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認知度を向上させる方法とは?メリットや具体的な方法10選を解説

マーケティング

目次

企業の営業活動における最終的な目標は「売上をつくる」ことですが、そのためには、顧客に企業や商品・サービスの中身を知ってもらわなければなりません。企業や商品・サービスの認知度を向上させることが、マーケティング活動の第一歩だと言えるでしょう。本ページでは、認知度を向上させるメリットと、具体的な方法10選を解説していきます。

認知度とは

「認知度」とは、「名前だけでなく、製品や事業内容まで広く知られ、ある程度中身について理解されている状態」のことです。似ている言葉で「知名度」という言葉がありますが、こちらは「名前が知られている度合い」を意味します。

・ 認知度 製品や事業の中身まで知られている状態
・ 知名度 名前が知られている状態

知名度が高くても認知度が低い場合、企業名は知られているが、何をしているか具体的に知られていない状態です。認知度が高い場合は、「どんな企業で、どんな商品・サービスを展開していて、導入するとどんなメリットがあるのか」まで知られている状態となります。    

ブランドエクイティについて

ブランドが持つ認知度や信頼度といった価値を「資産」と捉えて管理することを、ブランドエクイティと言います。エクイティは「資産」という意味で、ブランド名が広く認知されていれば、売上に良い影響をもたらします。例えば、スターバックスは大きな認知を獲得しており、同じようなコーヒーでも、他社との差別化が出来ています。スターバックスのブランドは「コーヒー飲みたい」ではなく「スタバ飲みたい」と思わせる力があり、こうしたブランドの力は集客や購入率、購入頻度への絶大な効果を発揮します。このように、認知度は企業にとっての資産となるのです。プロモーションを行う際は、知名度ではなく、認知度を重要視して戦略を立てましょう。

認知度を上げる目的やタイミング

認知度を上げる目的は、顧客に製品を購入、利用してもらうことです。自社の取り組みや製品の特徴を理解してもらい、購買につなげます。認知度の向上は売上に直結するため、どの企業も「認知度を上げたい」と考えますが、一朝一夕にはいきません。認知度の向上は容易ではなく、時間もかかります。中長期的に戦略を立てていく必要があるでしょう。一般的な認知度を上げるタイミングについて大きく2つのパターンに分けて下記で解説していきます。

企業の認知度を上げる

企業ブランドの確立は、遅効性が高いことが特徴です。長期的な施策として位置づけられるべきでしょう。
顧客に認知してもらいたい品質(知覚品質)やブランド連想などは、大きな成果が見込まれます。しかし長期にわたる一貫した施策を経てはじめて得られるものなので、すぐに成果がでなくとも継続的に行うことが重要です。

製品の認知度を上げる

製品の認知度は、企業の認知度と比較して短期的に認知の向上が可能です。ターゲットの顧客が課題を認知し、課題解決に向けたソリューションを探し始める段階でアプローチしましょう。ターゲット顧客を定義する上では、「ペルソナ」の設定が重要です。「ペルソナ」とは、ターゲット顧客の代表的な例で、性別や年齢層など、可能な限り細かく設定します。ペルソナを作ったら、そのペルソナの「カスタマージャーニーマップ」を作成しましょう。ペルソナが課題を認知し購買に至るまでのステップを可視化し、それまでの思考や行動、チャネルまで深堀をします。こうすることで、各ステップにおいてどのようなコンテンツを配信すればよいのか、明確にすることができます。
ペルソナやカスタマージャーニーマップを設定する際には、イノベーター理論(普及学)におけるアーリーアダプター・アーリーマジョリティの特徴をつかむと良いでしょう。

イノベーター理論(普及学)とは

イノベーター理論(普及学:Diffusion of Innovation)とは、1962年に米スタンフォード大学のEverett M. Rogers(以下、ロジャース)氏が提唱した「アイデアや製品が社会にどのように普及していくか」を説明しようとする理論です。ロジャース氏は、新たな製品の普及の過程を、採用するタイミングが早い消費者から順番に以下の5つのタイプに分類しており、これにもとづいたマーケティング戦略の検討を推奨しています。

