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【BtoB】コンテンツマーケティングの成功事例と実施前に注意すべき点

マーケティング

目次

BtoB商材・サービスを取り扱う会社でコンテンツマーケティングの実施を考えている担当者は下記のような悩みが多いのではないでしょうか?

・どの企業をベンチマークすればいいのかわからない
・どのくらいのコンテンツを作ったらいいのかわからない
・成果がでるまでどのくらいの期間かかるのかわからない

ベンチマークするべき企業は自社の商材や状況によって異なりますが、上記のような悩みを解決し、コンテンツマーケティングにおける成功イメージを持つために、本記事では実際に成功したあらゆるパターンの施策例を紹介します。またコンテンツマーケティングを始める際の注意点も解説しますので、コンテンツマーケティングで成功したい担当者の方はぜひ最後までご覧ください。

コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングとは広告配信ではなく、自社のオウンドメディアやYoutubeなどで顧客にとって有益な情報をコンテンツとして配信し、有力なリード獲得や、見込み顧客の育成、CRM(顧客関係管理)などを目的としたマーケティング手法となります。広告配信とは異なり、中長期的なマーケティング戦略ですが、一度安定すると予算を割かなくともリードを獲得できる企業にとっては有効なマーケティング施策です。コンテンツマーケティングにおいて、どれだけユーザーの興味が引けるコンテンツが作れるかが重要となっており、質の高いコンテンツ発信をすることで、ユーザーの自発的なコンテンツのシェアや自社ウェブサイトへの頻繁な訪問を促し、ブランド認知や購買意欲を高める効果が期待できます。よくWEB上の記事を作成し運用をするSEOマーケティングと混同されがちですが、SEOは主に検索プラットフォーム(GoogleやYahoo!)での検索順位を上げ、自社のコンテンツを読んでもらう施策です。コンテンツマーケティングはWEBメディア以外にも動画配信などの方法もあるため、SEOマーケティングはコンテンツマーケティングの一部となっております。

コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとSEOマーケティングについて知りたい方は、こちらの記事も併せてお読みください。

BtoBのコンテンツマーケティングの成功事例7選

それでは実際にコンテンツマーケティングで成功した各社の事例を7つ紹介していきます。

マネーフォワード

株式会社マネーフォワードは個人・法人向けにそれぞれ金融系のWEBサービスを提供している会社です。特にBtoB向けコンテンツマーケティングに力を入れており、会計なら会計用のWEBメディア「会計の基礎知識」、IPO(株式公開)ならIPO用のWEBメディア「IPOサポートメディア」を運営しています。例えば会計メディアでは、「建設業向けの損益計算書の書き方」など事前に設計したターゲットにとって有益で役に立つ情報を発信しています。各記事には導入事例やホワイトペーパー、自社製品へのCTA(Call To Action=行動喚起)が設置されています。「これだけ見れば大丈夫!クラウド会計丸わかり資料3点セット」など、より詳細な情報を欲しているユーザーや課題を解決したいユーザーにとって魅力的なCTAにすることで、自社にとって有力なリード(=見込み顧客)を獲得できるようになっています。

またマネーフォワードでは、WEBメディア以外にYoutubeでも発信しており、5~10分くらいで担当者が知りたい情報をわかりやすく提供しています。現在Youtubeの登録者は1.3万人と多く、潜在顧客への効果的な訴求が可能になっています。

▼マネーフォワードのコンテンツマーケティングの特徴マネーフォワード コンテンツマーケティング

才流

株式会社才流はBtoB向けのマーケティング支援や営業支援、新規事業支援や研修支援のコンサルティング事業を営む会社です。才流ではコンテンツマーケティングとしてオウンドメディアYoutube、書籍の販売などに取り組んでいます。オウンドメディアでは「売れるランディングページの設計手順」や「BtoB新規事業の市場規模算出方法」などメソッドを解説する記事を公開しており、そこから無料で各種設計や分析のためのテンプレートをダウンロードできるようになっています。Youtubeではメソッド解説以外にも各業界で活躍している企業との対談動画を公開しており、どのようにその企業が成功していったのかについて解説しています。また自社のコンサルタントが出版した本の販売や代表の栗原氏のTwitterでの情報発信なども行なっており、効果的に見込み顧客の獲得に繋げています。

▼才流のコンテンツマーケティングの特徴
才流 コンテンツマーケティング

BOXIL 

BOXILはユーザーが法人向けクラウドサービスを無料で比較し、まとめて資料請求できるSaaS比較サイトを運営しております。企業側からすると効率的にリード顧客の獲得を目指せる、マーケティングパートナープラットフォームとなっています。BOXILではオウンドメディア「ボクシルマガジン」の運営に力を入れており、3ヶ月間で月間40万ユーザーから70万ユーザーのサイト閲覧、リード獲得を4000件弱に倍増させるなどコンテンツマーケティング特にSEOマーケティングにおいて大きな成功を収めています。ボクシルマガジンでは主に各業界に沿った注目ツールの解説や用語/メソッド解説などの記事を出しており、紹介している企業の資料請求や自社が提供しているツール比較のホワイトペーパーのダウンロードをCTAとして設置しています。BOXILのSEOマーケティングの成功の要因は、テクニカルなSEO対策(対策キーワードを多く入れ込むなど)ではなく、どのように読者の課題を解決するかにこだわったユーザー目線の質の高い記事を提供する本質的な対策を行なったことで、その結果メディアとしての評価を上げ多くのリードを獲得することができました。

