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Google広告の効果を高めるには?測定方法と改善ポイント

マーケティング

目次

BtoBビジネスにおいても、デジタル広告の出稿が一般的になっています。しかし、すぐに成果が上がらず、お困りの企業も多いのではないでしょうか。デジタル広告の代表的な手法であるGoogle広告は、ポイントをおさえてうまく活用すれば、短期間で一定の成果を上げることができます。

本記事では、BtoB企業向けGoogle広告の効果を最大限に引き出す方法について、具体的な測定方法や改善ポイントを解説します。

Google広告とは?

Google広告とは、「Google Ads」の名称でも知られるGoogle社が運営するオンライン向けの広告配信サービスのことです。かつては「Google Adwords(グーグルアドワーズ)」としてサービス提供されていましたが、2018年に現在の名称である「Google Ads(グーグル広告)」へ名称変更されました。

Google広告の種類

Google広告には以下の7つの広告タイプがあります。
1.リスティング広告(検索連動型広告)
2.ディスプレイ広告(GDN)
3.動画広告(YouTube)
4.ショッピング広告
5.アプリ広告
6.ファインド広告
7.ローカル検索広告

1.リスティング広告(検索連動型広告)

リスティング広告は、ユーザーが検索エンジンでキーワードを入力すると、関連する広告が検索結果ページに表示される広告形式です。ユーザーが関心を持っているキーワードに対して広告を表示でき、効果的なターゲティングが可能である一方、潜在層にはアプローチできないデメリットもあります。

2.ディスプレイ広告(GDN)

ディスプレイ広告は、Googleディスプレイネットワーク(GDN)を利用して、画像や動画、テキストの広告をウェブサイトやアプリ上に表示する形式です。視覚的な訴求が得意で、潜在層のユーザーにもアプローチが可能な反面、広くアプローチする広告手法のため、コンバージョンに繋がりにくいという側面もあります。

3.動画広告(YouTube)

動画広告は、YouTube上で動画を再生する前や最中に表示される広告形式です。情報量の多い動画コンテンツを活用できるため、視聴者への訴求力は高いです。しかし、 動画制作のコストが高い場合があり、また一部のユーザーには広告が煩わしく感じられることがあります。

4.ショッピング広告

ショッピング広告は、オンラインショップに掲載されている商品の画像、価格、レビューなどの商品情報をキーワードに関連した検索結果画面に表示する広告形式です。リスティング広告よりも上位に表示され、競合が少ない広告手法である一方、商品情報の管理が煩雑で、複数の商品でショッピング広告を利用する場合は労力を要します。

5.アプリ広告

アプリ広告は、アプリのインストールを促す広告形式で、Google検索、Google playストア、YouTubeなどのプラットフォームで表示されます。機械学習によって配信が最適化されているため配信は比較的簡単ですが、自動で配信するためキーワードごとの細かいデータが取得しづらいというデメリットもあります。

6.ファインド広告

ファインド広告は、Googleディスカバーフィード、YouTube、GmailといったGoogleが直接運営しているサービス内に配信できる画像・動画広告のことです。Googleディスプレイ広告に近い広告手法ですが、Googleが保有するサービスのみに掲載するため、より信頼性が高いことが特徴です。しかし、その分リーチできるユーザー数は減ってしまうのがデメリットです。

7.ローカル検索広告

ローカル検索は、ユーザーが地域を検索した際に、地域に関連した広告が表示される広告形式です。主にGoogleマップや検索結果ページで表示されます。ローカル検索広告は実店舗への流入増加が見込まれる一方、地域外のユーザーには効果的ではないため、広告のリーチが限定的になることがあります。

Google広告で設定できる目標

ビジネスでは目標を設定することが重要です。Google広告で設定できる目標は「販売促進」や「見込み顧客の獲得」など、多岐に渡ります。
マーケティング キャンペーン グーグル Google広告

