[導入事例]

【エン・ジャパン共催】未経験営業の早期戦力化を叶えるピープルマネジメントとは | イベントレポート|ゼンフォース

営業DX マネジメント

目次

ゼンフォース株式会社では人を中心としたデジタル改革を目指して、営業コンサルティングや営業研修、営業DX支援に取り組んでいます。今回は2023年8月2日に行われたウェビナー「早期戦力化を叶えるピープルマネジメントとは」の模様をお届けします。人材獲得競争が激しい近年、営業職採用では経験者採用から未経験者採用へとターゲットを広げた採用戦略へ変更される企業様が増えてきています。そこで多くの企業様が直面するのが、営業未経験者の育成”に関するさまざまな課題です。そこで今回は、いま注目のピープルマネジメントの実践方法や、戦力化までの期間を短縮して営業組織全体を底上げしてきた実例などを紹介し、早期戦力化・定着について解説します。

スピーカー情報

清水貴裕 ゼンフォース

エン・ジャパン 加藤誉也

清水氏「ピープルマネジメントのきほん」

ピープルマネジメントをとりまく話

マネジメントは本当に大変なことで、「自分で成果を出す方が楽だな」と思ってしまうこともあるでしょう。特に、ピープルマネジメントはやることがとても多く、何から手を付ければ良いのか、どこまでやればいいのか、分からない方もいるかもしれません。悩んだ結果OJTで終始してしまい、体系的な教育ができないという課題を抱えるマネージャーも多く存在しています。今回の講義で一番伝えたいことは、「ピープルマネジメントがうまくいかない一番の理由は自分自身である」ということです。

ピープルマネジメント

そんな話を掘り下げながら、今回は具体的なノウハウではなく、マネジメントする中で重要なことや、心構えなどについて解説していきます。

立場は変わる。連携する。

あなたが上司になって最初にすることは、「さらなる自分の上司に自身への期待値を確認すること」です。マネージャーの仕事は、今までの仕事とは異なります。今まではプレーヤーとして数字をとったり、資格を取ったりすることが仕事でしたが、マネージャーはマネジメントが仕事になります。部下に自分の仕事をやってもらうことが仕事になるわけです。自分のマネジメントの仕事に関しては、自分の上司のほうが全体を見ることができています。自分でやみくもに頑張る前に、まずは自分への期待値を上司に確認して、やるべきことを明確にしなければなりません。

営業 上司 仕事
マネージャーになると組織の中で立場が上がることになりますが、一般的な組織にも大きな落とし穴があることに気を付けなければなりません。例えば、あなたには部下がつきますが、部下に仕事の期待値を伝えきれていないせいで、部下が部長に怒られることがあります。結局、部長が部下をマネジメントする状態になってしまい、自分がマネージャをしている意味が薄くなってしまいます。また、上司同士が握れていないことを、部下同士で相談してしまい、別部署からクレームが起こることもあります。上司となった自分の仕事には、他部署との関係を構築することも含まれています。関係性の良くない他部署に仕事の協力を依頼することはよくあることですが、部下のせいで依頼をしても動いてくれない、なんてことも起こりかねません。マネージャーの仕事は、他部署との関係構築などの仕事も増えるのです。

営業 立場 役割

言葉を伝える。伝わる。

上司になってたくさんすることは、「依頼」「指示」「説明」といった部下に言葉を伝えることです。この際、「伝わる言葉で伝えること」が重要となります。極端な例を挙げると、「Shineチームを目指そう!」という言葉があったとして、英語を理解する人ならば「輝くチーム!」と解釈しますが、ローマ字しか読めない人は違う捉え方をしてしまいます。言葉を伝えるときは、伝える相手に伝わる言葉で話さなければなりません。また、伝える際は、内容よりも見た目が重要なことがあります。有名なメラビアンの法則でもわかる通り、何を言うかはそこまで重要ではなく、どう伝えるか、どういう視覚や聴覚の情報を加えるかがとても大切です。

営業 メラビアン メラビアンの法則
例えば、リモート会議の際、下記の画像のように「少し怒ったような見え方」「違ったモニターを見ている」「カメラアングルがおかしい」などの見た目をしてはいないでしょうか。こうした見た目では、伝える際に話が伝わらない可能性があります。伝えたい内容に合わせて、伝え方や空気感の作り方などを整える必要があるのです。

営業 オンライン 見た目
働き方の本などで「結論から話せ」という話がよくあります。これは間違っていないのですが、「結論だけ話せ」ということではありません。マネージャーが下した意思決定にはさまざまなプロセスがあるかと思います。上司でさえも悩んだプロセスがあるにも関わらず、プロセスをシェアせず、結論だけ話してしまうマネージャーが多いように見受けられます。結論だけ伝えられた部下は、「なんで?」と違和感を持ってしまいます。その意思決定に素直に従うことも難しくなってしまうため、スピードが遅くなるだけでなく、退職も多い傾向にあります。ピープルマネジメントは、モチベーション管理なども重要ですが、伝え方を丁寧にするなど基本的なことも非常に重要となります。