▼BOXILのコンテンツマーケティングの特徴BOXIL コンテンツマーケティング

SAKIYOM

SAKIYOMIはInstagramの分析ツールの提供や運用支援を行なっているマーケティング会社です。同社では、オウンドメディアYoutubeInstagramでアカウント設計の方法やフォロワーや閲覧者を増やすためのノウハウを提供しています。特にオウンドメディアのコンテンツマーケティングにおいては、記事の量産ではなく過去に作成した記事の改善/書き直し(=リライト)によって質の高い内容を提供し、記事を読んだユーザーのCVRを向上させることに注力しました。その結果SEOの順位も上がり、セッション数は月2~3万件から10倍の21万件まで上がり、CVは500件、そこからの受注は以前の3倍の15件まで改善することに成功しました。同社はオウンドメディアが安定した後にYoutubeやInstagramでのコンテンツマーケティングにも注力し、新規ユーザーのインプレッション獲得やより確度の高いリードの獲得ができています。YoutubeやInstagramではより企業の世界観やキャラクターを出せるので、オリジナリティを高く情報発信しやすく、検索した際に見る一見的なユーザーではなく、毎日でもそのアカウントの投稿を見たい濃いユーザーが獲得できます。実際にYoutubeではオウンドメディアの4倍のCVRを出せており、SAKIYOMIではこうした複数のプラットフォームにてコンテンツを配信することによってより多くのリードを獲得し事業成長につなげています。

▼SAKIYOMIのコンテンツマーケティングの特徴SAKIYOMI コンテンツマーケティング

LANY 

株式会社LANYはSEOやコンテンツマーケティング、広告運用を中心として、企業のデジタルマーケティングを支援する会社です。LANYでは自社のオウンドメディアYoutube「トピッククラスターモデルの作り方」や「被リンク獲得戦略」などSEO担当者にとって有益な情報を発信しています。特にYoutubeにおけるコンテンツマーケティングでは一定の成果が出ており、チャンネル登録者数が9,000人と少ないながらも、Youtubeから来た問い合わせ者が多数いると公表しています。株式会社LANYの代表である竹内氏によると、ブログよりもYoutubeの方がSEOをこれから始めようとする人やSEO初心者の方が見ている傾向があり、また文字よりも動画を好む顧客層に訴求ができるため、今までリーチできていなかった層にもリーチ出来ているとしています。特にYoutubeやTwiiterでは「SEOおたく」という人格で運営していることから馴染みやすい世界観を作っており、商談の際に自己紹介が必要無くなったりなど数字以外の面でも良い効果が出ているそうです。またLANYでは単なるお問合せ以外にも、「高品質なオリジナルコンテンツの制作方法」や「被リンク獲得の17の手法」などのホワイトペーパーやウェビナーを用意し、興味が湧いたユーザーがCVしやすいようなCTAを設定しているもの特徴的です。

▼LANYのコンテンツマーケティングの特徴
LANY コンテンツマーケティング

ミエルカ

ミエルカはSEOツールを提供するマーケティング支援会社です。ミエルカは主にオウンドメディアとYoutubeで情報発信をしており、オウンドメディアでは「301リダイレクトが使えない時のURLの変更方法」などSEO担当者が悩むポイントに対して的確に解決策を提供しています。またYoutubeではSEO業界の第一人者である鈴木謙一氏を招いた最新SEOニュースの解説やGoogleが年に数回検索順位の大変動を行う「コアアルゴリズムアップデート」などの解説をしており、1万人以上のチャンネル登録者を抱えています。CTAではミエルカのツールの無料トライアルなども行なっており、SEOに興味がある担当者の集客→無料トライアルによる自社製品の訴求→有料プランへの成約と着実に潜在顧客を顧客に変える導線が出来上がっています。

▼ミエルカのコンテンツマーケティングの特徴
ミエルカ コンテンツマーケティング

キーエンス

キーエンスは自動制御機器や計測機器などの開発販売を行うBtoB企業です。卓越した営業力で有名なキーエンスですが、実はオウンドメディアの運営もかなり強いことで知られています。キーエンスのコンテンツマーケティングの特徴としてホワイトペーパーの質と量が非常に優れていることが挙げられます。技術的なキーワード(例えば「マシニングセンタ」など)に対し、技術者が必要な製品情報などをコンテンツとして提供し、その詳細は製品カタログをダウンロードするような導線でCTAを設計しています。技術者に対してのコンテンツになるため、外注ライターではなく実際の営業担当者が執筆を担当することで情報の質を高く保っており、また執筆するテーマは事業本部が毎月お客様からの要望を見てジャッジし8つの事業部にそれぞれ記事の執筆とホワイトペーパーの作成依頼をすることでコンスタントに発信する体制を整えています。