出典:Google広告公式

目標を広告キャンペーン上で設定すれば、ビッグデータによって学習されたGoogleのAIが数々の事例を参照しながら類似設定をサポートしてくれます。詳細に目標設定すれば、サジェストの質も上がります。目標設定を考える上で、他の施策とのバランスを考えましょう。例えば、検索エンジンマーケティングの戦略を考えるときには、SEO対策とリスティング広告の両軸で考えながら、Google広告の目標設定を行うとよいでしょう。

Google広告で設定できる入札戦略

Google広告には、様々な入札戦略が存在し、それぞれの戦略によって最適な広告運用が可能です。最近は自動入札が一般的で、以下に代表的な入札戦略をご紹介します。

Google広告 広告種類
これらの入札戦略を適切に活用することで、Google広告の効果を最大限に引き出すことができます。運用目的や業種、予算などに応じて最適な入札戦略を選択しましょう。

Google広告にかける予算規模

Google広告の予算規模は、広告運用の目的や狙いに応じて柔軟に設定することができます。効果的な広告運用を行うためには、目標や運用期間を考慮し適切な予算設定が重要です。

Google広告は少額からはじめられるのがメリットですが、コンバージョンを発生させるにはある程度まとまった予算が必要で、一般的には月20万円くらいからがよいとされています。また、運用を続ける中で、予算の最適化を行うことが重要です。

他のデジタル広告とGoogle広告の違い

デジタル広告の世界では、Google広告以外にも様々な広告プラットフォームが存在します。それぞれの特徴を理解し、適切なプラットフォームを選択することが重要です。以下では、他のデジタル広告とGoogle広告の違いについて詳しく解説します。

リスティング広告におけるYahoo!広告との違い

Yahoo!広告もリスティング広告の一種で、Google広告と同様に検索結果に広告を表示することができます。違いをまとめると以下です。

Google広告 Yahoo広告 広告種類 広告

ディスプレイ広告におけるDSPとの違い

DSP(Demand Side Platform)は、広告主が複数の広告枠を効率的に購入できるプラットフォームです。
Googleディスプレイ広告(GDN)はアドネットワークですが、DSPよりコンバージョンの獲得に向いています。一方で、他サービスとの連携やブランディング広告の効果測定方法ではDSPに軍配が上がります。コンバージョン獲得など広告効果が狙いならGDN、システム連携・効果測定ならDSPの方が優れた手法といえるでしょう。

SNS広告としてのFacebook・Instagram・Twitterの違い

SNS広告は、Facebook、Instagram、Twitterなどのソーシャルメディア上で広告を配信する方法です。Google広告は検索連動型広告で顕在層をピンポイントで獲得することができます。また、GDNはFacebookと同様に配信したい層をターゲティングして配信できます。しかし、Google広告の方は非常に配信ボリュームが多く、どこに配信するかを自分で考えてチューニングしていく必要があります。一方、Facebook広告はユーザー属性に基づく独自の配信先を設定することができ、ターゲティングの精度が高いため、刺さるクリエイティブを作成できれば多くのコンバージョンを獲得できる可能性があります。

まとめると、顕在層にアプローチしたい場合はGoogle広告、潜在層にアプローチしたい場合はFacebook広告の方が成果が出やすいといえるでしょう。

改めて考えるGoogle広告の費用対効果

BtoBマーケティングにおいてGoogle広告の成果を測るには、広告費用対効果(ROAS)で測定することをお勧めします。Google広告では、コンバージョントラッキングでコンバージョンにつながるクリック数を測定できます。これにより、キーワードや広告の採算性を見極められ、コンバージョン率やコンバージョン単価を把握できます。

また、BtoBではコンバージョン単価だけでなく、商談創出や売上といったオフライン情報に紐づく貢献度を通じて費用対効果を測定することが望ましいです。

Google広告がもたらすメリットとは

Google広告を利用するメリットは主に、以下のようなものが挙げられます。
・ リーチボリュームが確保できる
・ 少額の予算から広告運用ができる
・ ターゲティング方法が豊富で配信対象の絞り込みができる
・ 広告効果の可視化、分析ができる