自分をマネジメントする、魅せる。

自分をマネジメントする、というお話です。あなたが上司になって変わることは、誰かから背中を見られる、動きを見られるといった「誰かの規範になること」です。あなたは、上司のスケジュールをじろじろと見たことはありませんか?同様に、部下はあなたを見ています。マネジメントすべきは、自分自身です。部下をマネジメントするのではなく、自分自身です。

営業 マネジメント ポイント
「毎日数字に追われて大変」
「自分が部下のときは自ら数字をあげてやれていた」
「どうしてそこまで言わないとできないんだ」
「自分ではできるけど、業務全体をひとりでやるのは難しいし、どうしたらいいんだ」

などと、日々悩むマネージャーは多くいると思います。私もその一人でした。うまくピープルマネジメントができなくて、不機嫌になり、怪訝な態度で指示をしていたこともありました。しかし、あなたの不機嫌さや苦しい状況はあなたの課題であって、部下の問題や課題ではありません。自分で自分のマネジメントを行わなければなりませんし、常にフラットな気持ちで部下に接しなければなりません。よく部下は上司の鏡だといいますが、鏡から笑ったり、機嫌をとったりするなど、自分の思い通りに動くことはありません。同様に、結局は自分自身でマネジメントしなければならないのです。最後に、上司は部下がいてくれてはじめて成立します。部下がいないとマネージャーは存在しません。横柄な態度を取るのではなく、部下が活躍できるための素地、状況、仕組をつくることに注力しましょう。その上で、ピープルマネジメントのフレームワークや研修、勉強会などを通じて、よりよい成果を出していくことがオススメです。

営業 マネジメント

加納氏「営業職未経験者を爆速で早期戦力化するためには」

営業職をとりまく環境の変化

営業職の採用は年々難しくなっています。営業職の有効求人倍率は、全職種の求人倍率と比べ、2.12倍の差がありました。

営業 求人倍率 推移
営業職の人材不足に対して、各社の取り組みは大きく2つに分かれます。一つは、業務プロセスの見直しです。分業化をしたり、アウトソーシングをしたりして、営業人材がコア業務に集中する環境を整えます。この体制を作ることで、営業の生産性を向上させることができます。もう一つは、「経験者採用」から「未経験者採用」に切り替え、採用数を確保するアプローチです。経験者に絞った採用は非常に難しく、優秀なセールスを各社が取り合いをしているような状況です。このため、ターゲットを未経験者にまで拡大させた求人が増えています。ターゲットを未経験者に拡大すると採用自体は容易になりますが、その先の「育成」まで視野に入れなければなりません。営業未経験者が何もしないで勝手に育つことはありません。未経験者を育てる環境までセットで考えましょう。もし未経験者が早期に戦力化できる体制が整えば、未経験者採用も積極的にでき、事業の成長にもつながることでしょう。

営業人材不足 取り組み

営業未経験者の早期戦力化の3つの秘訣

営業未経験者を早期に戦力化させる秘訣として、以下の3つのポイントを挙げています。

・「商談時間」を最大化する
・「商談内容」を改善する
・「オンボーディング」を実施する

それぞれについて、詳しくみていきましょう。

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1. 商談時間の最大化
皆さんは、営業が1日のうち、何にどれだけ時間を使っているか把握していますでしょうか?なんとなく把握している方もいるかもしれませんが、可能な限り分単位で行っている業務を把握できると良いでしょう。営業の活動は、売上を生み出す商談に価値があります。営業のコアタイムである商談の時間を最大化することが、売上の向上に直結するのです。当社で営業改革を行う以前は、移動や広告制作の打合せなど、商談以外に多くの時間を割いていました。営業改革に取り組み、オンラインセールスを導入したり、「取材担当」という新しい職種をつくり、営業が商談にかける時間を最大化できるよう努めました。また、営業に関するITツールを導入し仕事の効率化を図るなどして、生産性を2倍に引き上げることに成功しました。

営業 時間の使い方 コアタイム
2. 商談内容の改善
突然ですが、あなたの営業組織には誰でも継続して成果を出せる商談の「型」はありますでしょうか?営業の活動量は管理していても、商談の内容まで管理している企業は少ないように見受けられます。先ほども伝えた通り、売上は商談によって作られます。誰もが成果を出せる商談の「型」を作ることで、誰もが一定の成果を出せるようになります。私たちは、営業のハイパフォーマーとローパフォーマーの動きを徹底的に分析し、早期活躍に必要な商談の4つのポイントを見出しました。

営業 商談 ポイント
一つ目は、商談の構造を理解することです。商談には、オープニングから、ヒアリング、プレゼン、クロージングという大きな流れがあります。営業未経験者はこの流れも知らないため、まずはここを理解してもらうことが重要です。

二つ目は、商談相手と良好な関係を築くことです。新人のうちは知識や経験が乏しく、そこで勝負することができません。そのため、まずは相手に気に入ってもらうことや、いい関係を築くことが非常に重要となります。見た目に気を配り、商談前に相手のことを調べるなど、基本的なことを怠らないようにしましょう。