キーエンス コンテンツマーケティング質の高いコンテンツが量産されることにより各業界の技術者や購買部が資料請求をし、その見込み顧客に対して優秀な営業部隊がクロージングすることで売上を上げ、日本でも有数の大企業として業界を牽引しています。

▼キーエンスのコンテンツマーケティングの特徴
キーエンス コンテンツマーケティング

BtoBのコンテンツマーケティングで、始める前に意識すべき3つの注意点

BtoBにおけるコンテンツマーケティングの成功事例を紹介したところで、実際に始める際に意識してするべき3つの注意点を紹介します。

コンバージョンポイントは複数用意する

BtoBのコンテンツマーケティングでは、一つのコンバージョンポイントだけでなく、複数のポイントを設定することが重要です。顧客の検討段階によっては「問い合わせ・商談」をCTAとしてしまうと、コンバージョンへのハードルが高く、受注や購入につながる潜在顧客を取りこぼしてしまう可能性があります。LANYの事例のようにCTAを「資料請求」や「ウェビナー参加」などの比較的ハードルの低いコンバージョンポイントに下げ、さらに取り扱う内容を具体的な業務に活かせる内容にし見せることでより多くのリードを獲得できるようになります。また、BtoBではBtoCと異なり、社内の複数人で比較検討され、合理的に意思決定されることが多いです。そのため、他社との比較資料や上司への上申資料としても活用しやすいようなコンテンツを作成すると担当者が決済を獲得しやすくなるので最終的な受注や購入へのCVRが高まります。ユーザーの検討段階(マーケティングファネル)に合わせてコンバージョンポイントを設け、更にそのユーザーが最終的な行動を取りやすくするようなコンテンツ作りを意識しましょう。

継続して改善する

コンテンツマーケティングは、記事冒頭で説明した通り中長期的なマーケティング施策となります。有料広告とは異なり即効性がない部分、質の高いコンテンツを提供することで安定した地位を確立できれば、予算を下げてもCV数を増やすマーケティングの筋肉質化ができ、企業にとっては魅力的なマーケティング資産となります。ただ完璧なコンテンツを最初から作成するのは難しく、また一度ですべてのコンテンツの種類を網羅することは難しいでしょう。そこで大切なのが、継続して改善することです。まずはコンテンツ制作体制を整えて、一定の品質のコンテンツを定期的に制作できるようにしましょう。その上で、作成したコンテンツのパフォーマンスを定期的にチェックし、その結果を基に改善していくことが肝心です。SAKIYOMIの事例のようにリライトをすることによりその反応を見てCVRを上げ、他のプラットフォームにもその成功事例を展開していくことでコンテンツマーケティングを成功させることがでいます。コンテンツマーケティングを行う際は継続して改善することを前提に組織体制の構築や工数の見積もりを行いましょう。

購入・問い合わせに近いコンテンツから作成する

コンテンツマーケティングの最終目的は、問い合わせやリード獲得であり、そのためには最終ゴールにつながりやすいコンテンツ制作から取り組むことがおすすめです。例えば、SEOにおいては「〇〇 とは」などのキーワードで検索をするユーザーはあくまで情報収集を目的としており、直接的な問い合わせにつながりにくい可能性があります。それに対し、「〇〇 比較」や「〇〇 おすすめ」などのキーワードを検索するユーザーには導入事例や比較記事などで具体的な製品のメリットを提示し、購買意欲を高めることで直接的なCVに繋げることができます。コンテンツマーケティングは中長期的な施策になるので、初速で売上が上がりきらず、結局施策を打ち切り失敗に終わるケースが非常に多いです。そのため、購入や問い合わせに近いコンテンツから制作を開始し、成果を上げることで社内での理解を得やすくコンテンツマーケティングで成功しやすくなります。

おわりに

本記事では実際にコンテンツマーケティングで成功している7社の事例を紹介し、コンテンツマーケティングで成功するために注意しておくべき点を解説しました。コンテンツマーケティングは安定すれば予算を割かなくても有力なリードを獲得する「マーケティング資産」として企業に残る魅力的な施策になります。本記事の内容がこれからコンテンツマーケティングに取り組む皆様の成功の役に立つと幸いです。

著者情報
金子 光 (かねこ ひかる)
Hikaru Kaneko

大学時代にサンフランシスコに留学。卒業後楽天グループ株式会社に入社。モバイル事業部に配属され、40人規模のチームリーダーを経験。その後はWEBメディアのベンチャー企業に就職。マーケティング領域(特にSEO)で活躍中。