Google広告を利用する最大のメリットは、リーチボリュームが確保できる点です。Google検索やYouTubeというキラーコンテンツがあり、グローバルに圧倒的なユーザー数をカバーしているため、BtoBビジネスにおいても十分なリーチボリュームが期待できます。

Google広告を活用することで得られる効果

Google広告はカスタマージャーニー上のあらゆるフェーズで活用ができ、認知から獲得までさまざまな目的で態度変容を促すことができます。また、運用型広告の特徴として、細かな改善を重ねることができます。パフォーマンスのよいクリエイティブを探し当て、CPAを低下させることができたり、効果の高いキーフレーズやクリエイティブなどをほかの施策に生かすこともできる点もGoogle広告を活用することの効果になります。

Google広告による売上増加の事例

Google広告を利用し売上を増加させた事例について3つご紹介します。スタートアップの新製品の認知獲得から中小企業での新規顧客開拓まで、幅広くGoogle広告が利用されています。

株式会社プレイド
サイト管理システム「KARTE Blocks」を展開するプレイドでは、正式版をローンチするタイミングでYouTube広告を開始。訴求する機能を変えた3パターンの動画広告で認知を高め、CPAを53%削減することに成功しています。
Google 広告活用事例:新規顧客開拓 株式会社プレイド様

三栄電子株式会社
電子部品の専門商社である三栄電子株式会社では、新規顧客の開拓が課題でした。従来のテレアポでは100件電話して1件獲得できるかどうかでしたが、Google広告を活用し新規獲得数が10倍になり、これまで取引のなかった新しい業界などからも問い合わせがあり、新たな顧客開拓に成功しています。
Google 広告:「自分のこれからをひらこう。三栄電子株式会社様」 篇

チトセ工業株式会社
金属プレス加工や炉中ろう付け事業を行っているチトセ工業株式会社では、新しい製品を開発したものの全く売れない状態が3年間続いていました。そこでGoogle 広告を開始したところ、月1〜2件だった問い合わせが20件に増加し、売上も前年比で約 580%まで上昇しました。
Google 広告活用事例:新規顧客獲得 チトセ工業株式会社様

Google広告の効果を最大化するために必要なこと

Google広告による効果を最大化するためには以下のことに留意が必要です。
1.キーワード選定の重要性
2.ターゲットオーディエンスの設定方法
3.データ分析に基づく広告改善の方法

1.キーワード選定の重要性

特にリスティング広告においては、キーワードの選定が重要です。自社で定めたペルソナが興味関心のあるキーワードの中で、コンバージョンの見込みが高いキーワードを優先して配信することが重要です。

2.ターゲットオーディエンスの設定方法

広告の効果を高めるためには、ターゲティングを活用することも大切です。Google広告のターゲティングは、以下の12種類の選択ができます。
ターゲティング 
ターゲティングを設定すると、指定したユーザーに対してのみ広告の配信を行うことができます。
例えばディスプレイ広告の場合、1つのキャンペーンに1つの広告グループを設定し、「リマーケティング」、「過去にコンバージョンした類似ユーザー」、「商品・サービスに関するキーワード・URLをできるだけ指定したカスタムオーディエンス」の3つを設定するとコンバージョンしやすいユーザーへアプローチすることが可能になります。

3.データ分析に基づく広告改善の方法

Googleアナリティクスの指標をGoogle 広告に取り込むことで、より深いインサイトを得ることができます。目標の最適化やリマケーティングリストの作成、ユーザーのサイト利用状況や、ユーザー獲得に貢献しているキーワードとそうでないキーワードを明らかにすることができます。アナリティクスのデータとオフラインデータをうまく活用し、ターゲットユーザーの理解を深めることで広告の最適化を行うことができます。