三つ目は、受注のネックを引き出すことです。ここが最も重要なポイントになります。ネックを引き出すためには「買っていただけますか」「ご購入いただけますか」など、直接的に購買の意思を問いかける質問が効果的です。もしYESであればそのまま受注につながりますし、NOであれば「なぜですか?」と聞くことで、受注のネックを引き出すことができます。ハイパフォーマーは、この質問を徹底して行っています。一方ローパフォーマーは「ご不明な点はありますか」「ご検討いただけますか」など似たような言葉を投げかけています。これらの問いは、「不明な点はありません」「検討します」と返されてしまい、受注のネックを引き出すことができません。好反応を示されたと思っていても、後で隠れていたネックが明らかになり、失注してしまうことがよくあります。必ず購買の意思を問いかけ、受注のネックを引き出しましょう。

四つ目は、ネクストアクションを明確にすることです。受注のネックを引き出したら、そのネックを解決するための提案の機会を取付け、次につなげましょう。新人であれば、その場で解決できないことがたくさんあると思います。一度持ち帰り、上司と相談した上で改めて訪問して受注をとる動きが重要です。

これらのポイントは、ただ理解するだけでは意味がありません。理解したうえで実行し、チェックを行い、フィードバックをして、はじめて育成は成り立ちます。いまはオンラインでの商談も普及しており、商談の振り返りやフィードバックが行いやすい時代となりました。この「実行→スキルチェック→フィードバック」のサイクルで、早期戦力化を実現させる育成を行いましょう。

3. オンボーディングを実施する
営業は成果が数字で現れる、厳しい世界です。ある程度の営業力を身に着けるまでは、失敗が多く、精神的にくじけそうになってしまうことがあるでしょう。だからこそ、営業力強化とは別の観点で、オンボーディング支援が重要となります。オンボーディングとは、新たに採用した社員の「受け入れ〜定着・戦力化を早期に行うため」の施策のことを指します。オンボーディングを「離職防止のため」と捉える方がいますが、実は「早期戦力化」のためにも非常に重要な考え方です。

オンボーディング 営業 活躍 早期
弊社が運営するサイト「人事のミカタ」の調査によると、オンボーディングに力を入れている企業は約4割という結果になりました。この4割の企業と、それ以外の企業では、中途入社者のパフォーマンスの発揮度合いに大きな差が出ていることが明らかになっています。さまざまなオンボーディング施策の中で、営業未経験者のパフォーマンス向上のために特におさえておきたいものは以下の2つになります。

・入社2カ月目以降の継続的な研修
・上司と中途入社者の定期的な面談

多くの企業では入社1カ月目に導入研修を行っていますが、2か月目以降も取り組んでいる企業はあまり多くはありません。営業未経験者が、導入研修だけで一人前になることは難しいでしょう。2か月目以降も継続的に研修を行い、育成支援を続けることが重要です。また、上司や人事との定期的な面談も重要です。この面談は、先ほど清水さんにお話いただいたピープルマネジメントの実践の機会ととらえて、実施をしていただければと思います。

対談:営業未経験者でも、特に新卒を育成するのに注意するポイントは?

営業 新卒 育て方 注意点

最後に、お申し込み時にいただいたこの質問について、両名に意見を伺いたいと思います。社会人経験がなく、年齢的にとても若いなど、新卒ならではの観点があるかと思いますが、育成に注意するポイントはどのようなことがあるのでしょうか。

清水氏:
営業に限らず、新卒は「何が課題かわかっていない」ことがよくあります。そのため、ただ指示をだすだけでなく、その背景にある理由まで伝えることが重要です。例えば自分が太ってたとして、「痩せなさい」と言われても、自分が痩せたいと思わなければ行動に移せませんよね。同様に、新卒が「なぜ、電話をかけるのか」「なぜ、売上をあげるのか」まで伝えることで、新卒も主体的に行動をすることができるようになると思います。

加納氏:
先ほどお話しした「商談の型」や「オンボーディング」が新卒にも当てはまると考えています。それ以外では、「レスポンスを早く行っているか」「人の力を借りているか」の2点が重要であると考えています。顧客へのレスポンスが早ければ、顧客との接点量が増えます。そうして経験を増やすことで、早期に成長することができます。また、新卒は自分でできることが少ないため、社内の上司などの力を借りることも重要となります。自分ひとりでは達成できない目標を掲げると、必然的に周りの力を借りる必要が出てくるので、そうした目標を設定することがオススメです。

著者情報
荻野 嶺(おぎの れい)
Rei Ogino
米国NY、LAで幼少時代を過ごす。 2015年、伊藤忠商事入社。金属資源部門にて経営企画や事業開発に携わり、赴任先のシンガポールで石炭の三国トレーダーとして、各国の市場を新規開拓。2020年に帰国し、スタートアップ向け人材紹介のfor Startupsに従事。入社半年で最速昇格基準達成、MVT 受賞などの実績を上げ、各有力スタートアップのCEOやVCからの信頼を獲得。 2020年12月にゼンフォース株式会社を創業し、代表取締役CEOに就任。