1. イノベーター(革新者)2.5%
2. アーリーアダプター(初期採用者) 13.5%
3. アーリーマジョリティ(前期追随者) 34%
4. レイトマジョリティ(後期追随者) 34%
5. ラガード(遅滞者) 16%

認知度向上 マーケティング

(出典:slide team

製品を普及させるためには、「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」層へのアプローチが重要です。アーリーマジョリティの層まで受け入れられた場合は、市場の50%に到達すると考えられます。それぞれの特徴について下記で簡単に解説いたします。

アーリーアダプターはトレンドに敏感で、日頃から情報を収集し、判断を行う層です。市場全体の13.5%を占めていると考えられています。アーリーアダプターは周囲の人々に対して口コミ・評価を伝える性質があります。アーリーマジョリティやその後追随する層にとって、口コミや評価は購買の重要なポイントとなるため、大きな影響力を持ちます。この層の人たちは単純に「新しいモノ」を好むわけではなく、具体的なメリットなどを考慮したうえで意思決定を行うため、従来の製品と比べて優れている点などを詳細に伝えることが重要です。

アーリーマジョリティは保守的な気質も持ち合わせていますが、新しい製品・サービスへ比較的早く興味を持ち導入する層です。安心感、信頼感等を重視する傾向があり、導入事例を用いながら、具体的なメリットや実績をアピールすると良いでしょう。

上記のように、自社の製品やサービスが位置する成長ステージによって顧客へのアプローチ方法も異なるため、現在のステージを見極めた上で、認知度向上に向けたアクションプランを設計することが重要です。

認知度を上げるメリット

認知度を上げると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは5つの項目にわけて、解説していきます。

販売拡大による売上向上

認知度を獲得することで、市場における自社のポジションを明確にできます。顧客に対して「こんなときは」「この商品があれば」といったイメージを浸透させることができるのです。
こうして他社との差別化を図り、売上を向上させることができます。

信頼度の向上

認知度の獲得により、「この製品なら大丈夫」「このブランドが言うのだから間違いない」と信頼度を高めることができます。製品や企業のファンを多く集めることで、一定数の顧客やリピーターの確保が期待できることは、大きなメリットといえるでしょう。

アライアンス機会の向上

アライアンスは英語で「提携」「同盟」などの意味で、ビジネスでは企業同士が業務提携を交わすことを指します。業界や特定の分野で認知度を獲得している場合、そのブランド力をもって、他の企業とのアライアンス機会が向上されます。
企業アライアンスの例として有名なのが、ユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)と東レ株式会社の提携です。ユニクロの「ヒートテック」や「ウルトラライトダウンジャケット」などのヒット商品は、この2社のアライアンスによって生まれました。ユニクロは「Life wear」というコンセプトで大きな認知を獲得しており、また東レは繊維産業において突出した技術で大きな認知を獲得しています。両者が認知度を得ているからこそ、相乗効果のメリットを感じてアライアンスが叶ったと考えられます。

広告宣伝費の削減

広告の施策が失敗する例として、目先の数字を追うための場当たり的な活用をしてしまうことが挙げられます。直近の売上のみを目的とした広告は、短期的な効果が出る可能性はあるものの、長期的な効果は期待できません。たびたび予算をかけて、広告を運用する必要があります。しかし認知度を獲得できた場合は、広告宣伝費の削減が期待されます。認知度によってその製品や企業が知れ渡り、自社製品にメリットを感じた顧客を集客することができます。
また認知を獲得した製品は、いわゆる「口コミ」によっても広まります。人づてに広まったり、あるいはSNSで話題となるため、広告費用をかけずとも結果的に宣伝の機会が生まれます。広告ではアプローチできなかった潜在層にまで情報を届けられるようになるなど、さらなるメリットも生まれます。

人材採用率の向上

認知度の向上は、人材採用においてもメリットがあります。認知度がある場合、企業の製品や取り組みを知っていて、共感する人材が応募にやってきます。応募数が一定数見込めるほか、採用時のミスマッチも防げるため、人材採用率が向上されるでしょう。

