョンを獲得した場合、CPAは5万円ということになります。

マスメディア広告の効果測定指標

マスメディア広告は認知を目的としたものが多く、受注と直接結びつく効果測定が難しいといわれております。しかし「実際にどのくらいの人が広告を目にしたか」という効果を測定することは可能です。

GRP

GRP(延べ視聴率)は「Gross Rating Point」の略語で、一定期間に流したCMの合計視聴率です。「テレビ番組の視聴率 × CMの本数」で表されます。

GAP

GAP(延べ注視量)は「Gross Attention Point」の略語で、センサーを活用した顔認識技術で、CMを誰が見ているのか、実際に見ているのかを毎秒単位で識別する測定方法です。GRPではテレビをつけていても実際に見ていないケースも計算に含まれますが、GAPは「実際に見ているかどうか」までわかるため、より正確に評価できる指標となります。

セールスプロモーション広告効果測定方法

セールスプロモーション広告は購買を目的とする広告であり、そのレスポンスや受注の費用対効果を測定します。

CPR

CPR(レスポンス単価)は「Cost Per Response」の略語で、1件あたりの反応獲得コストです。反応には資料請求、会員登録、無料トライアルなどが含まれます。「広告掲載費や販売促進費 ÷ 反応の件数」で表され、販促活動の効果を評価します。

CPO

CPO(受注単価)は「Cost Per Order」の略語で、1件の受注を獲得するためにかかった費用のことです。「広告掲載費や販売促進費 ÷ 受注件数」で表され、営業活動全般の費用対効果を評価します。

おわりに

広告効果の改善方法や指標について解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。広告は短期間で成果が出るとは限りません。たとえ一度の出稿で結果が出なかったとしても、「費用対効果がない」と判断すべきではないでしょう。継続的にPDCAサイクルを回して運用することで、長期にわたって効果の高い施策とすることができます。広告運用に課題を感じている方は、ぜひ上記の方法を実践してみてください。

著者情報
荻野 嶺(おぎの れい)
Rei Ogino
米国NY、LAで幼少時代を過ごす。 2015年、伊藤忠商事入社。金属資源部門にて経営企画や事業開発に携わり、赴任先のシンガポールで石炭の三国トレーダーとして、各国の市場を新規開拓。2020年に帰国し、スタートアップ向け人材紹介のfor Startupsに従事。入社半年で最速昇格基準達成、MVT 受賞などの実績を上げ、各有力スタートアップのCEOやVCからの信頼を獲得。 2020年12月にゼンフォース株式会社を創業し、代表取締役CEOに就任。