正しい評価につながるGoogle広告の効果測定方法

ここではどのように広告の効果測定を行えばよいかについて方法をご紹介します。

広告効果を測定する方法

Google広告の効果を測定するには主に6つの指標が用いられます。

Google広告

Googleアナリティクスの活用方法

Googleアナリティクスと連携させることで、遷移先ページでユーザー行動の分析や競合優位性など、Google広告の管理画面だけでは確認できない多くのことを分析することができます。また、Google アナリティクスでしか設定できないイベントをGoogle広告のコンバージョンに設定できたり、イベントを基にしてリマーケティング広告配信のためのオーディエンスを作成することもできます。

広告費用対効果(ROAS)の測定方法

広告費用対効果(ROAS)は、投入した広告費用に対してどれだけの売上を挙げられたかで示す指標でGoogle広告の管理画面から測定できます。広告費用対効果を把握するには、まずコンバージョンを測定する必要があります。Google広告では「コンバージョントラッキング」という機能があり、コンバージョン率やコンバージョン単価を簡単に把握することができます。コンバージョン単価がコンバージョンでもたらされる売上を超えないようにしましょう。

Google広告の効果が伸び悩んだ時に見直したいこと

Google広告の効果が伸び悩んだ時にはこれからご紹介するポイントを見直すことで、改善される可能性があります。

指名キーワードで競合企業が出稿していないか

BtoBビジネスの場合、製品名など指名キーワードでリスティングを出稿しない紳士協定があります。もし、指名キーワードで出稿しているところがあれば、まずは除外キーワード設定を依頼しましょう。

リスティング広告のキーワードの見直し

リスティング広告では、キーワードの見直しを行うことで改善を図ることができます。キーワードを改善する方法として以下の4つの方法があります。

リスティング広告 キーワード リスティング

ランディングページの改善

ターゲティングが適切に行われていても、ランディングページの質が低ければコンバージョン率は低くなります。効果的な広告運用のためには、広告とLPの最適化を常に考慮し、ユーザーのニーズに合った広告コンテンツを提供することが重要です。

オファーの改善

どのオファー(コンテンツ)が最もCVしやすいか、また商談化率が高いかなどをデータを見ながら改善していくことが必要です。例えばBtoBマーケティングであれば、広告のCVポイントは問い合わせではなく、ホワイトペーパーやセミナー申し込みにすることが適切かもしれません。

キャンペーン種類の追加

キャンペーンの種類を追加し、出稿面を増やすことでシンプルに効果を出すことができる可能性があります。例えば、多くの方はリスティングからはじめる場合が多いと思いますが、クリエイティブがなくてもファインド広告を出すこともできます。

予算と目標CPAの変更

特にBtoBマーケティングではCVのCPAだけではなく、最終的な成約で効果を測定する必要があります。成約率が高ければ、媒体CVのCPAが高くても費用対効果を見込めると思いますので、CRMデータを見ながら予算と目標CPAを変更することも大切です。

おわりに

BtoBビジネスにおいても、Google広告はうまく活用できれば非常に強力なツールです。これから始める方は、まずは小さく試して改善のサイクルを回していくことで媒体効果を高めていき、大きな売り上げへの貢献を目指していきましょう。
また、重要なのは短期的なコンバージョンではなく、売り上げへの貢献です。CRMなどで売上への貢献度を確認しながら長期的に取り組むことが大切です。

著者情報
田村 佳士(たむら けいし)
Keishi Tamura
2015年に東証一部上場の人材企業に入社し、新規営業、新規事業開発に従事。2018年に機械学習ベンチャーに出向し、AI技術を駆使した新規事業の企画を推進。その後、2020年に転職し、現在は大手IT企業にてAIプロダクトのプロジェクトマネージャを担当。エンタープライズ企業へAIプロダクトの導入プロジェクトの推進やプロダクト企画に勤めている。