認知度向上のためのマーケティング戦略

自社の商品やサービスを理解してもらえる顧客を増やすためには、知名度よりも「認知度」が重要で、認知度向上を目的とするマーケティング戦略が必要です。ここでは、認知度向上のためのマーケティング戦略について、解説していきます。

認知度向上の目的・目標を明らかにする

認知拡大の目的や目標を明確にすると、誰にどんなアクションをすべきなのかが明確になり、やるべき行動が見えてきます。例えば、認知拡大によって売上向上を目指す場合は、レスポンスを意識した広告運用をすると良いでしょう。また、企業イメージを確立したい場合は、企業Blogなどのコンテンツを作成し、徐々に顧客からの信頼を獲得していくなど、長期的な施策を打ち出すことが必要となります。このように、まずは目的を明確にして狙いを定めましょう。

自社の強みを理解し、提供価値を明らかにする

認知度の向上は、競合他社との差別化が重要です。他社との差別化を図りつつ、自社に顧客を集める方法を検討していきます。競合他社との差別化は、顧客に対する「自社の価値」を提供することで生まれます。自社が提供できる価値の中で、顧客のニーズを満たし、競合を上回る魅力を明らかにしましょう。

競合や市場の調査を行う

競合との差別化を図るためには、競合や市場、そして自社のことを知る必要があります。これらの関係性の中から、自社の強みを浮き彫りにすることが重要です。3者の関係性と、そこからKFS(Key Factor of Success:重要成功要因)を見出すためのフレームワークとして、クロス3C分析をご紹介します。3Cとは「自社(company)」「競合(competitor)」「市場・顧客(customer)」の頭文字です。これらをかけ合わせて考えることで、顧客のニーズや自社の強みを明らかにし、KFSを発見することができます。

3C  KFS 認知度向上 マーケティング

3C  KFS 認知度向上 マーケティング

認知度を上げたい市場や顧客を定義する

認知度向上の施策を実行する前に、市場や顧客をさまざまな角度から分析する必要があります。自社製品やサービスの立場を明確にするには、「STP分析」というフレームワークが有効です。
STP分析とは、「セグメンテーション(市場の細分化)」「ターゲティング(狙いたい市場の決定)」「ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)」の3つの英単語の頭文字をとって名づけられた分析法です。
大きな市場を小さなグループに分けて考えることで、そのグループの中で魅力的なものをつくり、認知度を向上させることができます。

例えばバイク市場という大きなマーケットにおいても、「普段の足として使いたい人」や「長距離のツーリングを楽しみたい人」など、バイクに求めるものは人によって違います。こうしてグループ分けをして、市場の細分化(セグメンテーション)を行います。次にそのグループの中で、ターゲットを決定します。「都市部」や「郊外」あるいは「20代の女性」や「50代の男性」など、自社の強みが生きるセグメントにターゲットを絞ります。最後に自社のポジションを明確にします。競合のいない空白地帯に進出することで、他社との差別化が可能となります。

認知度向上に向けた施策を検討する

こうしてプロダクトを届けたいマーケットを特定させたら、上記のペルソナやカスタマージャーニーマップをもとに顧客の解像度を上げて、戦略を立てていきます。ペルソナが使うチャネルや行動心理までを深堀りして、それに合った施策を検討していきましょう。

会社や商品の認知を上げるための主な方法10選

ここでは、認知度向上に向けた具体的な方法を紹介していきます。

1.コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、顧客に役立つ情報を発信することで顧客からの信頼を獲得することを目的としたWEBマーケティング手法のひとつです。コンテンツには、企業Blog、オウンドメディア、ホワイトペーパーなど企業が作成するさまざまなものが含まれます。直接的に売り込むのではなく、ターゲット顧客が抱える課題の解決策を示すなど価値が高く信頼できる情報を継続的に発信することで、ブランドイメージを獲得できます。こうして認知度を向上させ、購入客やリピーターを増やすことが期待されます。

2.プレスリリース

プレスリリースとは、企業が発表する情報を、ニュース素材としてメディアに提供する文章や資料のことです。自社の発表や取り組みを メディアを通して社会へ広く届けられるため、認知度の向上に一役買うことができるでしょう。

3.オンラインイベント

コロナ禍以前は、イベントのほとんどがオフラインで行われていましたが、現在はオンラインカンファレンスやセミナー、展示会などはオンラインで開催されることが多くなっています。
オンラインイベントのメリットは、参加のハードルが低く参加者数が多いことが挙げられます。従来のイベントは会場まで行く必要がありましたが、オンラインイベントは自宅や会社のデスクから参加可能です。
オンラインイベントに参加した人たちに対して価値ある情報を届けることができれば、認知度を向上させることができるでしょう。

4.検索連動型広告

検索連動型広告とは、検索エンジンで検索したキーワードに連動して表示される広告のことです。
顧客は検索エンジンで課題に対する解決策を検索します。対象のキーワードが検索された際に、自社のアピールを行うことができるため、認知を上げられるでしょう。

5.ディスプレイ広告

ディスプレイ広告は、WWebサイト上にある画像や動画形式で表示される広告です。視覚的なイメージでユーザーの目に留まりやすく、認知の向上が期待されます。

6.リターゲティング広告

リターゲティング広告は、自社サイトに訪問したことのあるユーザーに、再度広告を配信する手法です。配信するプラットフォームは、GoogleやSNSなど自社にあったチャネルを選ぶことができます。一度サービスやソリューションに興味をもって自社サイトに訪問したユーザーに、再度アプローチすることができるため、認知の向上を期待することができます。

7.SNS広告

SNS広告とは、Facebook、Twitter、Instagram、LINEといったSNSプラットフォームに配信する広告のことです。タイムラインに自然に溶け込むため、ユーザーに受け入れられやすいというメリットがあります。こうしたメリットを活かし、認知の向上が期待できます。
またターゲットを絞って出稿することもできるため、的確に広告を出すことが可能です。

8.マス広告

マスメディアの影響力は落ちていると言われることもありますが、マス広告は依然として高い効果が見込まれます。マス広告とは、以下4つのマスメディアに出稿される広告のことです。

1. 新聞
2. 雑誌
3. テレビ
4. ラジオ

マス広告を目にする人は、検索の結果広告を見つけるのではなく、偶然広告を目にすることになります。潜在顧客に対して広告を表示させ、認知を獲得することが可能となります。

9.SNSマーケティング

現代はSNSで情報収集することが一般的になっており、SNS上でマーケティングを展開することは効果の高い施策となります。自社のブランディングを高める投稿をすることで、利用者の認知度を高めることができるほか、拡散による波及も期待できます。SNSマーケティングは、企業でアカウントを運用する方法と、インフルエンサーに発信してもらう方法があります。

10.メールマーケティング

メールマーケティングとは、用意した配信リストに対してメールを配信し、ファン育成やサービスの購入などの目的を達成するための施策です。顧客にとって価値が高く信頼できるコンテンツを定期的に配信することで、顧客と自社の接触回数を増やし、認知度の向上を目指します。

おわりに

認知度向上の方法について解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。認知度は企業活動を行う上で非常に効果の高いものですが、すぐに成果が出るとは限りません。効果が出なくても諦めず、長期的な戦略を立てて少しずつ取り組むことをお勧めします。

著者情報
荻野 嶺(おぎの れい)
Rei Ogino
米国NY、LAで幼少時代を過ごす。 2015年、伊藤忠商事入社。金属資源部門にて経営企画や事業開発に携わり、赴任先のシンガポールで石炭の三国トレーダーとして、各国の市場を新規開拓。2020年に帰国し、スタートアップ向け人材紹介のfor Startupsに従事。入社半年で最速昇格基準達成、MVT 受賞などの実績を上げ、各有力スタートアップのCEOやVCからの信頼を獲得。 2020年12月にゼンフォース株式会社を創業し、代表取締役CEOに就任。